【第二種電気工事士】電線の許容電流と電流減少係数の計算!金属管工事と過電流遮断器の選定ルール

【第二種電気工事士】電線の許容電流と電流減少係数の計算!金属管工事と過電流遮断器の選定ルール

電気工事士の筆記試験において、計算問題は「公式と数字さえ覚えていれば確実に得点できる」重要な得点源です。

特に今回解説する「電線の許容電流」に関する問題は、複雑な電気理論は不要で、シンプルな掛け算だけで解くことができます。

この記事では、過去問の出題形式をベースに、電線の太さと許容電流の関係、金属管工事における電流減少係数のルールについて解説します。

また、この計算がなぜ必要なのか、実務における「過電流遮断器(ブレーカー)」や「漏電遮断器」の選定ルールとの深い関わりについても徹底的に掘り下げます。

試験合格はもちろん、現場で安全を守るための知識としてしっかり身につけましょう。

記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ

まずは、実際の試験で出題される形式の問題に挑戦してみましょう。

この問題は、金属管工事における「電線の許容電流」を求める定番の計算問題です。

【問題】

金属管による低圧屋内配線工事で、管内に直径1.6mmの600Vビニル絶縁電線(軟銅線)5本を収めて施設した場合、電線1本当たりの許容電流[A]は次のうちどれか。

ただし、周囲温度は30℃以下、電流減少係数は0.56とする。

  1. 15
  2. 17
  3. 19
  4. 27

答えは決まりましたか?

「1.6mmの電線だから、27Aじゃないの?」

「5本も入っているから、何か計算が必要そうだな」

そう感じた方、どちらも良い着眼点です。

この問題の正解を導くには、2つのステップが必要です。

解説を読みながら、解き方の手順をマスターしましょう。

1. 解説と正解

正解は、選択肢 1 の「15」です。

なぜ「15A」になるのか、具体的な計算手順を見ていきましょう。

ステップ1:電線の「基本の許容電流」を思い出す

まず最初に必要なのは、「直径1.6mmの電線は、本来何アンペアまで流せるか」という知識です。

これは計算で出すものではなく、暗記しておくべき数値です。

第二種電気工事士試験で覚えるべき「電線の太さ」と「許容電流(単線の場合)」の組み合わせは、主に以下の4つです。

電線の太さと許容電流の対応表(1.6mm=27A, 2.0mm=35A, 2.6mm=48A, 3.2mm=62A)

【暗記必須の数値】

・直径 1.6 mm → 27 A

・直径 2.0 mm → 35 A

・直径 2.6 mm → 48 A

・直径 3.2 mm → 62 A

今回の問題は「1.6mm」ですので、基準となる許容電流は「27A」となります。

覚え方として、「イチロク(1.6)はニナ(27)」「ニミリ(2.0)はサンゴ(35)」などの語呂合わせが有名です。

ステップ2:電流減少係数を掛ける

次に、問題文の条件「金属管に5本収めた」に注目します。

電線に電流が流れると熱が発生します。1本だけであれば熱は空気に逃げていきますが、狭い管の中に何本も束ねて入れると、熱がこもって電線の被覆(ビニル)が溶けてしまう危険があります。

そのため、「管に入れる本数が増えるほど、流してよい電流を減らす」というルールがあります。これが「電流減少係数」です。

問題文には「電流減少係数は0.56」と指定されています。

ステップ3:計算する

最後に、基準の許容電流に係数を掛け合わせます。

計算式: 27 [A] × 0.56 = 15.12 [A]

計算結果は15.12Aとなりました。

試験の選択肢問題では、この数値に最も近い整数を選びます。

よって、正解は「15A(選択肢1)」となります。

2. 実務解説:過電流遮断器・漏電遮断器との重要な関係

この計算は、単に試験のためだけのものではありません。

実際の電気工事において「過電流遮断器(配線用遮断器)」や「漏電遮断器」を適切に選ぶために不可欠な計算なのです。

電線を守るための鉄則

過電流遮断器は、使いすぎやショートによって電線に危険な電流が流れたときに、電気を遮断して電線を守る装置です。

この遮断器選びには、以下の鉄則があります。

【鉄則】

電線の許容電流 ≧ 過電流遮断器の定格電流

つまり、「電線が耐えられる電流値」よりも、「ブレーカーが落ちる電流値」を小さく設定しなければなりません。

もし計算を間違えると…?

今回の工事で計算をせず、「1.6mmだから27Aまで大丈夫」と勘違いして「20A」の過電流遮断器を取り付けてしまったらどうなるでしょうか?

  1. 電線には金属管の中で熱がこもり、実質「15A」までしか流せない状態になっている。
  2. しかし、ブレーカーは20A流れるまで電気を切らない。
  3. 18Aの電流が流れたとき、ブレーカーは落ちないが、電線は許容電流(15A)を超えている。
  4. 電線が異常発熱し、被覆が溶けて発火(火災)する恐れがある。

このような事故を防ぐため、許容電流が「15A」に下がったのであれば、遮断器も「15A」のものを選定する必要があるのです。

※漏電遮断器について

漏電遮断器(過負荷保護付)を選定する場合も同様です。漏電を検知する機能に加え、電線の許容電流を超えた場合に遮断する機能を持っているため、やはり「電線の許容電流」を正しく計算できていることが選定の前提となります。

3. 試験対策:減少係数を覚えておこう

今回の問題では「0.56」と書いてありましたが、問題文に係数が記載されていない場合もあります。

そんな時のために、電流減少係数の法則を覚えておくと安心です。

実はこの係数、「0.70」からスタートして「0.07(7の倍数)」ずつ減っていくという法則があります。

電流減少係数の表。3本以下0.70、4本0.63、5-6本0.56

・3本以下: 0.70

・4本: 0.63 (0.70 – 0.07)

・5本・6本: 0.56 (0.63 – 0.07)

「5本か6本なら、コロ(56)っといく」などのイメージで覚えておくと、いざという時に役立ちます。

まとめ

今回の問題のポイントを整理します。

  1. 直径1.6mmの単線の許容電流は「27A」。まずはこれを暗記。
  2. 金属管などに電線を収める場合は、熱がこもるため「電流減少係数」を掛けて値を小さくする。
  3. 計算結果(15.12A)をもとに、それ以下の容量の過電流遮断器や漏電遮断器を選定することで、電気火災を防ぐ。

「許容電流の計算」は、電気工事士として安全を守るための第一歩です。

数字を覚えてしまえば簡単な掛け算ですので、ぜひ得意分野にして合格を勝ち取ってください!