記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
まずは今の実力をチェックしてみましょう。第二種電気工事士の筆記試験(配線図問題)を想定した問題です。
日常的によく見る「あのボタン」ですが、図面上で正しく認識できるでしょうか?
【問題】
次の図記号1〜4のうち、一般的に玄関のチャイムやブザーを鳴らすために用いられる「押しボタン」を示すものはどれでしょう?
- [ 画像:黒丸(●) ]
- [ 画像:白丸(○) ]
- [ 画像:丸の中に十字(⊗) ]
- [ 画像:四角の中に丸にC ]
答えは決まりましたか?
正解がどれか、そしてそれが現場でどのように設置されるのか。
これからデスクワークを離れて電気工事の世界へ挑戦しようとしている方、手に職をつけて長く働きたい方に向けて、現場の知識を交えて解説していきます。
AIがどれだけ進化しても、お客様の家の玄関に物理的なスイッチを取り付け、配線をつなぐ仕事はロボットにはまだ真似できません。
人々の生活を支える「インターホン」や「呼び出し音」の基礎となる重要な部品ですので、しっかり理解しておきましょう。
1. ズバリ、この図記号は何?
正解は…
選択肢の 1 でした。
一般的に、屋内配線図において押しボタン(スイッチ)は 黒丸(●) で表されます。
※図面の種類や縮尺によっては、問題画像の左下にあるように四角形の中に丸を描くような表現(壁付器具としての表現)が使われることもありますが、試験対策としてはまず「黒丸=押しボタンスイッチ」のイメージを持っておくと良いでしょう。
各選択肢の解説
間違いの選択肢についても確認しておきましょう。これらも試験によく出ます。
- 1. 黒丸(●)
- 正解:押しボタン
- 指で押している間だけ回路がONになり、離すとOFFになるスイッチです。
- 2. 白丸(○)
- これは通常、スイッチボックスや特定の機器を表すベースとして使われますが、単独の白丸だけでは通常スイッチを指しません(「○」の横に点滅器の分類記号が付くのが一般的)。
- 3. 丸の中に十字(⊗)
- これは「白熱灯(照明器具)」や「パイロットランプ」に関連する記号としてよく混同されますが、押しボタンではありません。
- 4. 四角の中に丸にC
- これは「チャイム(Chime)」本体を表す図記号です。押しボタンによって鳴らされる「音が出る側」の機器です。
2. 「小勢力回路」とは?このボタンの特別なルール
今回の添付画像にある解説文で非常に重要なキーワードがあります。
それは 小勢力回路(しょうせいりょくかいろ) という言葉です。
これらの機器は小勢力回路で使用されます。
と書かれていますね。これはどういう意味でしょうか?
60V以下の安全な回路
通常のコンセントや照明は100Vや200Vの電圧がかかっており、感電すると非常に危険です。
しかし、玄関のピンポン(チャイム)や呼び出しブザーの配線に、そこまで高い電圧は必要ありません。
そこで、「小型変圧器(トランス)」を使って電圧を 60V以下 に下げた回路を使います。これを「小勢力回路」と呼びます。
なぜ試験に出るのか?
「電圧が低いから安全」ではありますが、工事士試験では以下のルールが問われます。
- 電圧の上限: 60V以下であること。
- 電線の太さ: 直径0.8mm以上のコードまたはケーブルを使用すること(通常の1.6mmより細くて良い)。
この「60V」と「0.8mm」という数字は、筆記試験の重要暗記ポイントです。
3. 実際の現場ではどう使う?
机上の勉強だけでなく、実際の現場をイメージしてみましょう。
玄関や工場の呼び出しに
一般住宅では「玄関のインターホン・チャイム」のボタンとして使われます。
工場や事務所では、担当者を呼び出すための「ブザー」のスイッチとして使われます。
施工のワンポイントアドバイス
添付画像の解説にこんな一文があります。
壁付は壁側を塗ります。
これは図記号の塗られ方のルールですが、実際の施工でも「スイッチが壁のどこに付くか」は非常に重要です。
特に玄関周りは家の「顔」です。
ただ配線をつなぐだけでなく、お客様が押しやすい高さ(通常は床から1.2m〜1.3m程度)に設置したり、防水処理をしっかり行ったりする「気遣い」が、プロの電気工事士には求められます。
まとめ
- 押しボタンの図記号は基本的に 黒丸(●) 。
- 押すとON、離すとOFFになる単純な仕組み。
- チャイムやブザーなど 「小勢力回路(60V以下)」 で使われることが多い。
- この回路には、小型変圧器やベル、ブザーがセットで登場する。
たかがボタン一つですが、そこには「安全に電圧を下げる仕組み」や「雨風に耐える施工」など、プロの技術が詰まっています。
まずはこの記号を確実に覚えて、合格への一歩を踏み出してください。

