この記事では以下のことが分かります。
・高圧受電設備の完成時に行う使用前自主検査と、維持管理のための定期点検の項目が分かります。
・停電作業時の安全を確保するための「作業接地」の正しい手順を理解できます。
・需要家の月間などの平均力率を求めるために必要な計器の組み合わせをマスターできます。
第一種電気工事士の試験において、高圧受電設備の検査や保安に関する知識は頻出分野です。実務においても非常に重要な内容となりますので、単なる暗記ではなく、なぜその検査や手順が必要なのかを理解しながら学習を進めましょう。
本記事では、受電設備の検査(使用前自主検査・定期点検)、作業接地、平均力率を求めるための計器について徹底的に解説します。
高圧受電設備の使用前自主検査
高圧受電設備が完成して使用する前には、法令に基づき「使用前自主検査」を行わなければなりません。これは、設備が技術基準に適合し、安全に運用できる状態であるかを確認するための重要なプロセスです。
使用前自主検査の主な項目
使用前自主検査で行われる主な項目は以下の通りです。
・外観検査
・接地抵抗測定
・絶縁抵抗測定
・絶縁耐力試験
・保護装置試験
・遮断器関係試験
・負荷試験(出力試験)
・騒音測定
・振動測定

試験対策のポイント
試験でよく問われるのは、「使用前自主検査で行われないもの」を選ぶ問題です。
例えば、「変圧器の温度上昇試験」は、一般的に受電設備が完成した時の自主検査としては行いません。温度上昇試験は、主に製造工場での製品試験として行われるものです。このひっかけ問題には注意しましょう。
受電設備の定期点検
高圧受電設備は、設置して終わりではありません。安全を維持管理するために、定期点検が義務付けられています。定期点検には、大きく分けて「月次点検」と「年次点検」があります。
月次点検
月に一度、設備を運用した状態(通電状態)で行う点検です。
主な内容は以下の通りです。
・外観点検
・設備電圧・負荷電流測定
・漏れ電流の測定により、低圧回路の絶縁状態を確認
・高圧機器本体及び接続部等の温度測定
年次点検
年に一度、停電させて設備を停止状態にして行う詳細な点検です。月次点検の項目に加えて、以下の測定や試験を行います。
・絶縁抵抗測定
・接地抵抗測定
・保護装置試験

試験対策のポイント
試験では、「定期点検で通常行わないもの」が問われることがあります。
「絶縁耐力試験」は、使用前自主検査では行いますが、定期点検(年次点検であっても)では通常は行いません。絶縁耐力試験は設備に高電圧をかけるため、定期的な点検で行うには設備への負担やリスクが大きいためです。
作業接地(短絡接地)の正しい手順
高圧受電設備の点検や工事で停電作業を行う際、感電事故を防止するために極めて重要なのが「作業接地(短絡接地)」です。誤操作による加圧や、他の回線からの誘導電圧から作業者を守るために、短絡接地器具を使用します。
作業接地の手順
作業接地器具の取り付けと取り外しには、絶対に守らなければならない順序があります。
1. 取り付けに先立ち、短絡接地器具の取り付け箇所の無充電を検電器で確認する。
2. 取り付け時は、まず接地側金具を接地線に接続し、次に電路側金具を電路側に接続する。
3. 取り付け中は、「短絡接地中」の標識をして注意喚起を図る。
4. 取り外し時は、まず電路側金具を外し、次に接地側金具を外す。

なぜこの順番なのか?(試験対策)
この手順は第一種電気工事士試験で頻出です。
接地側金具は、安全のため常に大地と繋がった状態を維持する必要があります。そのため、取り付ける際は「最初に接地側」、取り外す際は「最後に接地側」となります。「接地側金具を最初に取り付け、最後に外す」と覚えておきましょう。
平均力率を求めるための計器
需要家の月間などの一定期間における「平均力率」を求める問題も、試験でよく見かけます。
必要な計器の組み合わせ
ある期間の平均力率を求めるために必要な計器は以下の2つです。
・電力量計(有効電力量を測定)
・無効電力量計(無効電力量を測定)
解説
力率は、有効電力と皮相電力の割合を示します。ある期間の平均的な力率を計算するには、その期間に消費された「有効電力量」と「無効電力量」の実績値が必要です。
したがって、電力量計と無効電力量計の組み合わせが正解となります。「最大需要電力計」などは力率の計算には直接関係ありませんので、選択肢に惑わされないようにしましょう。

まとめ
本記事では、第一種電気工事士試験に向けて、受電設備の検査(使用前自主検査・定期点検)、作業接地、平均力率を求めるための計器について解説しました。
・使用前自主検査では変圧器の温度上昇試験は行わない。
・定期点検では絶縁耐力試験は通常行わない。
・作業接地は「接地側から付け、電路側から外す」。
・平均力率を求めるには「電力量計」と「無効電力量計」が必要。
これらのポイントをしっかり押さえて、試験本番で得点源にしてください。


