記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事の現場で最も身近な測定器といえば「回路計(テスタ)」です。
電圧を測ったり、配線が切れていないかを確認したりと大活躍しますが、実は「テスタでは測れない(測ってはいけない)もの」があることを知っていますか?
筆記試験では、この「測定器の使い分け」が頻繁に出題されます。現場での誤った使用は事故にもつながるため、試験センターも重要視しているポイントです。
まずは、実際に出題される形式で今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
一般に使用する回路計(テスタ)によって測定できないものは次のうちどれか。
[ 画像:回路計(テスタ)の写真や、試験問題のイメージ図 ]- 交流電圧
- 回路抵抗
- 漏れ電流
- 直流電流
答えは決まりましたか?
「全部測れそうな気がする……」と迷ってしまった方は要注意です。
それぞれの測定項目には、適切な「専用の道具」が存在します。なぜその項目が測定できないのか、理由を知れば二度と間違えることはありません。
1. ズバリ、正解(測定できないもの)は?
正解は、選択肢の 3(漏れ電流) です。
一般に使用される回路計(テスタ)は、主に以下の3つを測定するための機器です。
- 電圧(直流・交流)
- 電流(主に直流)
- 抵抗(導通チェック含む)
しかし、「漏れ電流」だけは測定できません。
(※また、今回の選択肢にはありませんが「絶縁抵抗」や「接地抵抗」もテスタでは測定できません)

なぜ「漏れ電流」はテスタで測れないのか?
これには明確な理由があります。
- 回路を切断できないから一般的なテスタで電流を測る場合、配線を一度切断してテスタを直列に割り込ませる(電流の通り道にする)必要があります。しかし、漏電の調査(漏れ電流の測定)は、建物に電気が流れている状態で行うことが多く、いちいち壁の中の配線を切ることは非現実的で危険です。
- 微小すぎて測れないから漏れ電流は、正常な状態では「ミリアンペア(mA)」以下の非常に小さな電流です。一般的なテスタの電流レンジでは正確に検出するのが難しく、専用の感度を持った測定器が必要です。
2. じゃあ「漏れ電流」は何で測るの?
漏れ電流を測定するために使われるのが、「クランプ形電流計(クランプメータ)」 です。

洗濯バサミのような形状をしており、電線を切断することなく、電線の周りから「磁界」を読み取って電流を測定します。
試験では「漏れ電流 = クランプ形電流計」というペアで必ず覚えておきましょう。
3. その他の選択肢はなぜOK?(テスタで測れるもの)
他の選択肢についても確認しておきましょう。これらはすべて回路計(テスタ)の得意分野です。
1. 交流電圧(OK)
家庭のコンセント(100V)や工場の動力(200V)など、電圧が来ているかを確認するのによく使います。ダイヤルを「AC V(交流電圧)」に合わせて測定します。
2. 回路抵抗(OK)
配線の抵抗値を測ったり、スイッチがONになった時に電気が通るか(導通試験)を調べたりします。断線のチェックには欠かせない機能です。
今回の添付画像解説にもある通り、「断線の有無や導通」を調べるのがテスタの主な役割の一つです。
4. 直流電流(OK)
乾電池やバッテリー、電子工作の回路などに流れる電流です。
(※ちなみに、一般的なアナログテスタでは「交流電流」は測定機能がないことが多いですが、試験対策としては「直流電流は測れる」と覚えておけばOKです)
4. 試験直前!計測器の「NGペア」まとめ

第二種電気工事士の試験では、「測定したい項目」と「使うべき測定器」の組み合わせがよく問われます。
テスタで代用しようとしてはいけない「3大NG」を整理しました。
【測定したいもの】漏れ電流
【回路計(テスタ)】× できない
【正解の測定器】クランプ形電流計
【測定したいもの】絶縁抵抗
【回路計(テスタ)】× できない
【正解の測定器】絶縁抵抗計(メガー)
【測定したいもの】接地抵抗
【回路計(テスタ)】× できない
【正解の測定器】接地抵抗計(アーステスタ)
特に「絶縁抵抗」も引っかけ問題としてよく出題されます。「抵抗」という言葉につられてテスタ(回路抵抗測定)を選ばないように注意してください。絶縁抵抗は非常に高い抵抗値(メガオーム)を測るため、高い電圧をかける特殊な「絶縁抵抗計」が必要です。
まとめ:この問題の攻略ポイント
- 回路計(テスタ)は万能選手だが、「漏れ電流」は苦手(測定できない)。
- 漏れ電流を測りたいなら、電線を挟むだけの「クランプ形電流計」を使う。
- 「絶縁抵抗」や「接地抵抗」もテスタでは測れない。
この区別がついているだけで、計測器に関する問題の正答率はグッと上がります。
現場に出た時も、「漏電調査に行くからテスタ持ってきて」と言われて、間違って普通のテスタだけを持っていく……なんて恥をかかないよう、しっかり覚えておきましょう!

