電気工事士の試験において「接地工事(アース)」は、感電事故や火災を防ぐための最も重要な項目の一つです。
特に「D種接地工事」は出題頻度が非常に高い分野ですが、数字の暗記で混乱しやすいポイントでもあります。「抵抗値は100Ω以下だったはずなのに、正解が500Ωになっているのはなぜ?」と悩んだことはありませんか?
今回は、三相200Vの電動機を例にした配線図問題を通じて、接地抵抗値の例外ルール(緩和措置)と電線の太さの規定を完璧にマスターしましょう。
記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
まずは、実際の問題に挑戦して今の理解度をチェックしてみてください。配線図記号と条件をよく読み取ることが正解への鍵です。
【問題】
下図の矢印で示す部分の接地工事の接地抵抗の最大値と、電線(軟銅線)の最小太さの組合せで、適切なものはどれか。
ただし、漏電遮断器は定格電流30A、定格感度電流30mA、動作時間0.1秒以内のものを使用している。

- 100 [Ω] 1.6 [mm]
- 300 [Ω] 1.6 [mm]
- 500 [Ω] 1.6 [mm]
- 600 [Ω] 2.0 [mm]
答えは決まりましたか?
「D種だから100Ω!」と即答して1番を選んでしまった方は要注意です。問題文に書かれている「漏電遮断器の動作時間」というヒントを見逃していませんか?
なぜその答えになるのか、根拠となるルールを解説します。

1. まずは「接地工事の種類」を特定する
最初にやるべきことは、この回路の電圧を確認して、どの種類の接地工事が必要かを判断することです。
図を見ると「3φ3W 200V(三相3線式200V)」と書かれています。
電気設備の技術基準において、電圧の区分は以下のようになっています。
- 使用電圧が300V以下の場合:D種接地工事
- 使用電圧が300Vを超える場合:C種接地工事
今回は200Vなので「300V以下」に該当し、必要な工事は D種接地工事 となります。
2. 接地抵抗値の「原則」と「例外」
ここがこの問題の最大のポイントです。D種接地工事の接地抵抗値には、原則と例外(緩和措置)があります。
原則:100Ω以下
通常、D種接地工事の接地抵抗値は 100Ω以下 に保つ必要があります。
例外:500Ω以下になる条件
ただし、感電防止のために有効な 漏電遮断器(ELB) を設置した場合、抵抗値の基準が緩くなります。
- 条件:動作時間が 0.5秒以内 の漏電遮断器を設置する場合
- 抵抗値:500Ω以下 であればよい
問題文を確認してみましょう
問題文には「動作時間0.1秒以内のものを使用している」とあります。
0.1秒は0.5秒よりも短いため、瞬時に電気を遮断できる高性能なブレーカーがついていると判断できます。
安全装置がしっかりしているため、接地抵抗値は緩和され、500Ω以下 であれば基準クリアとなります。
3. 接地線の太さを確認する
次に、アース線の太さ(最小太さ)についてのルールです。
D種接地工事で使用する接地線(軟銅線)の太さは、直径1.6mm以上 と規定されています。
選択肢を見ると、1.6mmと2.0mmがありますが、最小の太さを問われているため、基準である1.6mmを選びます。(もちろん2.0mmでも工事としては安全ですが、試験問題における「最小太さ」の正解は1.6mmとなります)
4. 正解の導き方
これまでの条件を整理します。
- 接地工事の種類:200Vなので D種接地工事
- 接地抵抗値:0.1秒で作動する漏電遮断器があるため、500Ω以下
- 電線の太さ:D種の規定により 1.6mm以上
この条件に合致する選択肢は 3番 となります。
まとめ:この問題の攻略ポイント
第二種電気工事士試験でD種接地工事が出題されたら、以下の手順でチェックしましょう。
- 電圧を見る:300V以下ならD種(300V超ならC種)。
- 漏電遮断器を見る:「0.5秒以内」というキーワードがあれば、抵抗値は500Ω以下でOK。
- 太さを思い出す:D種のアース線は1.6mm以上。
特に「漏電遮断器による500Ωへの緩和」は、ひっかけ問題として頻出です。「D種=100Ω」と丸暗記するだけでなく、「漏電遮断器があれば500Ω」というセットで覚えておくことが、合格への近道です。

