この記事で分かること
・配管工事の要となる「アウトレットボックス」の3つの役割(接続・引き入れ・取付)
・試験で頻出の「金属製(要接地)」と「樹脂製(接地不要)」の違いやサイズ規格
・技能試験で重大欠陥となるゴムブッシングやロックナットの施工ミスを防ぐ方法
1. アウトレットボックスとは?(基本の役割)

電気工事士のテキストを開くと、配管工事のページで必ず登場するのが「アウトレットボックス」です。
一見するとただの四角い箱ですが、電気配線において心臓部とも言える重要な役割を担っています。
試験では、筆記試験の鑑別問題だけでなく、技能試験(実技)でも実際に作業を行う頻出材料です。
主な役割は以下の3点です。
【1】電線の接続場所(ジョイントボックス)として
電気設備技術基準の解釈により、電線を接続する箇所は「点検できる場所」であり、かつ「専用の箱の内部」で行うことが原則とされています。
壁の中や天井裏で、電線をむき出しのまま接続することは禁止されています。アウトレットボックス内で電線をリングスリーブや差込形コネクタを用いて接続することで、安全性を確保します。
【2】電線の引き入れを容易にするため
金属管や合成樹脂管などの配管が長く続く場合、電線を通す作業(入線)は非常に重労働になります。
途中にアウトレットボックスを設けることで、一度電線を引っ張り出すことができ、中継点として作業をスムーズにする役割があります。
【3】照明器具や配線器具の取り付け土台として
天井に照明器具(シーリングライトなど)を設置する際や、スイッチ・コンセントを取り付ける際の土台として使用されます。
アウトレットボックスの基本外観(金属製)

アウトレットボックスの基本外観(合成樹脂製)

2. 試験に出る「材質」の違い

電気工事士試験で最も問われるのが、材質による施工ルールの違いです。大きく分けて「金属製」と「合成樹脂製」の2種類があります。
金属製アウトレットボックス
一般的に「鉄ボックス」とも呼ばれます。鋼板に亜鉛メッキなどが施されており、銀色をしています。
・特徴:強度があり、熱に強い。
・重要ポイント:金属製は電気を通すため、漏電した際に感電事故につながる恐れがあります。そのため、原則として【D種接地工事(アース工事)】を施す必要があります。
・ノックアウト:側面や底面に、丸い切れ込み(ノックアウト)があります。使用する穴だけをハンマー等で叩いて打ち抜いて使用します。
合成樹脂製アウトレットボックス
硬質塩化ビニルなどのプラスチックで作られています。色はグレーや黒が一般的です。
・特徴:軽くて錆びない(耐食性が高い)。
・重要ポイント:樹脂は絶縁体(電気を通さない)であるため、【接地工事(アース)が不要】です。この違いは筆記試験の正誤問題でよく出題されます。
・接続:主にVE管(硬質塩化ビニル電線管)やPF管との接続に使用されます。
3. サイズの規格と使い分け
アウトレットボックスにはJIS規格で定められたサイズがあり、現場では通称で呼び分けられます。

中形四角アウトレットボックス(通称:四角、中四、102)
・サイズ:約102mm × 102mm
・用途:最も一般的なサイズです。通常の屋内配線や、スイッチ・コンセントの取り付けに使用されます。深さは通常型(44mm)と深型(54mm)があります。
大形四角アウトレットボックス(通称:大四、119)
・サイズ:約119mm × 119mm
・用途:中形よりも一回り大きく、電線の接続本数が多い場合や、太いケーブルを扱う場合に使用します。内部の容積が必要な場面で選定されます。
4. 必須の付属品と施工方法

アウトレットボックス単体では工事は完成しません。試験では、以下の付属品との組み合わせが重要になります。
カバー(蓋)
ボックスの前面に取り付けます。
・ブランクカバー:配線の接続のみで、器具を取り付けない場合に使用する盲蓋。
・器具用カバー:照明器具などを取り付けるための穴が開いたカバー。
・塗代(ぬりしろ)カバー:壁の仕上げ材の厚みに合わせて使用する枠付きカバー。
ボックスコネクタとロックナット
配管(金属管やPF管)をボックスに接続するための継手です。
・施工手順:コネクタをボックスの穴に差し込み、ボックスの内側から【ロックナット】で締め付けて固定します。
・技能試験の注意点:ロックナットの締め付けが不十分だと欠陥(不合格)となります。ウォーターポンププライヤーを使って確実に締め付ける必要があります。
絶縁ブッシング(金属管工事の必須アイテム)
金属管工事において、ボックス内部に出てくる管の端(切り口)に取り付けるプラスチック製のキャップです。
・役割:電線の被覆が金属管の鋭利な切り口で傷つくのを防ぐため。
・試験対策:金属管工事で絶縁ブッシングを付け忘れると、重大欠陥となります。
5. 技能試験での最重要ポイント:ゴムブッシング
第二種電気工事士の技能試験において、アウトレットボックスを使用する課題で最も注意すべきなのが「ゴムブッシング」です。

役割
ケーブル工事(VVFケーブルなど)において、金属製ボックスの打ち抜き穴(ノックアウト)に直接ケーブルを通すと、金属のバリで被覆が傷ついてしまいます。これを防ぐために穴にはめ込むゴム製の保護材です。
欠陥となる施工例
以下の場合は欠陥(不合格)となります。
- 未装着:ゴムブッシングを付けずにケーブルを通した。
- 加工忘れ:ゴムブッシングに穴や切り込みを開けずに、無理やりケーブルを通した。
- 脱落:穴のサイズに合っておらず、ブッシングが外れている。
施工時は、必ずナイフで十字の切り込みを入れてからボックスに装着し、その中心にケーブルを通すようにしましょう。
6. 間違えやすい類似ボックスとの違い
試験の鑑別問題では、よく似た他のボックスとの違いを問われます。
・スイッチボックス:埋込配線でスイッチやコンセントを取り付けるための長方形の箱。
・コンクリートボックス:コンクリート打設時に埋め込む箱。耳(スタットボルト)があるのが特徴。
・プルボックス:アウトレットボックスより大きい箱。多数の配管が集まる場所で電線の引き入れを容易にするために使う。
まとめ
アウトレットボックスは、電気工事の「交通の要所」です。
筆記試験では「金属製=アース必要、樹脂製=アース不要」というルールを確実に覚えましょう。
技能試験では「ゴムブッシングの装着」と「ロックナットの固定」が合否を分けるポイントです。
構造はシンプルですが、安全な電気供給のために欠かせない材料です。役割と施工ルールをしっかり理解して、試験合格を目指しましょう。
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↓アウトレットボックスの解説はこちら↓
https://faq.tenisyoku.com/faq/materials#flexible-plastic-conduit

