記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
第一種・第二種電気工事士の筆記試験において、高圧受電設備(キュービクル)の機器写真を見て名称や役割を答える「鑑別問題」は、重要な得点源です。
しかし、普段高圧設備に触れる機会がないと、「黒い箱のような機器ばかりで区別がつかない」「どっちが一次側でどっちが二次側かわからない」と悩む受験者が少なくありません。
今回は、近年の屋内受電設備で主流となっている「モールド変圧器」に関する実戦問題です。
まずは今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
写真に示すモールド変圧器の矢印部分の名称は、次のうちどれか。

- タップ切替端子
- 耐震固定端部
- 一次(高電圧側)端子
- 二次(低電圧側)端子
答えは決まりましたか?
「上にあるから一次側(高圧)かな?」と直感で選んでしまった方は要注意です。
実は、電気の基礎理論を知っていれば、配置場所に関わらず見た目だけで論理的に正解を導き出すことができます。
正解と、試験で絶対に迷わないための「見分け方の鉄則」を解説します。
1. ズバリ、正解と見分け方の根拠

正解は、選択肢の 4(二次(低電圧側)端子) です。
なぜ、矢印の部分が「二次側」だと断定できるのでしょうか?
その最大のヒントは、端子の 「太さ(形状)」 にあります。
電圧と電流のシーソー関係
変圧器(トランス)は、高い電圧を使いやすい低い電圧に変換する機器です。
一般的に高圧受電設備では、「6600V(高圧)」を「200Vや100V(低圧)」に落とします。
ここで、電気の基本公式「電力 P = 電圧 V × 電流 I」を思い出してください。
変圧器の一次側と二次側で扱う電力(パワー)が同じだとすると、電圧と電流はシーソーのような関係になります。
- 一次側(高圧):電圧が高い = 電流は小さい = 端子や電線は細くて済む
- 二次側(低圧):電圧が低い = 電流は大きい = 端子は太く頑丈でなければならない
写真の矢印が指している部分を見てください。平たい金属の板(端子)になっており、ボルト穴が複数あるなど、いかにも大きな電流を流すために太く作られていることが分かります。
この「端子が太い・平らなバーになっている」という視覚的な特徴こそが、大電流を扱う 二次側(低電圧側) である決定的な証拠です。
逆に、一次側(高電圧側)の端子は、高電圧に耐えるための絶縁距離は必要ですが、流れる電流自体は小さいため、導体部分は二次側ほど巨大ではありません。
2. 試験によく出る「モールド変圧器」の特徴

今回の問題の題材である「モールド変圧器」は、従来の「油入変圧器」と比較させる問題もよく出題されます。
試験で問われるキーワードを押さえておきましょう。
モールド変圧器とは?
コイル(巻線)部分をエポキシ樹脂などで固め(モールドし)、絶縁油を使わない変圧器です。
メリット(試験に出るポイント)
- 難燃性・自己消火性:油を使わないため火災のリスクが低く、燃えても火が広がりくい。
- 小型・軽量:油入変圧器に比べてコンパクトです。
- 保守が容易:絶縁油の交換や漏れの点検が不要です。
デメリット
- 油入変圧器に比べて価格が高価。
- サージ(雷などの異常電圧)に対する耐性が油入式より劣る(サージアブソーバ等で保護します)。
「屋内式のキュービクルに適している」「絶縁油を使用しない」といった特徴が記述問題でよく問われます。
3. 紛らわしい!コンデンサ・リアクトルとの見分け方

試験問題の写真は白黒で不鮮明なことが多く、変圧器、コンデンサ、リアクトルが全て「黒い箱」に見えて迷うことがあります。
これらを識別するための決定的な「ワンポイント」を紹介します。
「端子の数」で見分ける!
最も確実なのは、機器から出ている主端子の数を数えることです。

- 進相コンデンサ (SC)
- 端子数:3つ
- 理由:三相交流に接続するため3本です。内部で行き止まりになる機器なので出口はありません。
- 直列リアクトル (SR)
- 端子数:6つ
- 理由:コンデンサに「直列」に繋ぐ機器です。電気が通り抜けるため、「入り口3本 + 出口3本 = 合計6端子」が必要です。
- 変圧器 (T)
- 端子数:一次と二次で異なる
- 見分け方:前述の通り、一次側と二次側で端子の太さが明らかに違います。
試験中に写真を見て迷ったら、まずは端子の数を数えてください。「3つならコンデンサ、6つならリアクトル」と覚えておけば、消去法でも正解に辿り着けます。
まとめ:この問題の攻略ポイント
- 変圧器の端子:太くてガッチリしている方が「二次側(低圧・大電流)」。細い方が「一次側」。位置よりも「太さ」で判断するのが確実。
- モールド変圧器:「樹脂」で固めており「油」を使っていない。「難燃性」があり屋内に適している。
- 写真鑑別のコツ:端子の数をチェック。3つなら進相コンデンサ、6つなら直列リアクトル。
高圧受電設備の機器は、実物を見る機会が少ないためイメージしにくいですが、「なぜ端子が太いのか?(電流が大きいから)」という理屈とセットで覚えることで、記憶に定着しやすくなります。
写真問題は配点が高いので、確実に得点源にしていきましょう。

