記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事士として現場に出たとき、最も身近でお客様の安全に直結するのが「コンセント」の選定です。
特にキッチンや洗面所などの水回りで使用する家電製品は、感電事故のリスクが高いため、適切な器具を選ぶ知識が必須となります。
今回は、電気食器洗い機(食洗機)や洗濯機など、水気のある場所で使用する機器用コンセントに関する問題です。
似たような名称の器具が並ぶため、正確に区別できていないと間違えやすいポイントです。
まずは今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
住宅で使用する電気食器洗い機用のコンセントとして、最も適しているものは次のうちどれか。
- 接地端子付コンセント
- 抜け止め形コンセント
- 接地極付接地端子付コンセント
- 引掛形コンセント
答えは決まりましたか?
「アースが必要なのはわかるけど、1と3は何が違うの?」と迷った方もいるかもしれません。
この2つの違いを明確に説明できるかどうかが、この問題の正解だけでなく、実務での現場力にも繋がります。
正解と、なぜそのコンセントでなければならないのか、プロとしての視点で解説します。
1. ズバリ、正解は?
正解は、選択肢の 3(接地極付接地端子付コンセント) です。
電気食器洗い機や電気洗濯機、電子レンジなどの「特定機器」と呼ばれる家電製品は、水気のある場所で使用されることが多く、漏電による感電リスクが高くなります。そのため、これらを使用するコンセントには、確実にアース(接地)が取れる器具を選定する必要があります。

なぜ「3」が最も適しているのか?
近年、家電製品のプラグ(コンセントに差す側)の形状は多様化しています。
・3ピンタイプ
パソコンや一部の海外製家電のように、プラグ自体にアースピン(3本目の棒)がついているもの。
・アース線別出しタイプ
日本の洗濯機や冷蔵庫によくある、2本のプラグとは別に緑色のアース線が出ているもの。
正解の「接地極付接地端子付コンセント」は、この「両方のタイプに対応できる万能なコンセント」だからです。

2. 「接地極」と「接地端子」の決定的な違い
この問題を解く鍵であり、試験でもよく問われるのが「接地極」と「接地端子」の違いです。
名前は似ていますが、役割と構造が全く異なります。
接地極(E)とは?
コンセントの差し込み口にある「3本目の穴」のことです。
主に3ピンのプラグを使用する機器(OA機器や電子レンジの一部など)を接続する際に、アースピンがここに刺さることで自動的に接地されます。
図記号では、E(Earth)と表記されます。
接地端子(ET)とは?
コンセントの下部などについている、アース線を接続するための「ネジや端子」のことです。
プラグから出ている緑色のアース線を、手動でここに接続(ネジ止めやプッシュ挿入)します。洗濯機や温水洗浄便座などでよく使われます。
図記号では、ET(Earth Terminal)と表記されます。
最強の組み合わせ「接地極付接地端子付コンセント」
正解の選択肢3は、上記の「穴(接地極)」と「端子(接地端子)」の両方を持っているコンセントです。
これなら、どんな形状のプラグを持った食洗機が来ても、確実にアース接続ができます。そのため、不特定多数の家電が使われる可能性がある住宅のキッチンや洗面所では、このタイプが「最も適している」と判断されます。
図記号では、EET(Earth + Earth Terminal)と表記されます。
3. 他の選択肢はなぜ不正解?
試験では「なぜ他がダメなのか」を理解しておくことで、応用問題にも対応できるようになります。
1. 接地端子付コンセント
アース線を繋ぐ端子はありますが、3ピンプラグ用の「穴(接地極)」がありません。もし食洗機のプラグが3ピンタイプだった場合、変換アダプタが必要になり、そのままでは使用できないため「最も適している」とは言えません。
2. 抜け止め形コンセント
プラグを差して回転させることでロックし、不意に抜けるのを防ぐコンセントです。工場の天井配線やオフィスのPC用などで使われますが、アース機能が主目的ではない(接地極がないタイプもある)ため、食洗機用としては最適ではありません。
図記号にはLK(Lock)が添えられます。

4. 引掛形コンセント
プラグの刃が特殊な形状をしており、差してひねることでロックするものです。重量のある照明器具や、工場の動力用などで使われます。一般的な家庭用食洗機のプラグ(平行型)はそもそも差し込めません。
図記号にはT(Twist)が添えられます。

4. 現場で役立つ!アースピンが「長い」理由
ここで、少しプロ向けの知識を深掘りしましょう。
3ピンのプラグ(接地極付プラグ)を見たとき、アース用の棒(ピン)だけ少し長くなっていることに気づいたことはありますか?
実はこれ、単なるデザインではなく、感電事故を防ぐための安全装置なのです。
安全の仕組み:早入り遅切り
アースピンが長いことで、コンセントに差し込むときと抜くときに、以下のような順序になります。
- 差し込むとき:電気が流れる刃よりも先に、アースピンが接地極に触れてアースが繋がる。
- 抜くとき:電気が流れる刃が離れて電気が切れた後に、最後にアースピンが離れる。
この仕組みにより、電気が通っている間は常にアースが繋がっている状態が保証されます。
万が一、プラグを差し込んだ瞬間に機器が漏電していても、先にアースが繋がっているので、人間が感電するのを防いでくれるのです。
まとめ:この問題の攻略ポイント
・食洗機、洗濯機、電子レンジなどの水回り家電にはアース(接地)が必須。
・「接地極」は3ピン用のアース穴。
・「接地端子」はアース線をつなぐ場所。
・両方ついている「接地極付接地端子付コンセント」が、家庭用として最も汎用性が高く正解となる。
・図記号の違い(E、ET、EET)もしっかり区別しておくこと。
一見地味な「コンセントの種類の違い」ですが、その背景には「感電から人を守る」という電気工事士の最も大切な使命が隠されています。

