この記事でわかること
・リングスリーブ(E形)の用途と専用圧着工具の正しい選び方
・電線の太さと本数から導くスリーブサイズと圧着マークの簡単な覚え方
・技能試験で一発不合格となるリングスリーブ施工の重大欠陥基準と対策
第一種および第二種電気工事士の資格取得を目指すうえで、絶対に避けては通れない工事用材料が「リングスリーブ(E形)」です。
筆記試験における配線図問題から、技能試験における実際の施工作業まで、リングスリーブ(E形)はあらゆる場面で登場します。特に技能試験では、スリーブのサイズや圧着マーク(刻印)を一つ間違えるだけで「重大欠陥」となり、その時点で不合格となってしまいます。
この記事では、電気工事士試験の受験者目線に立ち、正しい選び方や施工のポイント、本番で役立つ暗記のコツを徹底的に解説します。
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1. 工事用材料「リングスリーブ(E形)」とは?

リングスリーブ(E形)は、屋内配線工事において電線(心線)同士を接続するために使用される筒状の金属部品です。試験科目においては「電線接続材料(その他材料)」に分類されます。
ジョイントボックス(アウトレットボックスやVVF用ジョイントボックス)の中で電線を分岐させたり、延長したりする際に、剥き出しにした銅線をスリーブの中に束ねて入れ、外側から強い力で潰すことで電気的・機械的にしっかりと接続します。
電気工事において「E形」という名称は、電線の端(End)を揃えて一方向から差し込んで接続する形状に由来しています。両端から突き合わせる「P形」や「B形」とは用途が異なるため、試験では終端接続用として必ず「E形」が指定されます。

2. 専用の「リングスリーブ用圧着工具」が必須

リングスリーブ(E形)を圧着する際は、必ずJIS規格に適合した「リングスリーブ用圧着工具」を使用しなければなりません。
この工具は、持ち手(柄)の部分が「黄色」になっているのが最大の特徴です。柄が赤色や青色の工具は裸圧着端子用など別の用途の工具であり、これを使用すると技能試験では「不適切な工具の使用」として重大欠陥になります。
工具の先端(ダイス部分)には複数の歯があり、どの場所で圧着するかによって、スリーブに刻まれる圧着マークが変わります。
3. 電線の太さと本数で決まる!スリーブサイズの選び方

リングスリーブ(E形)には「小」「中」「大」の3種類のサイズがあります。どのサイズを使用するかは、接続する電線の「断面積(スケア:平方ミリメートル)」の合計によって決まります。
筆記試験や技能試験では、主に直径1.6mmと2.0mmの単線(VVFケーブルなど)を使用します。まずは、この単線の太さを断面積に変換する数値を覚えましょう。
・直径1.6mmの単線 = 断面積2.0スケア
・直径2.0mmの単線 = 断面積3.5スケア
・直径2.6mmの単線 = 断面積5.5スケア
これらを接続する本数分だけ足し算し、以下の基準に当てはめてスリーブのサイズを選びます。
・合計8スケア以下 = 「小」スリーブ
・合計8スケアを超え、14スケア以下 = 「中」スリーブ
・合計14スケアを超え、22スケア以下 = 「大」スリーブ
たとえば、1.6mm(2.0スケア)を3本接続する場合、合計は6.0スケアとなるため「小」スリーブを使用します。より線を接続する場合は、ほぼ同じ許容電流の単線に置き換えて計算します。
4. 技能試験の要!圧着マークの組み合わせと簡単な覚え方

リングスリーブを専用工具で圧着すると、スリーブの表面に工具のダイスに刻まれた「圧着マーク(刻印)」が浮き出ます。
技能試験では、使用するスリーブのサイズと、この圧着マークの組み合わせを間違えると一発で不合格になります。
圧着マークには以下の4種類があります。
・小
・中
・大
試験本番で焦らないよう、試験で頻出する「点数方式」による簡単な覚え方をご紹介します。1.6mmを「1点」、2.0mmを「2点」として計算します。
パターンA:合計2点の場合
・該当する組み合わせ:1.6mmが2本
・スリーブのサイズ:小
・圧着マーク
ここが試験で最も間違えやすい「ひっかけポイント」です。スリーブは「小」を使用しますが、圧着マークは必ず 丸(特小)の圧着マーク記号 にしなければなりません。
パターンB:合計3点から4点の場合
・該当する組み合わせ:1.6mmが3本から4本、2.0mmが1本+1.6mmが1本から2本、2.0mmが2本
・スリーブのサイズ:小
・圧着マーク:小
パターンC:合計5点以上の場合
・該当する組み合わせ:1.6mmが5本以上、2.0mmが1本+1.6mmが3本以上、2.0mmが2本+1.6mmが1本以上、2.0mmが3本など
・スリーブのサイズ:中
・圧着マーク:中
この点数方式を覚えておけば、複線図を描く際に接続点にメモを書き込むことができ、作業中のミスを劇的に減らすことができます。
5. 技能試験で一発不合格!リングスリーブ接続の「重大欠陥」

正しいスリーブと圧着マークを選べても、施工の仕上がりが悪いと技能試験では「重大欠陥」として判定されます。練習の段階から以下のポイントを厳しくチェックしてください。
心線の突き出し量(長すぎ・短すぎ)
圧着を終えた後、リングスリーブの上端(先端)から銅線が少しだけ見えている状態が正解です。
・心線がスリーブの先端から「5mm以上」突き出している状態は欠陥です。必ず圧着後にペンチやニッパーで切り揃えてください。
・逆に、心線が短すぎてスリーブの中に引っ込んでしまい、上から全く見えない状態も欠陥となります。
絶縁被覆の噛み込み
電線の絶縁被覆(ビニル部分)を剥く長さが短すぎると、リングスリーブの筒の中に被覆まで一緒に入れて圧着してしまいます。これは導通不良や発熱による火災の原因となるため、絶対にあってはならない重大欠陥です。被覆はあらかじめ長めに剥いておき、銅線部分だけをスリーブに通すようにしましょう。
下部からの心線露出(むき出し)
絶縁被覆を剥きすぎた場合、リングスリーブの下端から銅線(心線)が長くむき出しになります。
このスリーブ下部からの心線の露出が「10mm以上」になると欠陥として判定されます。スリーブの下端から被覆までの隙間は、2mmから5mm程度に収まるように調整して圧着してください。
6. 筆記試験で頻出!接続後の「絶縁処理」ルール

リングスリーブ(E形)で圧着した部分は金属がむき出しになっており、そのままでは漏電やショートの危険があります。そのため、電気設備に関する技術基準に則り、必ず絶縁処理を施さなければなりません。この規定は筆記試験でよく出題されます。
リングスリーブ用絶縁キャップによる処理
最も確実で簡単な方法が、接続部分に専用の「絶縁キャップ」を奥までしっかりと被せることです。技能試験でもこの方法が採用されています。
絶縁テープによる処理
現場の状況などでテープを使用する場合は、テープの種類と厚さによって巻き方のルールが異なります。
・ビニル絶縁テープ(厚さ約0.2mm):半幅以上重ねて「2回(4層)以上」巻く。
・黒色粘着性ポリエチレン絶縁テープ(厚さ約0.5mm):半幅以上重ねて「1回(2層)以上」巻く。
・自己融着性絶縁テープ(厚さ約0.5mm):半幅以上重ねて「1回(2層)以上」巻き、さらにその上に保護テープを半幅以上重ねて1回以上巻く。
薄いビニルテープは「2回(4層)以上」という数字がひっかけ問題として出題されやすいので、しっかりと暗記しておきましょう。
まとめ

リングスリーブ(E形)の施工は、電気工事士にとって基本中の基本であり、安全な電気設備を構築するための要です。
・スリーブのサイズは電線の断面積の合計で選ぶ。
・1.6mmを2本接続する時だけは「小スリーブ」に「[画像:丸(特小)の圧着マーク記号]」のマークになるよう注意する。
・技能試験では「心線の突き出し(5mm以上は欠陥)」「被覆の噛み込み」「心線の露出(10mm以上は欠陥)」に細心の注意を払う。
・筆記試験対策として、絶縁テープの種類と必要な巻き回数を確実に覚える。
最初は工具が硬くて手こずるかもしれませんが、ルールを理解して何度も手を動かして練習すれば、必ず体が覚えてくれます。欠陥のない完璧な圧着を目指して、試験勉強を頑張ってください。
