電気工事には法律で定められた「超えてはいけないライン」が存在します。
「コンセントの交換は?」「インターホンの取り付けは?」
これらを判断する基準となるのが電気工事士法です。
試験においても、この「工事できる範囲(電気工事士の義務)」は、法令分野で必ずと言ってよいほど出題される超重要ポイントです。
今回は、一見すると専門的に見えるけれど実は資格が不要な作業(軽微な工事)と、絶対に資格が必要な作業の区別について、過去問を使いながら解説します。
現場でのコンプライアンス遵守はもちろん、試験の得点源にするためにしっかり理解しましょう。
まずは実力試し!過去問チャレンジ
それでは、実際に出題された試験問題をベースにした演習問題に挑戦してみましょう。
どの作業が「電気工事士の資格必須」で、どれが「資格なしでもOK」かを見極めてください。
【問題】
電気工事士法において、一般用電気工作物の作業で、電気工事士でなければ従事できない作業はどれか。
- インターホンの施設に使用する小型変圧器(二次電圧36V以下)の二次配線工事の作業
- 電線を支持する柱、腕木を設置する作業
- 電線管をねじ切りし、電線管とボックスを接続する作業
- 電力量計の取り付け作業
答えは決まりましたか?
「全部、電気工事っぽいから資格がいるのでは?」と迷ってしまったかもしれません。
あるいは、「インターホンは弱電だから不要かな?」と推測できた方もいるでしょう。
正解と、なぜそうなるのかの理由を解説していきます。
正解と解説
正解は 3 です。
それぞれの選択肢について、「なぜ資格が必要なのか」「なぜ不要なのか」を深掘りしていきましょう。
3. 電線管をねじ切りし、電線管とボックスを接続する作業(資格が必要)
これが正解です。この作業は電気工事士でなければ行えません。
金属管のねじ切り作業

ボックス接続作業

金属管(電線管)の工事は、電線を保護するための重要な工程です。
- ねじ切り: 管の端にネジ山を作る作業。
- ボックス接続: スイッチやコンセントを収めるボックスと管を繋ぐ作業。
これらが不適切だと、電線の被覆が傷ついて漏電したり、アース(接地)が不完全で感電事故に繋がる恐れがあります。そのため、高度な知識と技術を持つ電気工事士のみに許された作業(電気工事士法施工規則に定める12種類の作業の一つ)とされています。
1. インターホンの二次配線工事(資格不要)
これは「軽微な工事」として扱われ、資格は不要です。
ポイントは「二次電圧が36V以下」という点です。
インターホンや呼び鈴、火災感知器などで使われる小型変圧器の二次側(電圧が下がった側)で、かつ36V以下の配線は、感電による危険性が極めて低いため、電気工事士でなくても施工が可能です。
2. 電線を支持する柱、腕木の設置(資格不要)
これも資格不要です。
電線を支えるための柱(ポール)を地面に立てたり、腕木を取り付けたりする作業自体は、電気そのものを扱うわけではなく、土木・建築的な作業に近いと判断されます。
ただし、そこに「電線を取り付ける作業」や「がいしを取り付ける作業」になると、電気工事士の資格が必要になります。
「柱を立てるだけならOK、線を触ったらNG」と覚えましょう。
4. 電力量計の取り付け作業(資格不要)
意外に思われることが多いですが、電力量計(Whメーター)の取り付け・取り外しは「軽微な工事」に含まれ、資格は不要です。

かつては電力会社の専門作業員が行う領域でしたが、法令上、電力量計や電流制限器(アンペアブレーカー)、ヒューズの取り付け・取り外しは、危険度が比較的低い作業として除外されています。
ただし、これらを固定する配電盤(板)を造営材に取り付ける作業は、電気工事士の資格が必要です。
金属管に電線を収める作業などの判断に迷う方は、以下の記事で詳細に解説していますので合わせて確認してください。
↓【第二種電気工事士】金属管に電線を収める作業、無資格でやって大丈夫?「電気工事士でなければできない作業」の境界線について解説
試験対策のポイント:「軽微な工事」を覚えよう
この問題を攻略する鍵は、「電気工事士でなければできない作業(12種類)」をすべて覚えるよりも、「電気工事士でなくてもできる軽微な工事(6種類)」を確実に覚えることです。
試験では、ここから引っ掛け問題が出されることが多いからです。
以下が「軽微な工事(無資格OK)」の代表例です。
- 600V以下の機器(ねじ止め端子)への電線接続
- 600V以下の電力量計・電流制限器・ヒューズの取り付け・取り外し
- 36V以下の小型変圧器の二次側配線(インターホン等)
- 電線を支持する柱・腕木の設置・変更
- 地中電線用の暗渠(あんきょ)や管の設置・変更
- 電圧600V以下で使用する接続器(プラグなど)や開閉器(ナイフスイッチなど)にコードまたはキャブタイヤケーブルを接続する工事
これらに該当しない本格的な配線作業、特に「電線相互の接続」「電線管の加工・接続」「接地線(アース)の取り付け」などは、電気工事士の独占業務であると認識しておきましょう。
まとめ
今回の問題の正解は、「3. 電線管をねじ切りし、電線管とボックスを接続する作業」でした。
電気工事士の試験では、「できること」と「できないこと」の線引きが明確に問われます。
特に以下のキーワードが出たら要注意です。
- インターホン(36V以下) → 無資格OK
- 電力量計(メーター) → 無資格OK
- 管の加工・接続 → 絶対に資格が必要
これらのルールは、単なる暗記ではなく「危険性が高い作業かどうか」という安全の観点から作られています。
正しい知識を身につけて、試験合格を目指しましょう。

