【2026年最新】電気工事施工管理技士とは?電気工事士との違いや年収、試験制度改正を解説

電気工事施工管理技士とは?電気工事士との違いや年収、試験制度改正を解説

電気工事士が「現場のプレイヤー」なら、施工管理技士は「現場の監督・司令塔」。

人手不足による需要の高まりに伴い、年収アップやキャリアアップの最有力候補として注目されています。

本記事では、電気工事士との違い、2024年(令和6年)に抜本的に改正された新しい試験制度、そしてこれからの時代におけるこの仕事の将来性について解説します。

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この記事でわかること

  • 電気工事施工管理技士と電気工事士の違い(役割・責任)
  • 1級と2級の違い(主任技術者・監理技術者との関係)
  • 2024年改正の受検資格と経過措置のポイント
  • 2026年(令和8年度)の試験日程と申込スケジュール
  • 合格率・合格基準の目安と勉強の考え方

電気工事施工管理技士と電気工事士の違い

電気工事施工管理技士と電気工事士の違い

名前が似ているため混同されがちですが、「電気工事施工管理技士」と「電気工事士」は、役割も求められるスキルも全く異なります。

「作業する人」と「管理する人」の役割分担

簡単に言うと、以下のような役割分担になります。

  • 電気工事士:実際に工具を使ってVVFケーブルを配線したり、コンセントを取り付けたりする「技術者(プレイヤー)」。
  • 電気工事施工管理技士:工事全体のスケジュールを管理し、職人さんに指示を出し、品質や安全をチェックする「監督(マネージャー)」。

電気工事士は「手を動かすスキル」が最優先されますが、施工管理技士は「人を動かすスキル」や「段取り力」が求められます。

施工管理技士は「現場の司令塔(現場代理人)」

施工管理技士の資格を持つと、工事現場における責任者である「現場代理人」や「主任技術者」「監理技術者」になることができます。

建設現場では、電気だけでなく、建築、空調、給排水など多くの業者が動いています。電気工事施工管理技士は、他の業者と打ち合わせを行い、「いつ電気工事に入ればスムーズか」を調整します。

また、図面通りに施工されているかをチェックしたり、現場で使われる高圧受電設備(キュービクル)などの機器の発注管理も行います。

まさに、現場全体を見渡す司令塔としての役割を担うのです。

平均年収は施工管理技士の方が高い傾向

一般的に、電気工事士よりも施工管理技士の方が平均年収は高い傾向にあります。

これは、現場全体の責任を負う立場であることや、大規模な工事を請け負うために企業側にとって必須の資格(経営事項審査の加点対象)であることが理由です。

特に第一種電気工事士の資格を持つ人が、施工管理技士の資格も取得して「現場もわかる監督」になると、市場価値は跳ね上がります。


1級・2級・技士補の違い!「できること」と「年収」の差

1級・2級・技士補の違い!「できること」と「年収」の差

「結局、何級を取ればいいの?」「技士補で止まっても意味があるの?」

この違いは、単なる名誉の差ではありません。「担当できる工事の規模(動かせる金額)」と「法律上の役割」が明確に区切られています。

自身のキャリアプランや、所属する会社の規模によって目指すべきゴールが変わるため、それぞれの「最強の武器」を知っておきましょう。

1. 技士補(第一次検定合格)

~若手でも「現場の切り札」になれる新資格~

2021年の法改正で新設され、2024年の制度変更でさらに重要度が増した新しい資格です。かつては「試験の途中経過」でしたが、現在は国家資格として履歴書に書ける強力な武器です。

  • 1級技士補の「特権」がすごい(監理技術者補佐):
    • ここが最大のポイントです。1級技士補になると「監理技術者補佐」という役職に就けます。
    • 通常、大規模現場にはベテランの「監理技術者(1級)」を専任(つきっきり)で置く義務があります。しかし、「1級技士補」をサポート役として置くことで、監理技術者が2つの現場を兼務できるようになります(特例監理技術者制度)。
    • つまり、会社にとっては「1級技士補がいるだけで、受注できる工事が倍になる」可能性があるため、無資格のベテラン以上に重宝されるケースも増えています。
  • 2級技士補の価値:
    • 「施工管理の基礎知識がある」という公的な証明です。実務経験が浅い若手でも、この資格があることでポテンシャル採用の対象になりやすく、2級(第二次検定)合格への最短ルートになります。

2. 2級電気工事施工管理技士

~現場代理人のスタンダード!中小規模現場の守護神~

第二次検定に合格し、晴れて「施工管理技士」となった状態です。建設業法における「主任技術者」になることができます。

  • 担当できる現場(一般建設業):
    • 日本の建設現場の9割以上を占める中小規模工事で活躍できます。
    • 具体的には、元請けとして受注した工事のうち、下請けに出す金額の合計が5,000万円未満(※)の現場であれば、2級ですべて管理できます。
  • キャリアの考え方:
    • 街の電気工事店や、中小規模のサブコン、リフォーム工事などでは、2級があれば社長クラスまで出世することも十分に可能です。「まずは現場を一人で回せるようになりたい」という方は、2級が現実的かつ最強の武器になります。

3. 1級電気工事施工管理技士

~建設業界のパスポート!大規模プロジェクトの総監督~

全ての制限が解除された最高峰の資格です。2級との決定的な違いは、「監理技術者」になれることです。

  • 担当できる現場(特定建設業):
    • 規模の制限なし(無制限)。
    • 下請けに出す金額が5,000万円以上(※)となる大規模プロジェクト(大型商業施設、高層ビル、公共事業など)では、1級保持者(監理技術者)の配置が義務付けられています。
  • 圧倒的な市場価値:
    • 特定建設業の許可を持つ大手ゼネコンやサブコンは、1級保持者を確保しないと「大きな仕事を受注する権利」自体を失います。
    • そのため、資格手当の相場も高く(月1万〜3万円程度)、転職市場では常にオファーが絶えない状態です。

※2025年(令和7年)2月の建設業法施行令改正による最新の金額要件(4,500万円→5,000万円への引き上げ)を反映。

【比較表】ひと目でわかる権限と役割の違い

資格区分現場での法的役割扱える工事規模キャリアのイメージ
1級技士
(第二次検定合格)
監理技術者
(現場のトップ)
制限なし
数億円〜数十億円規模の
ビッグプロジェクトが可能
【幹部・ゼネコン級】
大規模案件の責任者。
高収入・引く手あまた。
2級技士
(第二次検定合格)
主任技術者
(現場の責任者)
中・小規模
下請発注 5,000万円未満
(一般建設業の範囲)
【一人前の監督】
現場代理人として
現場を回せる実務派。
1級技士補
(第一次検定合格)
監理技術者補佐大規模現場の補佐
1級技士のサポートとして
大規模現場に従事可能
【期待の若手】
会社に「兼任」のメリットを
もたらす即戦力。
2級技士補
(第一次検定合格)
担当技術者中・小規模の補佐【見習い・新人】
基礎知識の証明。
実務経験を積み次を目指す。

1級・2級電気工事施工管理技士の仕事内容

1級・2級電気工事施工管理技士の仕事内容

施工管理技士の仕事は多岐にわたりますが、大きく分けると「4大管理」と呼ばれる業務に集約されます。

4大管理(工程・原価・品質・安全)とは?

現場監督が日々行う管理業務の柱です。

  1. 工程管理:工事が納期(工期)に間に合うようにスケジュールを組みます。現在はAIを活用した工程表作成ツールなども普及していますが、突発的なトラブルへの対応や、職人さんとの交渉は人間のコミュニケーション能力が不可欠です。
  2. 原価管理:決められた予算内で工事が終わるように、材料費や人件費を管理します。資材価格の変動にも目を配り、利益を確保します。
  3. 品質管理:設計図書や仕様書通りの施工が行われているかを確認します。例えば、リングスリーブの圧着マークが正しいか、絶縁抵抗の値は基準を満たしているかなどを写真に記録し、証明します。
  4. 安全管理:これが最も重要です。現場での事故をゼロにするため、朝礼での注意喚起や、足場の点検、保護具(ヘルメットや安全帯)の着用確認を徹底します。

施工管理はきつい?の解像度(きつさの正体と対策)

施工管理はきつい?の解像度(きつさの正体と対策)

インターネットで施工管理について調べると「きつい」「やめとけ」という検索候補が出てきて、不安になる方もいるかもしれません。

しかし、その「きつさ」の正体をあらかじめ知っておけば、恐れる必要はありません。

電気工事士のきつさが「重い・暑い・狭い」といった肉体的なものであるのに対し、施工管理のきつさは「責任・段取り・コミュニケーション」という精神的な部分に集中します。

ここでは、電気工事施工管理特有の「きつさの正体(解像度)」と、それを乗り越えてプロの監督になるための「現実的な対策」を掘り下げて解説します。

電気工事施工管理が「きつい」と言われる3つの理由

なぜ電気工事の監督は大変なのでしょうか。それは電気設備が建物の「神経」であり、全ての工種(建築・空調・給排水)と関わる必要があるからです。

  1. 工程が他業者の進捗に左右される(連鎖するプレッシャー)電気工事は、壁ができないとコンセントが付けられず、天井が貼られないと照明が付きません。つまり、建築工事の進み具合に完全に依存します。前の工程(大工さんや塗装屋さん)が遅れると、そのしわ寄せが最終ランナーである電気工事に来がちです。「工期はズラせない、でも前の作業が終わっていない」という板挟みの中で、いかに職人さんが作業できる場所を確保するか、パズルを解くような調整力が求められます。また、電気特有の「停電作業(ビルの電気を止めて繋ぎ変える)」は失敗が許されないため、この瞬間の緊張感は独特のものがあります。
  2. 書類と写真が膨大(仕事の半分は記録)「工事をして終わり」ではありません。壁の中に隠れてしまう配線や、コンクリートに埋まる配管は、後から見えなくなります。そのため、「設計図通りに正しい材料を、正しい間隔で施工しました」という証拠(施工状況写真)を大量に撮影し、整理する必要があります。日中は現場を走り回り、夕方から事務所で書類作成……となりがちで、ここを効率化できないと残業が増える原因になります。
  3. トラブル対応の矢面に立つ(現場の防波堤)「施主様から急なコンセント追加の要望があった」「近隣住民から騒音のクレームが入った」「図面と現場の梁(はり)の位置が違って配線が通らない」こうした予期せぬトラブルが起きた時、職人さんは作業を止めて監督の指示を待ちます。監督はこれら全てを一人で抱え込むのではなく、解決策を提示したり、追加費用の交渉を行ったりして、現場の流れを止めないようにする「防波堤」の役割を担います。

「きつさ」を「やりがい」に変える3つの現実的な対策

脅かすようなことばかり書きましたが、優秀な施工管理技士はこれらを「仕組み」で解決しています。これから目指すあなたが、現場で潰れないための護身術を紹介します。

対策1:写真と書類は「当日中に7割」でOKとする

真面目な人ほど、完璧な書類を作ろうとして時間を浪費します。しかし、現場は毎日動きます。

コツは「その日の写真は、その日のうちにフォルダに入れる」だけで良しとすることです。整理や加工は後でもできますが、データの紛失や撮り忘れは取り返しがつきません。

「完璧を目指さず、まずは7割の完成度でボールを投げる(上司や客先に確認する)」というスタンスが、精神的な余裕を生みます。

対策2:朝イチで職長と「3分の擦り合わせ」を行う

現場が混乱する最大の原因は「職人さんが何をしていいかわからない待ち時間」です。

朝礼の直後に、職長クラスのキーマンと3分だけでいいので会話をしましょう。

「今日はあそこ、塗装屋さんが入るから入れないよ」「代わりにこっちの配線を先にやろうか」

この先手必勝のコミュニケーションが、夕方のトラブル(=残業)を劇的に減らします。

自分から声をかけることで、職人さんからの信頼度も一気に上がります。

対策3:電気工事の「基礎用語」を曖昧にしない

指示出しのミスは、用語の認識ズレから生まれます。

例えば「ボックス」と言った時、それが「アウトレットボックス」なのか「スイッチボックス」なのか、あるいは「プルボックス」なのか。ここが曖昧だと、間違った材料が取り付けられ、やり直し工事が発生します。やり直しは全員の士気を下げます。

逆に言えば、正しい用語(共通言語)を使えるようになれば、職人さんとは阿吽の呼吸で通じ合えるようになり、仕事が驚くほどスムーズに進むようになります。

用語に不安がある人は、現場で飛び交う単語をすぐに確認できる環境を作っておくことが、仕事も勉強も楽にする近道です。

[用語に迷ったらチェック:テニショク図鑑]


まとめに:きつさの先にある「点灯」の感動

電気工事施工管理は、確かに調整業務が多く大変な仕事です。しかし、何もない更地に建物が建ち、最後にスイッチを入れて建物全体に明かりが灯る瞬間(受電・点灯試験)の感動は、この仕事でしか味わえません。

「きつさ」は適切な対策でコントロールできます。現場を指揮し、地図に残る建物の「命」を吹き込む達成感を、ぜひ味わってください。


【2026年最新】試験日程と申込スケジュール(1級・2級)

【2026年最新】試験日程と申込スケジュール(1級・2級)

最終更新:2026年1月

この資格は「いつ受けられるか」が超重要です。特に建設業界は年度末や夏季休暇前などの繁忙期と試験日が重なりがちです。「気づいたら申込期間が終わっていた…」という悲劇を避けるため、最新年度(令和8年度=2026年度)の日程を確実に押さえ、逆算して準備しましょう。

以下に、2026年度の最新日程と合格に向けたスケジュール戦略をまとめました。

※注意

以下の日程は2026年1月時点で公表されている予定スケジュールです。必ず受験申請前に建設業振興基金の公式サイトで確定情報を確認してください。

1級 電気工事施工管理技士(2026年度日程)

1級は年に1回の大勝負です。

最大の注意点は、申込期間が「2月」と非常に早いことです。「新年度(4月)になって落ち着いてから申し込もう」と思っていると手遅れになります。

区分日程(予定)備考
申込期間2026年2月13日(金) ~ 2月27日(金)期間は約2週間。ネット申込推奨。
(特例) 一次のみ申込2026年2月13日(金) ~ 4月7日(月)※「技士補」狙いのネット申込限定期間
第一次検定日2026年7月12日(日)例年7月中旬の日曜日に実施
合格発表日 (一次)2026年8月21日(金)
第二次検定日2026年10月18日(日)例年10月中旬〜下旬の日曜日に実施
合格発表日 (二次)2027年1月8日(金)

📅 1級合格への「戦略」

  • 「技士補」狙いなら4月までチャンスあり制度改正により、「第一次検定のみ(技士補)」を受験する方に限り、申込期間が4月上旬まで大幅に延長されています。実務経験が足りない若手の方や、急遽受験を決めた方はこの特例措置を活用しましょう。
  • 夏の終わりが勝負第一次検定(7月)が終わると、第二次検定(10月)までは約3ヶ月しかありません。猛暑の現場で体力を削られる時期ですが、お盆休みなどを利用して「経験記述(作文)」の準備を進めるのが合否の分かれ目です。

2級 電気工事施工管理技士(2026年度日程)

2級は「前期(第一次のみ)」と「後期(第一次・第二次)」の2回チャンスがあります。

自分の状況に合わせて、どちらを受けるか戦略的に選びましょう。

① 前期日程(第一次検定のみ実施)

前期は「第一次検定」のみ行われます。まずは知識の証明である「技士補」を取りたい学生や若手社員におすすめです。

区分日程(予定)備考
申込期間2026年2月6日(金) ~ 2月27日(金)1級と同時期です
試験日2026年6月14日(日)
合格発表日2026年7月10日(金)

② 後期日程(第一次・第二次検定 / 第二次のみ)

2級取得(技士)を目指すメインの試験です。同日に「第一次」と「第二次」をまとめて受けることができます。

書面申込よりもインターネット申込のほうが受付期間が長く設定されているのが特徴です。

区分日程(予定)備考
申込期間 (ネット)2026年6月24日(水) ~ 7月22日(水)ネットなら早く申し込める
申込期間 (書面)2026年7月8日(水) ~ 7月22日(水)期間が短いので注意
試験日2026年11月8日(日)
合格発表 (一次)2026年12月21日(月)一次のみ合格の場合
合格発表 (二次)2027年2月5日(金)最終合格

📅 2級合格への「戦略」

  • 働きながらなら「分割受験」がおすすめ前期(6月)で「第一次検定」に合格しておけば、後期(11月)は「第二次検定」だけに集中して受験することができます。勉強の負担を分散できるため、激務の現場にいる方には「前期で技士補確保 → 後期で技士取得」のルートを強く推奨します。

⚠️ 申し込みで失敗しないための3つの注意点

日程を知っていても、申し込みでミスをすると受験票が届きません。以下の3点だけは絶対に押さえてください。

  1. 実務経験の「計算基準日」
    • 2級の第二次検定を受験する場合、実務経験の年数は「試験の前日」までカウント可能です。ギリギリ足りるか不安な方は、手引きの計算表をよく確認しましょう。
  2. 証明写真は「無背景」で
    • スマホで撮影した写真をアップロードする場合、背景に家具やポスターが写り込んでいると再提出になります。必ず白い壁の前で撮影しましょう。
  3. 会社印をもらう時間は余裕を持って
    • 第二次検定(または一次・二次同時)を受ける場合、実務経験証明書に会社の代表者印が必要です。総務や社長の決裁に時間がかかる場合があるため、締切の1週間前には依頼を出しましょう。

[👉 一般財団法人建設業振興基金(JCT) 試験情報サイトはこちら]


合格基準・合格率から見る難易度(一次と二次は別物)

合格基準・合格率から見る難易度(一次と二次は別物)

電気工事施工管理技士の試験に挑む際、最も重要な認識は「一次(第一次検定)と二次(第二次検定)では、求められる脳の使い方が全く違う」という点です。

数字上の合格率だけを見て「半分くらい受かるなら余裕か」と油断すると、痛い目を見ることになります。ここでは、公式の基準と、数字には表れない「本当の難易度」について解説します。

1. 合格基準(何点取れば受かる?)

基本的には「得点率60%以上」が合格ラインです。

競争試験(上位◯人が合格)ではなく、基準点さえ超えれば全員合格できる「絶対評価」の試験ですが、1級には特有の「足切り」が存在するため注意が必要です。

検定区分合格基準(目安)難易度のポイント
第一次検定
(マークシート)
全体の60%以上【1級は足切り注意】
1級の場合、全体で満点を取っても「施工管理法(応用能力問題)」という特定分野で基準(例:50〜60%など)を下回ると即不合格になります。苦手分野を作れないのが1級の怖さです。
第二次検定
(記述+選択)
全体の60%以上記述の配点は非公開
部分点があると言われていますが、重要キーワードが抜けていると大きく減点されます。「なんとなく書く」では点はもらえません。

2. 合格率の目安と「数字の罠」

最新の傾向(2024年改正以降のトレンド)を見ると、級によって難易度の質が異なります。

「1級は二次の方が受かりやすい」ように見えますが、これが最大の罠です。

【1級】の難易度(精鋭たちの戦い)

  • 第一次検定(合格率:35%〜45%)
    • 難易度:高い。
    • 範囲が膨大(電気・建築・法規)で、応用能力問題の足切りもあるため、半数以上が脱落します。
  • 第二次検定(合格率:50%〜60%)
    • 数字のトリックに注意!
    • 合格率が高く見えるのは、「難関の一次を突破した猛者」だけが受験しているからです。母集団のレベルが非常に高いため、実質的な難易度は数字以上に高いです。「現場経験はあるが文章が苦手」なベテランが、ここで何度も不合格になるケースが後を絶ちません。

【2級】の難易度(若手の壁)

  • 第一次検定(合格率:55%〜60%)
    • 難易度:普通。
    • 過去問をしっかり反復すれば、初学者でも十分に合格ラインに届きます。
  • 第二次検定(合格率:40%〜50%)
    • ここが最難関。
    • 1級とは逆に、一次よりも合格率が下がる傾向にあります。これは、経験の浅い若手が「記述式問題(経験記述)」の対策不足で落ちてしまうためです。「2級だから簡単」と侮ると、二次の記述式で確実に落ちます。

3. 一次と二次で「勉強法」をガラリと変えろ

一次に受かった人が二次で落ちるのは、勉強の質を変えていないからです。

第一次検定は「知識の広さ」勝負

  • 形式: 四肢択一(マークシート)
  • 攻略法: 「過去問の反復」が最強です。
  • 過去問5〜7年分を3周すれば、似たような問題が出題されるため、60点の壁は越えられます。「広く浅く」覚えるのがコツです。

第二次検定は「翻訳能力」の勝負

  • 形式: 記述式(文章で答える)
  • 攻略法: 「作業員目線」を「監督目線」に翻訳する必要があります。
  • ここでは、「現場でトラブルが起きた時、具体的にどう対処したか?」を論理的に説明する力が問われます。
    • × 落ちる例(感想文):「安全に気をつけて、一生懸命作業しました」(具体性ゼロ)
    • 受かる例(報告書):「開口部からの墜落防止のため、高さ1.1mの手すりを設置し、関係者以外の立ち入り禁止区画を明示した」(具体的)
  • このように、具体的な「数値」「専門用語」を使って説明できなければ点数になりません。

4. 2024年改正後の「新しい難易度」

2024年(令和6年度)の制度改正により、試験の質が変化しました。

  • 第一次検定の難化(応用能力の追加):以前は二次試験で問われていた「現場での応用判断」を問う問題が、一次試験にも組み込まれました。単なる丸暗記では通用しない問題が増えています。
  • 「技士補」の創設による変化:一次試験さえ受かれば「技士補」になれるため、とりあえず一次突破を目指す人は増えています。しかし、最終的な「技士(二次合格)」への道のりは、記述力が重視されるぶん、以前よりシビアになっています。

結論:どう対策すればいい?

  • 一次対策: スマホアプリや過去問集で、隙間時間に数をこなす(ゲーム感覚でOK)。
  • 二次対策: 机に向かって「鉛筆で書く」トレーニングが必須。特に「施工経験記述」は、試験当日に考えていては絶対に間に合いません。事前に自分の経験した工事を整理し、「作文のストック」を作って暗記して挑むのが合格への鉄則です。

【2024年改正】新しい受験資格(技術検定制度)について

【2024年改正】新しい受験資格(技術検定制度)について

2024年(令和6年)4月より、施工管理技術検定の受検資格が大きく緩和・変更されました。2026年現在、この新制度が定着し、若い世代の挑戦が増えています。

19歳から「技士補」を目指せる(第一次検定の緩和)

以前は、受験するために長い実務経験が必要でしたが、新制度では「年齢(19歳以上)」の要件を満たせば、実務経験がなくても1級の第一次検定を受験できるようになりました。

第一次検定に合格すると「技士補」という国家資格が得られます。

これにより、工業高校や大学を卒業したばかりの若手や、異業種からの転職者でも、早い段階で「1級電気工事施工管理技士補」としてキャリアをスタートできるようになっています。

実務経験の要件が第二次検定受験時に変更

これまでは「試験を受ける前に」実務経験が必要でしたが、新制度では「第一次検定(技士補)」に合格した後に、所定の実務経験を積んで「第二次検定(技士)」に挑戦するルートが明確化されました。

これにより、まずは知識の証明である「技士補」を取得し、働きながら経験を積んで、最終的に「技士(監理技術者レベル)」を目指すというキャリアパスが描きやすくなっています。


施工管理技士を目指すための勉強と知識

施工管理技士を目指すための勉強と知識

施工管理技士試験は、法律や管理手法だけでなく、電気工事そのものの深い知識が問われます。

勉強の進め方(一次と二次で戦略を完全に分ける)

合格への最短ルートは、マークシート方式の「第一次検定」と、記述式の「第二次検定」を全く別の試験だと捉えて対策することです。それぞれの試験形式に特化した脳の使い方と準備方法を解説します。

【第一次検定】過去問を軸に「頻出パターン」を制圧する

第一次検定の勉強において、分厚いテキストを最初から最後まで丁寧に読む必要はありません。最も効率的なのは「過去問」を中心にした学習です。

  1. 過去問が最強のテキスト施工管理技士の試験問題は、過去に出題された良問が繰り返し形を変えて出題される傾向にあります。過去5年~7年分の問題を反復し、問題文を見た瞬間に「あ、このパターンだ」と反応できるレベルまで仕上げるのが合格への近道です。
  2. 「なぜ間違いなのか」まで理解する単に正解を覚えるだけでは、少しひねった問題が出ると対応できません。過去問を解く際は、不正解の選択肢についても「この数値が間違っている」「この用語の使い方が逆だ」といった理由を突き詰めてください。このプロセスを経ることで、近年重視されている「応用能力問題」にも対応できる深い知識が身につきます。
  3. 隙間時間を徹底活用一次対策は知識の「量」と「反射神経」が勝負です。まとまった勉強時間は必ずしも必要ありません。通勤電車の中や昼休み、現場の待機時間などに、スマホアプリや単語帳を使って「1問1答」を繰り返すのが効果的です。

【第二次検定】記述の「型」を早めに作り、言語化能力を磨く

多くの受験者が躓くのが第二次検定です。ここでは「知っている」ことではなく、「論理的に説明できる」ことが求められます。一次検定が終わってから慌てないよう、早めの準備が必要です。

  1. 「経験記述」はテンプレート化しておく第二次検定の最大の山場は、自身が経験した工事について記述する問題です。試験当日にゼロから文章を考えていては絶対に時間が足りません。合格する文章には鉄板の型があります。「問題発生」→「原因の検討」→「対策の実施」→「結果・評価」という流れです。特に重要なのが、安全・品質・工程管理の各分野において、この型に当てはまる自分のエピソードを事前に作成し、推敲を重ねて「完成原稿」を暗記しておくことです。
  2. 現場経験が浅い人ほど「言語化トレーニング」が効く「現場では感覚でやっているから、文章にするのが難しい」という方は、普段の仕事中に「脳内実況」を行うトレーニングがおすすめです。例えば、現場で写真を撮る際に、ただシャッターを切るのではなく、以下の3点を心の中で言語化してみてください。

・今、何の作業をしているか?(正確な専門用語で)

・ここにはどんな危険や品質リスクが潜んでいるか?

・それを防ぐために、具体的にどんな対策をしているか?

写真を見て「高所作業中」と思うだけでなく、「脚立使用時の転倒防止のため、天板に乗らず、補助者を配置して作業中」と言語化できるようになると、第二次検定の記述力は飛躍的に伸びます。現場の風景をすべて「試験問題」に見立てる意識が、合格への決定打となります。

電気工事の現場知識は必須条件

監督として指示を出すためには、実際に現場でどのように作業が行われているかを知らなければなりません。アウトレットボックスの中での結線方法や、接地工事(アース)の種類などの知識は、電気工事士試験の学習内容と直結しています。

そのため、まだ電気工事士の資格を持っていない方は、まず基礎知識として以下の資格について知っておくことを強くおすすめします。

施工管理技士の試験勉強において、これら電気工事士の知識は大きな土台となります。


電気工事士から施工管理技士へキャリアチェンジするメリット

現在、電気工事士として働いている方が施工管理技士を目指すメリットは非常に大きいです。

  1. 体力の負担が減る:年齢を重ねて現場での肉体労働が辛くなってきた時、管理業務への移行はキャリアを長く続けるための有効な手段です。
  2. 年収の大幅アップ:現場代理人として案件を回せるようになると、給与ベースが上がります。
  3. AI時代に生き残る「人間力」の証明:複雑な人間関係の調整や、現場ごとの臨機応変な判断は、AIには難しい領域です。施工管理のスキルは、今後数十年先も高い需要が見込まれます。

まとめ

電気工事施工管理技士は、建設業界の人手不足を背景に、今最も需要が高まっている職種の一つです。

  • 電気工事士とは異なり、「管理・監督」が主な仕事
  • 平均年収が高く、キャリアアップに最適
  • 2024年の制度改正で、19歳から1級技士補への挑戦が可能に
  • AIに代替されない「現場の調整力」が武器になる

現場で手を動かす楽しさを知っているあなただからこそ、次は現場全体を動かす「施工管理」の世界に挑戦してみてはいかがでしょうか。


■電気工事の用語をもっと知りたい方はこちら

現場で使われる専門用語を写真付きで解説しています。

電気工事士の用語図鑑(FAQサイト)