記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事の現場は、屋内だけではありません。
お庭にあるガーデンライトや、母屋から少し離れたガレージ(車庫)へ電気を送る際、空中に電線を飛ばすと見栄えが悪かったり、邪魔になったりすることがあります。そんな時に行われるのが、地面の下にケーブルを通す「地中配線(地中電線路)」です。
地面の下は普段見えない場所ですが、だからこそ厳しいルール(法的規制)があります。もし浅すぎる場所に埋めてしまうと、車が通った重みでケーブルが潰れ、漏電事故に繋がるからです。
今回は、そんな「地中配線の埋設深さ」に関する重要問題です。
数字を覚えているかどうかが勝負の分かれ目となります。まずは実力をチェックしてみましょう。
【問題】
下図の矢印で示す部分の地中電線路を直接埋設式により施設する場合の埋設深さの最小値[m]は。ただし、車両その他の重量物の圧力を受ける恐れのある場所とする。

1. 0.3
2. 0.6
3. 1.2
4. 1.5
答えは決まりましたか?
「地面の下なら、とりあえず埋めればいい」というわけではありません。
問題文にある「ある条件」が、深さを決定する最大のヒントです。
正解の数字と、なぜその深さが必要なのか、試験で迷わないためのポイントを解説します。
目次 非表示
1. ズバリ、正解の深さは?
正解は、選択肢の 3(1.2) です。
この問題の最大のポイントは、問題文に書かれている以下の条件です。
車両その他の重量物の圧力を受ける恐れのある場所
簡単に言えば、「上を車やトラックが通るかもしれない場所」という意味です。
このような場所では、地面にかなりの重さがかかります。浅い場所にケーブルがあると、土ごしに圧力がかかり、ケーブルを保護しているトラフ(コンクリートなどの樋)やケーブル自体が破損する危険性があります。
そのため、「圧力を受ける場所」では「1.2m以上」 深く掘って埋めなければならないと決まっています。
2. 状況によって変わる「2つの数字」を覚えよう
地中電線路(直接埋設式)の深さに関するルールは、実は2パターンしかありません。
試験ではこの2つを混同させて出題してくるため、セットで整理して覚えましょう。
パターンA:重量物の圧力を「受ける」場所
- 場所のイメージ:駐車場、車道、ガレージの前など
- 深さのルール:1.2m 以上
- 理由:車の重みでケーブルが潰れないように、かなり深く埋める必要がある。
パターンB:重量物の圧力を「受けない」場所
- 場所のイメージ:人が歩くだけの歩道、庭の植え込みの下など
- 深さのルール:0.6m 以上
- 理由:重いものが乗らないため、パターンのAの半分(0.6m)の深さでも安全が確保できる。

覚え方のコツ
「車が来たら倍(1.2m)、人が歩くだけなら半分(0.6m)」とイメージしましょう。
基準となる浅い方が0.6mで、危ない場所(車)はその倍の深さ1.2mが必要、という関係性になっています。
3. 地中配線で使われる材料と施工方法
深さのルールと合わせて、地中配線でよく使われる用語や材料についても軽く触れておきましょう。これらも試験に出てくることがあります。
直接埋設式(ちょくせつまいせつしき)
今回の問題のテーマです。地面を掘って、そのままケーブルを埋める方式です。
ただし、ケーブルを裸で土に埋めるわけではありません。以下のルールがあります。
- ケーブルを使用する絶縁電線(IV線など)は使用できません。必ず外装が丈夫な「ケーブル(CVケーブルなど)」を使います。
- トラフなどで防護するケーブルを物理的な衝撃から守るため、「トラフ」と呼ばれるコンクリートや陶器製の樋(とい)の中にケーブルを収めるか、堅牢な板などで覆う必要があります。

その他の埋設方式
試験でメインとなるのは上記の「直接埋設式」ですが、他にも以下の方式があります。
- 管路式(かんろしき):あらかじめ丈夫な管(パイプ)を地中に埋めておき、その中にケーブルを通す方式。
- 暗渠式(あんきょしき):地下トンネルのような空間(共同溝など)を作り、そこにケーブルを這わせる方式。ビルや大規模施設で見られます。
第二種電気工事士の試験では、一般住宅でよく行われる「直接埋設式」の出題頻度が圧倒的に高いです。
まとめ:この問題の攻略ポイント
- 地中配線の深さは「上を何が通るか」で決まる。
- 車などの重量物がある場合 = 1.2m 以上 (深く!)
- 重量物がない場合 = 0.6m 以上 (半分でOK)
- 使用するのは絶縁電線ではなく 「ケーブル」。
- ケーブルは 「トラフ」 等で守る。
現場目線で考えると、1.2m掘るというのは大変な重労働です。しかし、お客様の安全と、将来の事故を防ぐためには手抜きのできない重要な規定です。
「車が通るなら1.2m」この数字をしっかりと記憶しておきましょう。

