この記事でわかること
・電線の長さと断面積が抵抗値に与える影響(比例と反比例の法則)
・周囲温度の上昇や材質(軟銅線・アルミ線)による抵抗値の変化
・電気工事士試験で頻出される電線の抵抗に関する過去問の解き方
電気工事士の学科(筆記)試験において、「電気に関する基礎理論」は確実に得点源にしたい重要分野です。その中でも「電線の抵抗」に関する問題は、第一種・第二種を問わず毎年のように出題されます。
「電線が長くなると抵抗はどうなるのか?」「太くなるとどうなるのか?」「周囲の温度が上がるとどう変化するのか?」といった基本的な法則を暗記するだけでなく、理屈からしっかり理解しておくことが合格への近道です。
本記事では、電線の抵抗値に影響を与える要素について、初学者の方にも分かりやすく徹底解説します。
■ 電線の抵抗を決める4つの要素

電線が持つ抵抗値は、一定ではありません。主に以下の4つの要素によって変化します。
1. 電線の長さ
2. 導体の断面積(太さ)
3. 周囲温度
4. 電線の材質
それぞれの要素が抵抗値とどのような関係を持っているのかを整理していきましょう。
■ 1. 電線の長さと抵抗値の関係(比例)
電線の抵抗値は、電線の「長さ」に比例します。
つまり、電線が長くなればなるほど、電気が通らなければならない道のりが長くなるため、抵抗は大きくなります。
例えば、電線の長さが2倍になれば抵抗値も2倍になり、長さが半分になれば抵抗値も半分になります。ホースが長くなるほど水が通りにくくなるイメージを持つと理解しやすいでしょう。
■ 2. 導体の断面積と抵抗値の関係(反比例)
電線の抵抗値は、導体の「断面積(太さ)」に反比例します。
断面積が大きい(電線が太い)ほど、電気が通るための道幅が広くなるため、抵抗は小さく(電気が流れやすく)なります。逆に、断面積が小さい(電線が細い)ほど、抵抗は大きくなります。
これも水に例えると、太いホースの方が一度にたくさんの水をスムーズに流せる(抵抗が少ない)のと同じ理屈です。試験では「直径」ではなく「断面積」に反比例するという引っかけ問題も出やすいため、言葉を正確に覚えておきましょう。

■ 3. 電線の周囲温度と抵抗値の関係
計算問題ばかりに気を取られていると意外と忘れがちなのが、温度による変化です。
一般的な金属の導体(電気工事で使われる銅など)の場合、周囲の温度が上昇すると、電線の抵抗値は「大きく」なります。
金属の温度が上がると、金属内部の原子の熱振動が激しくなり、電子の流れ(電流)を妨げる障害物のように振る舞うためです。「温度が上がる=抵抗が増す」という正比例のような関係を、試験対策として確実に暗記しておきましょう。
■ 4. 電線の材質と抵抗値の関係(軟銅線とアルミニウム線)
電線の材質によっても、もともとの電気の通しやすさ(抵抗率)が異なります。
電気工事でよく使われる導体には「銅」と「アルミニウム」がありますが、アルミニウム電線の抵抗値は、軟銅線の抵抗値よりも「大きく」なります。
銅の方が電気を通しやすい、より優れた導体であると覚えてください。
また、電線の構造として「単線(1本の太い線)」と「より線(細い線を複数束ねたもの)」があります。
材質が同じ軟銅線であれば、電線の長さと断面積が同じ場合、より線であっても単線であっても抵抗値は「ほぼ同じ」になります。形状が変わっても、断面積の合計が同じであれば抵抗値に大きな差は生まれません。

■ 【過去問チャレンジ】電線の抵抗に関する問題
それでは、実際の試験でどのように出題されるか、例題を見てみましょう。以下の記述の中から、誤っているものを見つけてください。
イ.周囲の温度が上昇すると、電線の抵抗値は小さくなる。
ロ.抵抗値は、電線の長さに比例し、導体の断面積に反比例する。
ハ.電線の長さと導体の断面積が同じ場合、アルミニウム電線の抵抗値は、軟銅線の抵抗値より大きい。
ニ.軟銅線では、電線の長さと断面積が同じであれば、より線も単線も抵抗値はほぼ同じである。

解説・解答
誤っている記述は「イ」です。
先ほどの解説の通り、一般的な電線の導体は周囲の温度が上昇すると、抵抗値は「大きく」なります。したがって「小さくなる」としているイの記述が誤りとなります。
ロ、ハ、ニの記述はすべて正しい内容です。これらの選択肢の文章自体が、試験で問われる重要ポイントを網羅していますので、正しい知識としてそのままインプットしておくことをおすすめします。
■ まとめ
電線の抵抗に関する基礎知識は、単独で出題されるだけでなく、オームの法則を用いた電圧降下の計算など、より複雑な問題のベースとなる非常に重要な概念です。
・長さ:長いほど抵抗は増える(比例)
・太さ(断面積):太いほど抵抗は減る(反比例)
・温度:上がると抵抗は増大する
・材質:アルミニウムは銅よりも抵抗が大きい
これら4つのポイントと法則性を確実におさえ、電気工事士試験の基礎理論問題で確実に得点できるように準備を進めましょう。

