記事を読む前に!実力診断・過去問チャレンジ
第一種電気工事士の試験において、高圧受電設備は配点が高く、合格のためには避けて通れない重要分野です。
その中でも、高圧ケーブルと機器を接続する「端末処理(ケーブルヘッド)」は、似たような名称や形状が多く、役割を正確に理解していないと失点しやすいポイントです。
今回は、試験で特によく問われる「ある部品の勘違い」を狙った問題をご用意しました。
まずは今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
図に示す高圧ケーブル終端接続部などに関する記述として、不適切なものは次のうちどれか。

- ストレスコーンは、雷サージ電圧が侵入したときに、ケーブルのストレスを緩和するためのものである。
- 終端接続部の処理では、端子部から雨水等がケーブル内部に侵入しないように処理する必要がある。
- ゴムとう管形屋外終端接続部にはストレスコーン部が内蔵されているので、あらためてストレスコーンを作る必要はない。
- 耐塩害終端接続部の処理は、海岸に近い場所等、塩害を受けるおそれがある場所に適用される。
答えは決まりましたか?
「ストレスコーン」という名前から、「ストレス(負荷)を減らす」という役割はイメージしやすいと思います。
しかし、「何のストレス」を減らすのか?ここが運命の分かれ道です。
正解と、現場でも役立つ知識を詳しく解説します。
1. ズバリ、正解(不適切な記述)は?
正解(不適切なもの)は、選択肢の 1 です。
「ストレスコーンは雷サージ電圧に対応するもの」という記述は誤りです。
これが、試験で最も狙われるひっかけパターンです。
なぜ間違いなのか?
雷などの異常電圧(サージ)から機器を守るのは「避雷器(LA)」の役割です。
ストレスコーンは、雷対策のためにあるのではありません。
では、ストレスコーンの本当の役割は何なのでしょうか?
2. ストレスコーンの真の役割:「電位傾度の緩和」

高圧ケーブル(CVケーブルなど)は、中心の導体を絶縁体で覆い、その外側に「遮へい層(銅テープなど)」が巻かれています。
端末処理をする際、接続するためにこの遮へい層を途中で剥ぎ取りますが、切りっぱなしの端部には、目に見えない「電気の力(電気力線)」が極端に集中してしまいます。
これを専門用語で【電位傾度(でんいきけいど)が高くなる】と言います。
もしストレスコーンがないと、集中した電気の力によって絶縁体が耐えきれなくなり、バチッと絶縁破壊(ショート)を起こしてしまいます。
そこで、ラッパのような末広がりの形状(コーン状)にすることで、集中しようとする電気の力をなだらかに分散させ、負担を和らげているのです。
試験では、以下のキーワードセットを必ず覚えましょう。
【重要】ストレスコーン = 電位傾度の緩和(電気の集中を防ぐ)
3. 試験に出る!終端接続部の種類の見分け方

端末処理には、設置場所によっていくつか種類があります。試験では写真や図を見て名称を答える問題も出るため、特徴を押さえておきましょう。
① 耐塩害終端接続部
・特徴:表面がツルツルした「磁器製のがいし」で覆われており、大きなヒダ(スカート)がついています。
・用途:海岸近くなど、塩分を含んだ風が吹く場所(屋外)で使用されます。
・見分け方:白くて硬そうな「がいし」が見えたらこれです。
② ゴムとう管形屋外終端接続部
・特徴:屋外の雨に耐えるため、ゴム製のヒダ(雨覆い)がたくさんついています。
・ポイント:最近の製品は、ストレスコーンの機能があらかじめ内蔵されています(選択肢3の通り)。そのため、現場で複雑な形成作業をする必要がなく、施工品質が安定します。
③ 屋内終端接続部
・特徴:雨に濡れないキュービクル内などで使います。防水用の大きなヒダがなく、すっきりした形状です。
[ 画像挿入箇所:それぞれの終端接続部の比較写真やイラスト ]4. 他の選択肢の確認

・選択肢2(防水処理):正しい記述です。
ケーブルの大敵は「水」です。水分が侵入すると「水トリー現象」と呼ばれる劣化が進行し、絶縁破壊の原因になります。そのため、雨水が入らないような防水処理は必須です。
・選択肢4(耐塩害の適用場所):正しい記述です。
塩分は電気を通しやすくするため、付着すると漏電(閃絡)の原因になります。塩害地域では、絶縁距離を稼げる専用の「耐塩害形」を使います。
まとめ:この問題の攻略ポイント
第一種電気工事士の試験において、高圧ケーブルの端末処理は得点源です。
迷ったときは、以下のルールを思い出してください。
・「ストレスコーン」の役割は、「雷」ではなく「電位傾度の緩和」。
・「がいし」が見えたら「耐塩害」。
・「水」は絶対に侵入させてはいけない(水トリーの原因)。
「雷」という言葉に惑わされず、正しい役割を理解していれば、自信を持って正解を選べるようになります。

