この記事で分かること
・過電流継電器(OCR)の各試験(連動試験、特性試験など)の目的と具体的な内容
・試験に用いられる必須の計器(サイクルカウンタ、電圧調整器など)の役割
・第一種電気工事士試験で狙われやすい「誤り選択肢」の見抜き方
はじめに:過電流継電器(OCR)とは
高圧受電設備において、過負荷や短絡などの過電流から設備を保護する重要な役割を担うのが過電流継電器(OCR:Over Current Relay)です。異常な電流を検知すると、遮断器(CB)に引き外し信号を送り、回路を安全に遮断します。
第一種電気工事士試験の筆記試験では、この過電流継電器が正しく動作するかを確認するための「試験項目」や「試験に使用する計器」について頻繁に出題されます。本記事では、誘導形の過電流継電器を例に、各試験の詳細を漏れなく解説します。

過電流継電器(OCR)の主な試験項目
過電流継電器の試験は、保護協調が適切に図られ、いざという時に確実に動作することを保証するために行われます。それぞれの試験が「何を測定・確認するためのものか」を正確に理解することが試験対策の要です。

連動試験
連動試験は、過電流継電器単体の動作だけでなく、継電器が動作してから実際に遮断器(CB)が連動して「遮断器が切れるまでの全体の動作時間」を測定する試験です。
過電流継電器が正常でも、遮断器への信号伝達や遮断器自体の機構に問題があれば設備を保護できません。そのため、実際の保護回路全体を含めた総合的な動作確認として非常に重要な試験となります。

限時要素動作電流特性試験(最小動作電流試験)
過電流継電器が、あらかじめ設定(整定)された電流値で正確に動作を開始するかを確認する試験です。
誘導形の過電流継電器の場合、内部の円盤が回転し始める最小の電流値を測定します。この試験によって、過負荷電流に対して意図した通りに反応し始めるかを確認します。

動作時間特性試験
過電流が流れたと仮定した場合に、過電流継電器が動作する「までの時間」を測定する試験です。
過電流の大きさに応じて動作時間が変化する(電流が大きいほど早く動作する)反限時特性などが、整定したカーブ通りに機能しているかを確認します。この試験では、後述する時間を正確に測るための計器が用いられます。

瞬時要素動作電流特性試験
短絡事故などの極めて大きな過電流が発生した際に、限時要素のように時間を置かず、瞬時に動作して遮断器を動作させる要素(瞬時要素)の確認試験です。
あらかじめ整定した瞬時要素の電流値どおりに、過電流継電器が遅滞なく動作するかを確認します。

試験に使用する主要な計器
過電流継電器の試験を行うためには、専用の試験装置や以下の計器を組み合わせて回路を構成します。どの計器が何の目的で使われるのかを把握しておきましょう。
・電圧調整器(スライダック)
試験回路に流す電流の大きさを調整するために使用します。電圧を可変させることで、試験に必要な任意の電流を作り出します。
・電流計
過電流継電器に実際に流れ込んでいる試験電流の値を正確に測定するために使用します。
・サイクルカウンタ
動作時間を測定するための計器です。試験電流を流し始めてから、過電流継電器の接点が閉じる(または遮断器が動作する)までの時間を、交流の周波数(サイクル)を基準にミリ秒単位で正確に計測します。

第一種電気工事士試験での出題ポイント
第一種電気工事士の筆記試験では、「高圧受電設備に使用されている誘導形過電流継電器の試験項目として、誤っているものはどれか」といった形式で出題されることがよくあります。
特に注意すべき引っかけパターンは以下の通りです。
・電流と電圧の混同
誤りの選択肢として「円盤が回転し始める始動電圧を測定する最小動作電圧試験」といった記述が出されることがあります。過電流継電器(OCR)は「電流」によって動作する機器であるため、円盤が回転し始めるのは始動「電流」を測定したときです。電圧を測定する試験ではありません。このポイントを押さえておくだけで、確実に正答を選ぶことができます。
・連動試験の定義
連動試験を「継電器単体の動作時間を測るもの」と勘違いしないようにしましょう。正しくは「遮断器を含めた動作時間を測定」するものです。
まとめ
過電流継電器(OCR)の試験は、高圧受電設備の安全を守る要です。
連動試験でシステム全体の動作時間を測り、限時・瞬時要素の特性試験で設定値通りの電流で動作するかを確認し、動作時間特性試験で動作までの時間をサイクルカウンタ等を用いて正確に測定します。
第一種電気工事士試験においては、これらの試験の目的と「電流を対象とした機器である」という基本原則をしっかり記憶しておきましょう。


