記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事士の試験において、最も重要な役割の一つが「電気火災を防ぐ知識」を持っていることです。
家庭や工場で電気が使いすぎ(過電流)の状態になったとき、電線が熱を持って燃え出す前に、自動で電気を止める装置が「過電流遮断器」です。
では、この遮断器は「どのくらいの電流」が流れたら、「何分以内」に切れなければならないのでしょうか?
「すぐに切れるはず」となんとなく思っていると、試験で痛い目を見ます。
まずは、実際に出題された過去問で、今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
低圧電路に使用する定格電流20Aの配線用遮断器に40Aの電流が継続して流れたとき、この配線用遮断器が自動的に動作しなければならない時間(分)の限度(最大の時間)は。
[ 画像:定格電流20Aの配線用遮断器に40Aが流れた場合の動作時間を問う問題文と配線図 ]- 1
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答えは決まりましたか?
「倍の電流が流れたんだから、1分もかからない?」
「それとも、少しは耐えられるの?」
この問題は、ルールさえ知っていれば一瞬で解けるサービス問題ですが、うろ覚えだと貴重な得点源を落としてしまいます。
正解の発表と、試験当日に迷わないための「覚え方のコツ」を解説します。
1. ズバリ、正解は?
正解は、選択肢の 2(2分) です。
この問題を解くステップは以下の2つだけです。

ステップ1:倍率を計算する
定格電流が20Aのブレーカに、40Aの電流が流れています。
40A ÷ 20A = 2倍
つまり、定格の「2倍」の電流が流れている状態です。
ステップ2:動作時間のルールに当てはめる
電気設備の技術基準(解釈)では、定格電流30A以下の配線用遮断器において、「定格電流の2倍の電流が流れた場合、2分以内に動作すること」と決められています。
したがって、答えは2分となります。
2. 試験に出る!配線用遮断器(ブレーカ)の動作時間
試験で問われるのは、主に「30A以下」か「30Aを超え50A以下」のどちらかです。
複雑な表を丸暗記する必要はありません。以下のポイントだけ押さえましょう。
【重要】配線用遮断器の動作時間

■定格電流 30A以下(家庭用など)
・1.25倍の電流:60分以内に動作
・2倍の電流:2分以内に動作
■定格電流 30A超 50A以下
・1.25倍の電流:60分以内に動作
・2倍の電流:4分以内に動作
覚え方のコツ
・30A以下なら「2倍で2分」
一般家庭でよく使われる20Aブレーカなどはこのグループです。「2」つながりで覚えましょう。
・50Aまでなら「2倍で4分」
少し容量が大きくなると、時間も倍の4分になります。
・1.25倍はどちらも「60分」
少しのオーバーなら、どちらも1時間は耐えます。ここは共通なので覚えやすいですね。
3. 「ヒューズ」との違いを整理しよう
過電流遮断器には、今回出題された配線用遮断器(ブレーカ)のほかに、「ヒューズ」もあります。
試験ではこの2つの違いを問われることもあるので、比較して整理しておきましょう。

違い1:動作しない電流(不動作電流)
・配線用遮断器:定格電流の1倍(定格そのまま)までは動作してはいけません。
・ヒューズ:定格電流の1.1倍までは動作してはいけません(ヒューズの方が少し粘ります)。
違い2:動作時間の基準
ヒューズの動作時間は、1.25倍ではなく「1.6倍」と「2倍」で決められています。
ただし、ここが攻略ポイントです。
2倍の電流が流れた時の動作時間は、ヒューズも配線用遮断器も同じ(30A以下なら2分)なのです。
「2倍流れたら2分!」というルールは、どちらが出ても通用する最強の合言葉です。
4. なぜ20Aなのか?「電線の許容電流」との関係
そもそも、なぜブレーカは「20A」や「30A」といった容量が決まっているのでしょうか?
それは、接続されている「電線」を守るためです。
電線には「これ以上流すと熱を持って被覆が溶ける」という限界の電流(許容電流)があります。
ブレーカの定格電流は、この電線の許容電流よりも小さい値でなければなりません。
試験によく出る「絶縁電線の許容電流(単線)」は、以下の3つです。
これもセットで覚えておきましょう。
・直径1.6mm の電線
許容電流:27A
(覚え方:イ・ロ(1.6)なし、ニーナ(27))
・直径2.0mm の電線
許容電流:35A
(覚え方:兄(2.0)さんは産後(35))
・直径2.6mm の電線
許容電流:48A
(覚え方:風呂(2.6)場のシワ(48))
例えば、1.6mmの電線(許容電流27A)を使う回路には、20Aのブレーカを使います。もし30Aのブレーカを使ってしまうと、ブレーカが落ちる前に電線が危険な状態になる可能性があるからです。
5. 現場で役立つ!2P1E / 2P2E と中性線のルール
最後に、ブレーカの種類と接続に関する重要ルールも確認しておきましょう。これらは配線図問題や実技試験でも必須の知識です。

2P1E(2極1素子)と 2P2E(2極2素子)
・2P1E(2極1素子):
100V回路専用です。2本の線のうち片方(L極)にしか素子が入っていません。
【重要】素子のないN極には、必ず中性線(白線)をつなぎます。
・2P2E(2極2素子):
100Vでも200Vでも使えます。両方の線に素子が入っています。
200V回路には必ずこれを使います。
中性線にヒューズはNG!
単相3線式回路の真ん中の線(中性線)には、ヒューズを入れてはいけません。

もし中性線のヒューズだけが切れると、回路のバランスが崩れ、100Vの家電に最大200V近い電圧がかかって壊れてしまう「欠相事故」が起きるからです。
そのため、中性線にはヒューズではなく銅バー(導体)を使い、ブレーカの場合も素子のない極に接続します。
まとめ:この問題の攻略ポイント
・20Aブレーカに40A(2倍)流れたら、2分以内に切れる。
・30A以下の遮断器は、2倍で2分。
・30A超50A以下の遮断器は、2倍で4分。
・電線の許容電流(1.6mm=27A、2.0mm=35A)も合わせて覚える。
・単3の中性線にはヒューズを入れない(欠相防止)。
この「2倍で2分」の法則と、電線の太さと電流の関係を覚えておけば、計算問題も配線設計の問題も怖くありません。
自信を持って回答を選べるよう、試験直前まで復習しておきましょう!

