この記事でわかること
・電線管を造営材に固定するための重要部材「サドル」の種類と用途を完全解説
・金属管は2m以下、合成樹脂管は1.5m以下という試験頻出の「支持点間隔」を整理
・類似部材であるケーブル固定用「ステープル」との違いと使い分けを明確化
電気工事士の筆記試験や技能試験において、地味ながらも絶対におろそかにできないのが「材料・工具」の知識です。特に配線工事の基礎となる「固定する部材」は、間違った使い方をすると欠陥工事や事故につながります。
今回は、ボックス・電線管付属品の中でも、電線管(パイプ)を壁や天井に固定するために必須の材料「サドル」について、その種類から試験で問われる設置ルールまで徹底的に解説します。
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サドルとは? 電気工事における役割

サドル(Saddle)とは、一言で言えば「電線管(パイプ)を建物(造営材)に固定するための金具」です。馬の背中に乗せる「鞍(サドル)」に形状が似ていることからこの名前がついています。
電気工事では、電線をそのまま露出させるのではなく、金属管や合成樹脂管(VE管)などのパイプに通して保護することが多々あります。そのパイプ自体がグラグラしないように、壁や柱にしっかりと固定するのがサドルの役割です。

試験での最重要ポイント:対象物は「管」
ここで最初に覚えておくべき区別があります。それは「サドルは管(パイプ)用」「ステープルはケーブル用」という大原則です。


- サドル:金属管、合成樹脂管、可とう電線管などを固定する。
- ステープル(ステップル):VVFケーブルなどの平形・丸形ケーブルを直接固定する。
サドルの種類と特徴

試験の写真鑑別問題では、この2つが選択肢に並ぶことがよくあります。「管を固定するものはどれか?」と聞かれたら迷わずサドルを選べるようにしましょう。
一口にサドルと言っても、固定する管の種類によって使うサドルも異なります。試験に出る代表的なものを整理しました。
1. 合成樹脂管用サドル(VEサドル)
一般住宅やビル工事でよく使われる、灰色のプラスチック製(硬質塩化ビニル製)の電線管「VE管」を固定するためのサドルです。
- 特徴:管と同じ樹脂製で、絶縁性と耐食性に優れています。
- 形状:管をパチンとはめ込み、ビス1本または2本で固定するタイプが主流です。ベース(台座)が付いており、壁から少し浮かせて固定するタイプもあります。
- 用途:VE管(硬質塩化ビニル電線管)の固定。
2. 金属管用サドル
鉄などの金属で作られた丈夫なサドルです。主に薄鋼電線管(C管)やねじなし電線管(E管)を固定する際に使用されます。
- 片サドル(片浮きサドル):片側だけで固定するタイプ。配管を後から乗せて固定しやすい利点があります。
- 両サドル(両浮きサドル):両側をビスで留めるΩ(オメガ)型のタイプ。より強固に固定できます。
- 用途:金属管の固定。
3. PF管・CD管用サドル
波付硬質合成樹脂管(PF管・CD管)は表面がデコボコしているため、専用のサドルを使用することが一般的です。一般的なサドルでも固定できますが、専用品は管の溝にフィットしてズレない構造になっています。
【超重要】試験に出る「支持点間隔」の暗記法

サドルに関する問題で、筆記試験において最も出題頻度が高いのが「支持点間隔(固定するピッチ)」です。
「どのくらいの間隔でサドルを設置しなければならないか」というルールは、管の種類によって異なります。ここは丸暗記が必要な箇所です。
1. 合成樹脂管(VE管)の場合
【支持点間隔:1.5m以下】
プラスチック製の管は金属に比べて柔らかく、熱でたわみやすいため、金属管よりも細かく(短い間隔で)固定する必要があります。「樹脂は弱いから1.5メートル」と覚えましょう。
※ただし、管の端(ボックスなどの接続点)に近い部分は、接続点から0.3m以内の場所に固定する必要があります。
2. 金属管の場合
【支持点間隔:2m以下】
金属管は強度があり曲がりにくいため、樹脂管よりも広い間隔で固定することが許されています。「金属は硬いから2メートル」と覚えます。
3. ライティングダクトの場合
【支持点間隔:2m以下】
店舗の照明などで使われるライティングダクトも、金属管と同様に2m以下の間隔で支持します。
4. ケーブル(ステープル固定)の場合
【支持点間隔:2m以下】
比較対象として覚えておきたいのがケーブル工事です。VVFケーブルなどをステープルで固定する場合、造営材の側面や下面に沿って取り付ける場合は2m以下です。
(※接触防護措置を施した場所で垂直に取り付ける場合は6m以下という特例もありますが、基本は2mで覚えましょう)
暗記のためのまとめリスト
試験直前に見直せるよう、数字を整理しておきます。
- 1.5m以下:合成樹脂管(VE管)、可とう電線管(PF管・CD管※一般的に1m推奨だが試験対策としては合成樹脂管の1.5mを死守)
- 2.0m以下:金属管、ケーブル、ライティングダクト
「樹脂は1.5、それ以外(金属・ケーブル)は2」というイメージを持っておくと、迷った時の判断基準になります。
技能試験でのサドルの扱い

第一種・第二種の技能試験(実技)においても、サドルは登場します。ただし、実際の試験会場の作業板にネジを打ち込むことはできないため、多くの場合は「省略」となります。
しかし、材料として支給される場合や、施工条件に「サドルの代用として○○を使用する」といった指示が出る場合があります。
特に、アウトレットボックスと電線管を接続した際、「ボックスに近い位置(通常は30cm以内程度)を確実に固定する」という施工意識を持つことが、プロとしての基本動作です。
サドルとステープルの見分け方(写真鑑別対策)

最後に、筆記試験の写真鑑別問題で間違えないためのポイントを再確認します。
- サドル:形状が立体的で、中に空洞(パイプが通るスペース)がはっきりある。素材は金属または樹脂。ビス用の穴が開いていることが多い。
- ステープル:コの字型の釘(金属製)または、プラスチックのカバーに釘がセットされているもの。形状が薄い、あるいは小さい。「ケーブルを挟んで打ち込む」形状をしている。
問題文で「金属管工事に使用するものは?」と聞かれたらサドル、「ケーブル工事に使用するものは?」と聞かれたらステープルを選んでください。
まとめ
電気工事士試験における「サドル」の学習ポイントは以下の通りです。
- 用途:電線管(パイプ)を造営材に固定する材料である。
- 区別:ケーブルを固定する「ステープル」とは別物である。
- 数値:支持点間隔は「合成樹脂管=1.5m以下」「金属管=2m以下」が鉄則。
特に支持点間隔の数字は、筆記試験の法令問題や配線設計問題で頻出です。ここを確実に押さえておくことで、合格へ一歩近づきます。工事用材料は似たような名前や形状が多いですが、一つひとつの「役割」と「ルール」を紐付けて整理していきましょう。

