送電施設を完全攻略!送電線の特徴・中性点接地方式・雷害・損傷防止・ケーブル電力損失を徹底解説

送電施設を完全攻略!送電線の特徴・中性点接地方式・雷害・損傷防止・ケーブル電力損失を徹底解説

この記事では以下のことが分かります。

・送電線の基本特性や電圧と損失の関係、ねん架の目的、直流送電の特徴が理解できます。

・直接接地、抵抗接地など各中性点接地方式の違いと、送電線を雷害や振動から守る設備の役割が分かります。

・高圧ケーブル特有の電力損失(抵抗損・誘電損・シース損)の発生メカニズムを整理できます。

第一種および第二種電気工事士の試験において、送電施設に関する知識は配電系統を理解する上で非常に重要です。発電所から作られた大きな電力を変電所や大口需要家へ送り届ける送電線路には、安全かつ効率的に電気を送るための様々な工夫と設備が施されています。

本記事では、電気工事士試験でよく問われる送電線の特徴、送電用変圧器の中性点接地方式、雷害対策、損傷防止設備、そしてケーブルの電力損失について、初学者にも分かりやすく徹底的に解説します。

送電線の基本的な特徴

送電線は、発電所、変電所、そして特別高圧で受電する大口需要家などの間を結ぶ電力の動脈です。試験で問われやすい重要な特徴を一つずつ確認していきましょう。

送電線の基本的な特徴

架空送電線と鋼心アルミより線

一般的に、経済性などの観点から送電線には鉄塔などを利用した架空送電線が広く採用されています。また、電線の材質としては、軽量でありながら引張強さに優れた「鋼心アルミより線」が使用されるのが一般的です。これは、中心に鋼線を配置して強度を保ち、その周囲に導電性の良いアルミ線をより合わせた構造になっています。

表皮効果による電流分布

交流電流を流した際、電線の断面において電流の密度は均一になりません。電線の中心部よりも外側のほうが単位面積当たりの電流が大きくなる現象を「表皮効果」と呼びます。周波数が高いほど、また導体が太いほどこの効果は顕著になります。試験では中心と外側のどちらの電流密度が大きいかが問われるため、しっかりと覚えておきましょう。

送電電圧と送電損失の関係

同じ容量の電力を送る場合、送電電圧が高いほど電流は小さくなります。電力損失(ジュール熱)は電流の2乗に比例して発生するため、電流が小さくなれば送電損失も小さくなります。このため、長距離を効率よく送電するためには、超高圧・特別高圧といった高い電圧が採用されています。

ねん架(撚架)の目的

三相交流を送電する架空送電線路において、各相の電線が大地や他の電線との間で持つ静電容量やインダクタンスは、電線の配置位置によって異なってしまいます。これを放置すると電圧や電流の不平衡が生じるため、一定区間ごとに各相の配置を入れ替える「ねん架」を行います。ねん架の目的は「全区間の各相の作用インダクタンスと作用静電容量を平衡させるため」と定型文で出題されることが多いので暗記必須です。

直流送電の特徴

直流送電は、交流のように無効電力や表皮効果の影響を受けないため、長距離送電や大電力送電、海底ケーブルによる送電に適しています。しかし、発電機で発生する電気や家庭で使う電気は交流であるため、送電端と受電端のそれぞれに大規模な「交直変換装置」が必要になるというデメリットもあります。

送電用変圧器の中性点接地方式

22kV以上の送電線では、一般に中性点接地方式が採用されています。地絡事故時の異常電圧の抑制や保護継電器の確実な動作などを目的としていますが、方式によって特徴が大きく異なります。

直接接地方式

中性点を導線で直接大地に接地する方式です。

1線地絡故障時の健全相の異常電圧発生を低く抑えられるという大きなメリットがあります。一方で、地絡電流が非常に大きくなるため、近接する通信線に対する電磁誘導障害が大きくなるというデメリットがあります。超高圧送電系統などで採用されます。

抵抗接地方式

中性点を一般的に100オームから1000オーム程度の抵抗を介して接地する方式です。

1線地絡電流を100アンペアから300アンペア程度に制限することができます。これにより、直接接地方式と比べて地絡電流が小さくなるため、通信線に対する電磁誘導障害を少なくできるのが特徴です。日本の多くの送電系統で採用されています。

消弧リアクトル接地方式

中性点を、送電線路の対地静電容量と並列共振するような大きさのインダクタンスを持つリアクトルで接地する方式です。

1線地絡時に、故障点に向かって流れる進み電流とリアクトルからの遅れ電流が打ち消し合うため、地絡故障電流をほとんど流さないという優れた特徴があります。

非接地方式

中性点を接地しない方式で、主に6.6kVの配電系統で使われています。

地絡電流は非常に小さくなりますが、地絡事故時に健全相の対地電圧が上昇しやすく、異常電圧が発生しやすいという欠点があります。

送電用変圧器の中性点接地方式

送電線の雷害対策設備

架空送電線は落雷の影響を直接受けやすいため、設備を雷から守る対策が不可欠です。

送電線の雷害対策設備

アークホーンの役割

アークホーンは、がいし装置の両端(電線側と鉄塔側)に取り付けられる金属製のツノのような形をした保護金具です。

落雷時にがいしや電線に異常電圧がかかった際、がいしの表面を這って放電(フラッシオーバ)すると、アーク熱によってがいしが破損したり電線が溶断したりする恐れがあります。アークホーンを取り付けることで、がいしを迂回してアークホーン間で放電を発生させ、雷の異常電圧からがいしや電線を保護することができます。

試験では「がいしの両端に設け、雷の異常電圧から保護する」という説明と名称を結びつける問題が頻出です。

がいしの両端に取り付けられたアークホーンと放電の様子を示す図

送電線の損傷防止設備

架空送電線は、雷だけでなく風の影響によっても損傷するリスクがあります。特に微風によって生じる電線の上下振動は、長期間続くと金属疲労を引き起こし、電線の素線切れや断線につながります。

送電線の損傷防止設備

ダンパ

ダンパは、電線におもりとして取り付ける振動吸収装置です。

比較的緩やかな風(微風)によって生じる電線の振動エネルギーを、おもりの振動によって吸収・減衰させ、電線の損傷や断線を防止します。トーマスダンパなどが有名です。

電線に取り付けられたダンパ(おもり)の図

アーマロッド

アーマロッドは、電線と同種の金属線を、電線の支持点(がいしへの取り付け部など)付近に巻き付けて補強する部材です。

振動による応力が集中しやすい部分を物理的に補強することで、電線の曲げ応力を緩和し、振動による素線切れなどを防止します。

試験対策としては、振動を吸収するのがダンパ、巻き付けて補強するのがアーマロッド、雷から守るのがアークホーンと、それぞれの役割の違いをはっきりと区別して覚えることがポイントです。

がいし支持部分の電線に巻き付けられたアーマロッドの図

ケーブルの電力損失

送電は架空線だけでなく、地中を通る高圧・特別高圧ケーブルが使用されることもあります。ケーブル特有の電力損失には主に3つの種類があり、試験でもその内容が問われます。

ケーブルの電力損失

抵抗損

電線(導体)そのものが持つ電気抵抗によって生じる損失です。電流が流れることでジュール熱として発生します。

誘電損

ケーブルの導体を覆っている絶縁体(誘電体)の内部で生じる損失です。交流電圧を印加することで絶縁体内部の分子が摩擦を起こし、熱となって失われる電力です。電圧が高いほど大きくなります。

シース損

ケーブルの一番外側にある金属シースに発生する電磁誘導による起電力によって、シースに電流が流れることで生じる損失です。

試験では「高圧ケーブルの電力損失として該当しないものはどれか」という形式で出題されることが多く、選択肢に「鉄損」や「銅損」が含まれることがあります。鉄損は変圧器などの鉄心で生じる損失であり、ケーブルの損失ではない点に注意してください。

まとめ

送電施設に関する問題は、言葉の定義や役割の組み合わせを問う知識問題が中心です。

特に、以下のポイントは確実に押さえておきましょう。

・電圧が高いほど送電損失は小さくなる

・ねん架はインダクタンスと静電容量の平衡のため

・通信線への誘導障害が小さいのは抵抗接地方式

・アークホーン=雷害対策、ダンパ=振動吸収、アーマロッド=巻き付け補強

・ケーブルの損失は抵抗損、誘電損、シース損(鉄損は含まれない)

これらのキーワードと内容を関連付けて記憶することで、電気工事士試験の本番でも迷わず正解を導き出すことができるはずです。繰り返し学習し、知識を定着させていきましょう。