【第二種電気工事士】三相3線式の公式は「ルート3」?「3」?電圧降下と電力損失の計算を完全攻略!

【第二種電気工事士】三相3線式の公式は「ルート3」?「3」?電圧降下と電力損失の計算を完全攻略!

記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ

第二種電気工事士の筆記試験において、配電理論の計算問題は「公式さえ覚えていれば確実に点が取れる」貴重な得点源です。

しかし、多くの受験生が苦手とするのが、今回解説する【三相3線式】です。

「あれ、係数は2だっけ? 3だっけ? それともルート3?」

試験本番で迷わないように、まずは実際の過去問形式の問題で実力をチェックしてみましょう。

【問題】

図のような三相3線式回路で、電線1線当たりの抵抗が 0.15 [Ω]、線電流が 10 [A] のとき、この電線路の電圧降下 (Vs – Vr) [V] はおよそいくらか。

三相3線式の配線図。電源側Vs、負荷側Vr、線電流10A、抵抗0.15Ωが記載された回路図
  1. 1.5
  2. 2.6
  3. 3.0
  4. 4.5

答えは決まりましたか?

「単純に掛け算して 1.5V じゃないの?」と思った方、要注意です。

あるいは「3線式だから3倍して 4.5V?」と考えた方も、残念ながら不正解です。

この問題の正解を導くには、三相交流特有の【魔法の数字】を使う必要があります。

なぜその答えになるのか、基礎知識から計算の裏ワザまで徹底的に解説します。

1. ズバリ、正解(計算のポイント)は?

正解は、選択肢の 2(2.6) です。

この問題の最大のポイントは、「三相3線式の電圧降下」を求める公式を選べるかどうかです。

【第二種電気工事士】三相3線式の公式は「ルート3」?「3」?電圧降下と電力損失の計算を完全攻略!の問題の正誤と各選択肢の図解説の黒板解説

解説:なぜ「2.6V」になるのか

三相3線式の配電線路において、電圧降下(V)を求める公式は以下の通りです。

【公式】

電圧降下 = √3 × I × r

  • I :線電流 [A]
  • r :電線1線当たりの抵抗 [Ω]
  • √3 :係数(約1.73)

単相回路(単相2線式など)とは異なり、三相交流では位相のずれを考慮する必要があるため、係数に「ルート3」が入ります。

試験では電卓が使えませんので、「√3 = 1.73(人並みに奢れや)」と覚えておき、筆算で計算します。

【計算手順】

  1. 公式に数値を代入します。1.73 × 10 [A] × 0.15 [Ω]
  2. まず、整数の計算から済ませると楽です。10 × 0.15 = 1.5
  3. 残りの 1.73 を掛けます。1.73 × 1.5 = 2.595
  4. 答えは約 2.6 となります。

もし公式を間違えて、単相2線式のつもりで「2 × 10 × 0.15 = 3.0」と計算してしまうと、選択肢「3」の引っかけにハマってしまいます。「三相の電圧降下はルート3」を合言葉にしましょう。

2. 配電の基本:電圧の種別と電気方式

計算問題だけでなく、三相3線式そのものの特徴も試験によく出題されます。

基礎知識を整理しておきましょう。

電圧の種別(低圧・高圧)

第二種電気工事士が主に扱うのは「低圧」の電気です。電圧の大きさによって以下のように区分されています。

電圧の区分表(低圧:交流600V以下、直流750V以下など)
  • 交流 600V 以下
  • 直流 750V 以下

今回テーマにしている三相3線式 200Vは、交流の600V以下なので【低圧】に分類されます。

三相3線式とは?

主に、工場やビルのモーター(電動機)、業務用の大型エアコンなどを動かすために使われるパワフルな電気方式です。

  • 線間電圧:200V
  • 対地電圧:200V

ここで重要なのが「対地電圧も200Vになる」という点です。

家庭用の配線(単相)とは異なり、感電した時の電圧が高いため、工事にはより慎重な安全管理(漏電遮断器の設置など)が求められます。

家庭用で馴染み深い「単相」の方式については、以下の記事で詳しく解説しています。違いを比較するとより理解が深まります。

↓単相3線式の解説記事

https://www.tenisyoku.com/media/electrician/dainishu-denki-kojishi/1168/

↓単相2線式の解説記事

https://www.tenisyoku.com/media/electrician/dainishu-denki-kojishi/1153/

3. もう一つの重要公式「電力損失」

三相3線式の問題では、電圧降下とセットで「電力損失(パワーロス)」も頻出です。

ここで多くの受験生が混乱するのが、係数の使い分けです。

電力損失の公式

電線の抵抗によって熱として逃げてしまうエネルギー(電力損失)を求める場合は、以下の公式を使います。

【公式】

電力損失 = 3 × I^2 × r

  • I^2 :電流の2乗
  • r :電線1線当たりの抵抗
  • 3 :電線が3本あるため3倍

「ルート3」と「3」の使い分けテクニック

試験本番でパニックにならないよう、以下のように整理して覚えましょう。

  • 電圧(V)を求める時 = √3(1.73)を使う
  • 電力(W)を求める時 = 3(3倍)を使う

覚え方は、「電力損失は電線が熱くなること。電線が3本あるから、単純に3倍する」とイメージすると忘れません。

もし今回の問題設定で「電力損失」を聞かれたら、

3 × 10^2 × 0.15 = 45 [W]

となります。単位が [V] なのか [W] なのか、問題文の最後をよく見て公式を選びましょう。

まとめ:この問題の攻略ポイント

  • 三相3線式は「動力(モーター)」用途で、電圧は200V。
  • 電圧区分は「交流600V以下」なので「低圧」。
  • 電圧降下の計算には「√3 (1.73)」を使う。
  • 電力損失の計算は「3本分 (3倍)」で計算する。

この「電圧はルート、電力は3倍」というルールは、三相3線式攻略の要です。

単相3線式や単相2線式の記事も合わせてチェックし、配電方式ごとの係数の違い(1なのか、2なのか、√3なのか)を整理して試験に臨んでください。