【電気工事士】直列リアクトル(SR)の役割と見分け方!進相コンデンサとの違いや6%の定格を徹底解説

【電気工事士】直列リアクトル(SR)の役割と見分け方!進相コンデンサとの違いや6%の定格を徹底解説

【電気工事士】直列リアクトル(SR)の完全攻略!写真鑑別と「6%」の役割

第一種・第二種電気工事士の試験において、高圧受電設備(キュービクル)の単線結線図や機器の鑑別は、配点が高く合否を左右する重要なポイントです。

特に、今回解説する機器は、見た目が「変圧器」や「進相コンデンサ」と非常によく似ているため、多くの受験者が悩む難所です。しかし、実はある「数」を数えるだけで、誰でも一瞬で見分けることができるようになります。

まずは、実際の試験形式に近い問題で、現在の実力をチェックしてみましょう。

記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ

高圧受電設備に使用される機器の鑑別問題です。

写真の機器の特徴をよく見て、正しい用途を選んでください。

【問題】

写真に示す機器の用途として、正しいものはどれか。

端子が6本ある直列リアクトルの外観写真
  1. 大電流を小電流に変流する。
  2. 高調波電流を抑制する。
  3. 負荷の力率を改善する。
  4. 高電圧を低電圧に変圧する。

答えは決まりましたか?

「3. 負荷の力率を改善する」を選んでしまった方はいませんか?

これは、この機器の「相棒」である進相コンデンサの役割であり、試験で最も狙われるひっかけポイントです。

正解がどれか、そしてなぜその答えになるのか。現場での役割や定格容量の決まり事と合わせて、記憶に残るように解説します。

1. ズバリ、正解と機器の名称

【電気工事士】直列リアクトル(SR)の役割と見分け方!進相コンデンサとの違いや6%の定格を徹底解説の問題の正誤と選択肢の図解説の黒板解説

正解は、選択肢の 2(高調波電流を抑制する) です。

この写真の機器は「直列リアクトル」といいます。

英語では Series Reactor と呼ぶため、図面記号では「SR」と表記されます。

それぞれの選択肢がどの機器を指しているかを確認しておきましょう。

    1. 変流器 (CT) の役割です。
    1. 直列リアクトル (SR) の役割です。(正解)
    1. 進相コンデンサ (SC) の役割です。
    1. 変圧器 (VT/PT または トランス) の役割です。

2. 【試験対策】一発で見分ける!「端子の数」に注目

【試験対策】一発で見分ける!「端子の数」に注目

試験問題で写真が出たとき、直列リアクトル、進相コンデンサ、変圧器のどれか迷うことがあります。

そんなときは、機器の上部についている「端子(ブッシング)の数」を数えてください。これが最も確実な見分け方です。

直列リアクトルは「6本」

直列リアクトルは、三相交流の電線(R相、S相、T相)の途中に「直列」に接続します。

電気が入ってくる「入口」と、出ていく「出口」が必要になるため、3相 × 2 = 合計 6本 の端子があります。

直列リアクトル(端子6本)の拡大図

進相コンデンサは「3本」

一方で、よくセットで使われる進相コンデンサは、回路に対して並列に接続します。

行き止まりのタンクのようなイメージで、端子は3本しかありません。

進相コンデンサ(端子3本)の図

試験テクニックとして、以下の法則を覚えておきましょう。

  • 端子が6個なら = 直列リアクトル (SR)
  • 端子が3個なら = 進相コンデンサ (SC)

3. 直列リアクトル (SR) の2つの重要な役割

直列リアクトル (SR) の2つの重要な役割

では、なぜわざわざこの機器を取り付けるのでしょうか?

直列リアクトルには、高圧受電設備のトラブルを防ぐための2つの重要な役割があります。

「コンデンサを守るためのボディガード」とイメージすると分かりやすいでしょう。

役割①:高調波電流の抑制

これが試験で最も問われる役割です。

近年の工場やビルでは、インバータ制御のエアコンやPC、LED照明などが普及しており、これらは電気の波形を歪ませる「高調波(こうちょうは)」というノイズを出します。

進相コンデンサは、この高調波(特に第5高調波)を引き寄せやすい性質があり、そのままにしておくとコンデンサに過大な電流が流れて過熱・焼損する恐れがあります。

そこで、直列リアクトルをコンデンサの手前に設置し、高調波にとって「通りにくい壁」を作ることで、設備を保護しています。

役割②:突入電流の抑制

進相コンデンサのスイッチを入れた瞬間、何もしないと定格電流の数十倍ものすさまじい勢いで電気が流れ込みます。これを「突入電流」と呼びます。

突入電流が大きいと、スイッチ(開閉器)の接点が傷んだり、周囲の電圧が急激に変動したりしてしまいます。

直列リアクトル(コイル)には「電流の急激な変化を嫌う」という性質があるため、これを接続することで突入電流をクッションのように和らげることができます。

4. 試験に出る数字「6%」の理由

試験に出る数字「6%」の理由

第一種電気工事士などの筆記試験では、役割だけでなく「定格」の数値についても問われます。

「直列リアクトルの容量は、一般的に進相コンデンサ容量の 6% のものを使用する」

この「6%」という数字は重要キーワードです。

なぜ「6%」なのか?

理論上、配電系統で最も問題となりやすい「第5高調波」と共振(悪い反応)を起こさないためには、計算上4%以上のリアクタンスが必要です。

この4%に、周波数の変動や製品誤差などの余裕を見込んで、JIS規格で「6%」と定められています。

試験で「直列リアクトルの容量は?」と聞かれたら、まずは「6%」の選択肢を探してください。

※ごく稀に第3高調波が多い特殊環境では「13%」を使うこともありますが、基本は6%です。

まとめ:直列リアクトルの攻略ポイント

今回の解説の要点をまとめます。試験直前のチェックにお使いください。

  • 名称:直列リアクトル (SR)
  • 見た目:端子が 6つ ある(コンデンサは3つ)。
  • 役割1:高調波電流 を抑制し、コンデンサの焼損を防ぐ。
  • 役割2:コンデンサ投入時の 突入電流 を抑制する。
  • 数値:基本的にコンデンサ容量の 6% のものを選定する。

電気工事士の試験では、複雑な計算よりも「機器の名称・写真・役割・特徴的な数値」を結びつける知識問題が多く出題されます。

「6本の端子を見たらSR、役割は高調波カット」

これを合言葉に、高圧受電設備の問題を得点源にしてください。