記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事士の仕事において、最も重要と言っても過言ではないのが「絶縁(ぜつえん)」の管理です。電気が漏れて火災や感電事故が起きないよう、電路と大地の間には適切な絶縁抵抗が必要です。
今回は、配線図問題の中から「絶縁抵抗の最小値」を問う問題を出題します。
「電圧が高いから抵抗も高くあるべき」という単純な暗記だけでは引っかかってしまう、試験の定番ポイントです。
まずは今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
下図の矢印で示す部分の電路と大地間の絶縁抵抗として、許容される最小値 [MΩ] はどれか。

- 0.1
- 0.2
- 0.3
- 0.4
答えは決まりましたか?
「エアコンが200Vだから、電圧が高い区分の数値かな?」と考えませんでしたか?
あるいは、「家庭用だから一番低い数値でいいはず」と直感で選びましたか?
この問題は、電気工事士として知っておくべき「ある電圧のルール」を理解していないと、自信を持って答えられません。
なぜその答えになるのか、現場での安全基準と照らし合わせながら解説します。
1. 絶縁抵抗値の「3つの基準」を整理しよう
まず、電気設備に関する技術基準(解釈第58条)で定められている絶縁抵抗の値を復習しましょう。この表は試験に必ず出るので、暗記必須です。
| 電路の使用電圧区分 | 対地電圧 | 絶縁抵抗値(最小許容値) |
| 300V以下 | 150V以下 | 0.1 MΩ 以上 |
| 300V以下 | その他(150Vを超える) | 0.2 MΩ 以上 |
| 300Vを超える | – | 0.4 MΩ 以上 |
この表を見ると、300V以下の回路では「対地電圧が150V以下かどうか」で、判定基準が変わることがわかります。ここが運命の分かれ道です。
2. 200Vエアコン回路の判定ポイント
多くの受験生が迷うのがここです。
「エアコンは200Vで動いている。じゃあ、対地電圧も200Vじゃないの?」
この疑問を解決するには、「使用電圧」と「対地電圧」の違いを理解する必要があります。
鍵は「単相3線式(1φ3W)」
問題の分電盤には 1φ3W 100/200V と書かれています。これは一般家庭で最も普及している「単相3線式」です。
単相3線式は、3本の線のうち、真ん中の線(中性線)が電柱のトランス付近で接地(アース)されています。
この仕組みにより、以下のような電圧の特性を持ちます。
- 両端の線(L1, L2)の間:200V(エアコンなどはこれを使用)
- 中性線(N)と両端の線(L)の間:100V
- 対地電圧(大地との電圧差):100V
「使用電圧」と「対地電圧」の違い
- 使用電圧:エアコンを動かすための電圧は 200V です。
- 対地電圧:漏電した時に大地にかかる電圧は、中性線が接地されているため最大でも 100V です。
3. ズバリ、正解は?
絶縁抵抗の判定基準(表)を見てください。基準は「使用電圧」ではなく 「対地電圧」 で決まると書かれています(300V以下の場合)。
今回のケースに当てはめると以下のようになります。
- 回路の使用電圧は200V(300V以下)である。
- 単相3線式なので、対地電圧は 100V である。
- 対地電圧が100Vということは、表の 「150V以下」 に該当する。
したがって、正解は 1(0.1 MΩ) となります。

4. 試験対策:迷わないための暗記テクニック
試験本番でパニックにならないよう、シンプルな判断フローを覚えましょう。
手順1:配電方式を見る
問題図の分電盤を見て「1φ3W」(単相3線式)と書いてあったら、家の中の回路は基本的にすべて 「対地電圧150V以下」 です。
つまり、100Vコンセントだろうが、200Vエアコンだろうが、この方式であれば答えは 「0.1 MΩ」 になります。
手順2:0.2MΩになるケースを知っておく
では、0.2MΩが正解になるのはどんな時でしょうか?
それは 「三相3線式(3φ3W)200V」 の場合です。
主に工場のモーターなどで使われる方式ですが、この場合は対地電圧が200V(150Vを超える)となるため、0.2MΩが必要になります。
覚え方の語呂合わせ
試験直前の確認用に、以下のリズムで覚えましょう。
- 家庭の電気(単相3線)は全部 0.1
- 工場の動力(三相3線)は 0.2
- 400Vとかヤバいやつは 0.4
まとめ:この問題の攻略ポイント
- 絶縁抵抗値の基準は「使用電圧」だけでなく 「対地電圧」 で決まる。
- 一般家庭の 単相3線式(1φ3W) は、200V回路であっても対地電圧は100V。
- したがって、単相3線式の問題が出たら、答えは 0.1 MΩ。
この理屈を理解していれば、引っかけ問題に惑わされることはありません。
配線図問題は、図記号の意味だけでなく、その背景にある「電気の供給方式」まで読み取る力が試されています。
安全な電気設備を守るための基準値、しっかりと頭に入れて試験に臨んでください。

