この記事のまとめ
・施工場所(展開した場所・点検できる隠ぺい場所・点検できない隠ぺい場所)の正しい区分が分かります。
・がいし引きや金属管、ケーブルなど各配線工事が施工可能な場所の一覧を網羅しています。
・電気工事士試験で狙われやすい各工事方法の特徴と、使い分けのポイントが理解できます。
第二種電気工事士の試験において、低圧屋内配線の「施工場所」と「工事の種類」の組み合わせは、筆記試験で必ずと言っていいほど出題される超重要項目です。
現場においても、配線を行う場所の環境(露出しているか、壁の中か、乾燥しているか等)によって、法令で許可されている工事方法は厳密に定められています。これを間違えると重大な事故につながるため、正確な知識が求められます。
この記事では、電気工事士取得を目指す皆様に向けて、施工場所の区分から各種工事の適用条件、それぞれの特徴までを徹底的に解説します。
1. 施工場所の3つの区分を理解しよう

配線工事のルールを覚える前に、まずは「施工場所」がどのように区分されているかを正確に把握しましょう。電気設備技術基準の解釈では、屋内を大きく以下の3つに分類しています。
【展開した場所】
目視で容易に確認でき、手が届くような露出した場所のことです。
例:天井や壁の表面、天井板が張られていない屋根裏など。
【点検できる隠ぺい場所】
通常は隠れているものの、点検口などを通して容易に目視や作業ができる場所のことです。
例:点検口がある天井裏、容易に人が入れる床下など。
【点検できない隠ぺい場所】
壁の中やコンクリートの中など、建物を破壊したり大掛かりな解体をしたりしないと点検ができない場所のことです。
例:点検口のない天井裏、壁の中、コンクリート埋設部分など。
試験対策としては、「点検できない隠ぺい場所」で施工できる工事とできない工事を区別することが最も重要になります。
2. 各工事の施工条件と適用場所一覧

上記の3つの場所に加え、環境(乾燥しているか、水気があるかなど)によっても施工できる工事は変わります。ここでは、主要な配線工事の適用場所を整理します。
【どんな場所でも施工可能な万能な工事】
以下の3つの工事は、展開した場所から点検できない隠ぺい場所まで、基本的にどこでも施工可能です。試験では「点検できない隠ぺい場所で施工できる工事はどれか」という問題で正解の選択肢になりやすいです。
・ケーブル工事
・金属管工事
・合成樹脂管工事(CD管を除く)
※金属可とう電線管工事も広い範囲で施工可能ですが、点検できない隠ぺい場所では「2種金属製可とう電線管」を使用しなければならないという条件があります。
【施工場所に制限がある工事】
以下の工事は、施工できる場所が限定されています。ひっかけ問題として出題されやすいため要注意です。
・がいし引き工事
展開した場所、および点検できる隠ぺい場所にのみ施工可能です。「点検できない隠ぺい場所」では施工できません。
・金属線ぴ工事(メタルモール)
展開した場所、および点検できる隠ぺい場所のうち、「乾燥した場所」にのみ施工可能です。
・合成樹脂線ぴ工事(プラモール)
展開した場所の「乾燥した場所」にのみ施工可能です。隠ぺい場所では一切使用できません。
3. 各工事方法の特徴と使い分け

それぞれの工事には特徴があり、現場の状況やコスト、要求される強度によって使い分けられます。電気工事士として知っておくべき各工事の特徴を解説します。
【ケーブル工事】
現代の屋内配線で最も一般的に使用される工事です。VVFケーブル(平型)などをステップルで固定するだけで施工でき、工期が短く済みます。造営材に沿って配線したり、天井裏に転がし配線をしたりと自由度が高く、点検できない壁の中にも施工できる万能さが特徴です。
【金属管工事】
電線を金属製の管に収める工事です。外部からの衝撃に対する機械的防護性が最も高く、工場や倉庫など、物理的なダメージを受ける可能性がある場所で多用されます。
※試験対策の豆知識:屋内配線ではなく「屋側配線(引込線など)」の話になりますが、木造の建物に対しては、漏電時に火災が発生する恐れがあるため金属管工事は施工できないという重要なルールがあります。金属管=最強、と思いがちですが、適用外の場所があることも覚えておきましょう。
【合成樹脂管工事】
PF管(自己消火性あり)やVE管などの合成樹脂製の管を使用する工事です。金属管に比べて軽くて切断や曲げなどの加工が容易であり、絶縁性にも優れています。ただし、熱や物理的衝撃には金属管ほど強くありません。コンクリートに埋設する場合は、衝撃から守られるためよく使用されます。
【金属可とう電線管工事】
蛇腹状の曲がる金属管(プリカチューブなど)を使用します。複雑な曲げが必要な場所や、モーターなど振動する機器への接続部分で威力を発揮します。1種と2種があり、点検できない隠ぺい場所で使えるのはより頑丈な2種のみです。
【がいし引き工事】
絶縁性の高い陶磁器製のがいしを用いて、電線を造営材から離して配線する古くからある工法です。現在、一般住宅の新築で見ることはほぼありませんが、高い絶縁性が求められる特殊な場所や、古い建物の改修、または意匠性を狙った店舗などで見られます。電線が露出しているため、点検できない場所には施工できません。
【金属線ぴ工事・合成樹脂線ぴ工事】
いわゆる「モール配線」です。すでに建っている建物で、壁を壊さずにコンセントや照明を増設したい場合など、後付けの配線工事でよく使われます。壁や床の表面(展開した場所)に両面テープやビスで固定し、中に電線を収めます。見た目をスッキリさせるためのものであり、防水性や強度はないため、乾燥した露出場所にしか使えません。
まとめ
低圧屋内配線の工事方法を選ぶ際は、「その場所が露出しているか、隠ぺいされているか」「点検できるか、できないか」を見極めることが第一歩です。
・点検できない隠ぺい場所でもOK:ケーブル、金属管、合成樹脂管
・隠ぺい場所はNG:合成樹脂線ぴ
・点検できない隠ぺい場所はNG:がいし引き、金属線ぴ
この基本ルールを頭に入れておけば、電気工事士試験の配線工事に関する問題は確実な得点源になります。各工事の特徴と制限をしっかりと整理し、合格を掴み取ってください!

