絶縁耐力試験の電圧計算から実施方法・可変リアクトルの活用まで完全解説

絶縁耐力試験の電圧計算から実施方法・可変リアクトルの活用まで完全解説

この記事で分かること

・公称電圧から最大使用電圧、そして交流・直流の試験電圧を算出する計算手法

・連続10分間印加や前後の絶縁抵抗測定といった絶縁耐力試験の正しい実施ルール

・変圧器の二次側接地や可変リアクトルを用いた電源容量軽減など試験特有の重要事項

第一種電気工事士の試験において、高圧受電設備等の安全性を担保するための絶縁耐力試験は、非常に重要度が高いテーマです。計算問題から文章問題まで幅広く出題されるため、単なる暗記ではなく、計算式や実施ルール、特例の機器の取り扱いを正確に理解しておく必要があります。この記事では、電気工事士試験の合格を目指す方に向けて、絶縁耐力試験の全容を徹底的に解説します。

絶縁耐力試験における試験電圧の求め方

絶縁耐力試験では、対象となる電路や機器に印加する「試験電圧」を正しく計算できるかどうかが頻繁に問われます。順を追って計算方法を確認しましょう。

公称電圧から最大使用電圧への変換

試験電圧を求める第一歩は、最大使用電圧を算出することです。計算式は以下の通り定められています。

最大使用電圧 = 公称電圧 × 1.15 / 1.1 [V]

例えば、公称電圧が6600Vの場合、最大使用電圧は6900Vとなります。このステップを飛ばすと正しい試験電圧が導き出せないため、確実に押さえておきましょう。

交流試験電圧の算出

最大使用電圧が求まったら、次に交流試験電圧を計算します。一般的な高圧電路において、交流試験電圧は以下の式で求められます。

交流試験電圧 = 最大使用電圧 × 1.5 [V]

先ほどの例で言えば、最大使用電圧6900Vの1.5倍となるため、10350V(10.35kV)が交流試験電圧となります。

ケーブルにおける直流での試験電圧

試験の対象が「ケーブル」である場合、交流電圧の代わりに直流電圧を用いて試験を行うことが認められています。この場合の試験電圧は、交流試験電圧の2倍となります。

ケーブルの直流試験電圧 = 交流試験電圧 × 2 = 最大使用電圧 × 1.5 × 2 [V]

試験問題では、「最大使用電圧6900Vの交流電路に使用するケーブルの試験を直流で行う場合の電圧は?」といった形で出題されます。この際、1.5倍したあとにさらに2倍する、というルールを忘れないようにしてください。

絶縁耐力試験の正しい実施方法

電圧の計算ができたら、次はどのように試験を実施するかの手順とルールです。誤った手順を指摘する問題がよく出題されます。

連続で10分間の電圧印加が必須

絶縁耐力試験において最も重要なルールの一つが、試験電圧は連続して10分間印加しなければならないという点です。

もし、印加開始から5分経過した時点で停電などのトラブルが起き、電圧の印加が途切れてしまった場合、再開して残りの5分を行うことは認められません。必ず最初からやり直し、改めて連続10分間の印加を行う必要があります。試験問題では「合計10分間印加した」という記述が誤りの選択肢として登場するので注意しましょう。

試験前後の絶縁抵抗測定による安全確認

絶縁耐力試験は高い電圧をかけるため、試験そのものが原因で機器にダメージを与えていないかを確認する必要があります。そのため、試験の前後には必ず1000V以上の絶縁抵抗計(メガー)を用いて絶縁抵抗測定と安全確認を実施します。

実施するタイミングの注意点

絶縁耐力試験は、主に新設時や改修時など、設備を新たに使い始める前に行われます。通常の定期点検等で行われるものではないという点も、知識として覚えておきましょう。

変圧器の絶縁耐力試験における二次側巻線の一括接地

変圧器(トランス)に対して絶縁耐力試験を行う際にも特有のルールがあります。

変圧器の一次側巻線に試験電圧を印加して試験を行う場合、二次側の巻線を一括して接地する必要があります。これは、一次側に高電圧をかけた際に、二次側に予期せぬ高い誘導電圧が発生し、機器の焼損や感電事故を引き起こすのを防ぐための安全措置です。試験の選択肢として「二次側巻線を一括して接地した」という記述があれば、それは正しい処置となります。

可変リアクトルの使用による試験用電源の容量軽減

高圧ケーブルの試験を行う場合、ケーブルの距離が長いと静電容量が非常に大きくなります。静電容量が大きい対象に交流の高電圧をかけると、非常に大きな充電電流が流れるため、試験用の電源設備(試験器)もそれに見合った巨大な容量のものが必要になってしまいます。

これを解決するために使用されるのが可変リアクトルです。

ケーブルの静電容量に対して、可変リアクトルを用いて並列共振回路を構成することで、試験用電源から供給すべき電流を大幅に軽減することができます。これにより、小型の試験用電源設備でも長いケーブルの絶縁耐力試験が可能になります。試験では「ケーブルが長く静電容量が大きい場合は、可変リアクトルを使用して試験用電源の容量を軽減する」という記述が頻出します。

まとめ

絶縁耐力試験は、第一種電気工事士試験において必ず押さえておくべき最重要項目のひとつです。

公称電圧から1.5倍、あるいは直流の2倍といった計算のプロセスを暗記するだけでなく、連続10分間という印加時間の絶対ルール、試験前後のメガー測定、変圧器の二次側接地、そして可変リアクトルによる電源容量軽減の理由まで、セットで理解しておくことが合格への近道です。計算と文章問題の両方に対応できるよう、しっかりと復習しておきましょう。