【電気工事士】「ウォーターポンププライヤ」の正しい使い方と技能試験の合格テクニックを徹底解説

【電気工事士】「ウォーターポンププライヤ」の正しい使い方と技能試験の合格テクニックを徹底解説

この記事でわかること

・ウォーターポンププライヤの基本構造とペンチにはない独自の口幅調整機能

・技能試験の金属管工事におけるロックナット締め付けやねじ切りの正しい手順

・試験本番で重大欠陥を防ぐための確実な工具操作とアウトレットボックス内での取り回し方

電気工事士の技能試験に向けて工具セットを準備する際、ペンチやドライバーと並んで必ず指定工具リストに入っているのが「ウォーターポンププライヤ」です。

名前からすると水道の配管工事で使われるイメージが強い工具ですが、実は電気工事、とくに「金属管工事」において合否を分ける非常に重要な役割を担っています。

第一種、第二種電気工事士の技能試験では、ウォーターポンププライヤを正しく扱えないと「重大欠陥」として一発で不合格になる課題が存在します。

今回は、電気工事士の取得を目指している方に向けて、金属管工事におけるウォーターポンププライヤの役割や、試験で失敗しないための正しい使い方を漏れなく肉厚に徹底解説します。

1. ウォーターポンププライヤとは?ペンチとの決定的な違い

ウォーターポンププライヤは、対象物を「掴む・回す」ことに特化した工具です。

一般的なペンチやプライヤとの最大の違いは、ジョイント(支点)部分の溝をスライドさせて、口の開き幅(開口幅)を何段階にも調整できる点にあります。

なぜこの調整機能が必要なのか?

通常のペンチは支点が固定されているため、太い金属管や大きなナットを掴もうとすると持ち手が開きすぎてしまい、力がうまく入りません。

しかしウォーターポンププライヤなら、対象物のサイズに合わせて口幅を調整できるため、どのような大きさの部材でも常に一番握りやすく力が伝わりやすい角度で対象物を保持できます。

咥え部(アゴ)の形状と角度

対象物を挟む先端部分は、丸いパイプや六角形のナットを点でなく面で捉えやすいように「ひし形」に窪んだ形状になっているものが多く、作業中に滑りにくい工夫が施されています。

また、柄(ハンドル部分)に対してアゴが30度から45度ほどの角度がついて設計されています。この形状のおかげで、壁面や床面に近い場所、あるいは狭いアウトレットボックス内での金属管工事でも、手が壁にぶつからずに作業できるという優れた特徴を持っています。

ウォーターポンププライヤの全体像

2. 技能試験の金属管工事における具体的な出番と役割

2. 技能試験の金属管工事における具体的な出番と役割

第二種および第一種の技能試験において、金属管(ねじなし電線管など)を使用する課題が出題された場合、ウォーターポンププライヤは以下の作業で必須となります。

ロックナットの確実な増し締め

金属管をアウトレットボックスに接続する際、ボックスコネクタを差し込み、ボックスの内側から「ロックナット」というリング状の金具で固定します。

最初は指で時計回りに回して仮止めを行いますが、最終的な本締めは指の力だけでは不十分です。試験の判定基準では、工具を使って物理的にしっかりと締め付けられていない場合、緩みによる配管脱落の危険があるとして「重大欠陥(一発不合格)」とみなされます。

ここでウォーターポンププライヤを使用し、ロックナットのギザギザした外周を先端でしっかりと掴み、緩みが出ないようにガッチリと増し締めをします。試験官が指で触ってロックナットが動いてしまうとアウトになるため、確実な工具操作が求められます。

ボックスコネクタの止めねじのねじ切り

ねじなし電線管工事の大きな特徴として、ねじ切り作業があります。

コネクタに金属管を挿入したあと、側面に付いている固定用の止めねじを回して管を圧迫し固定します。このねじは、一定の力がかかるとねじの頭(六角形の部分)だけがポロッと折れて取れる特殊な構造になっています。試験において、このねじ切りを忘れると即座に重大欠陥となります。

プラスドライバーで限界まで締め込んでねじ切ることも可能ですが、ネジ頭が固い場合やドライバーの先が滑ってネジ穴が潰れそうな時は、ねじの頭をウォーターポンププライヤの先端で直接掴んで力強く回し切るのが、最も安全かつ確実なテクニックです。柄が長くテコの原理が働くため、ドライバーよりも圧倒的に軽い力でねじ切ることができます。

3. 失敗しないための正しい使い方と安全な操作のコツ

3. 失敗しないための正しい使い方と安全な操作のコツ

ウォーターポンププライヤは強力で便利な工具ですが、使い方を誤ると部材を傷つけたり、怪我をしたりする恐れがあります。以下のポイントを押さえて正しい使い方をマスターしてください。

対象物に合わせて口幅(スライド)を正しく調整する

作業に入る前の基本中の基本です。口幅が狭すぎても広すぎても、対象物をしっかりと掴むことができず滑ってしまいます。

調整する際は、必ず両手でハンドルを限界まで大きく全開にしてからジョイントをスライドさせるのが正しい手順です。柄が少しでも閉じているとロックがかかりスライドできません。

例えば、技能試験でよく使用されるE19のねじなしボックスコネクタのロックナットを締める場合、一番狭い状態から2段階から3段階ほど広げた位置がジャストフィットすることが多いです。対象物を掴んだときに、持ち手が自分の手で握りやすい間隔になっているかを確認する癖をつけましょう。

回す向きとテコの原理

ウォーターポンププライヤには、力をかけるべき「正しい向き」が存在します。上あごと下あごの構造上、一方の方向に回すときはテコの原理が強く働いて部材にガッチリと食い込みますが、逆方向に回すと滑ってしまいます。

基本的には、上あごを部材に引っかけ、下あごで押し出すように「口が開いている方向」に向かって力を入れるイメージで使用します。逆向きに回すと、ロックナットの角をなめたり、勢いあまって手をボックスのフチにぶつけたりする原因になります。

指詰めに注意する

口幅を調整し間違えたり、強い力をかけた際に工具が部材から外れたりすると、ハンドルの柄と柄が勢いよく完全に閉じてしまい、指や手のひらの肉を挟んでしまう「指詰め事故」が起こりがちです。工具を強く握り込む際は、常にハンドルの間に空間の余裕があるかを確認し、手元の安全に十分注意して作業してください。

4. 試験本番で焦らないための選び方と注意点

4. 試験本番で焦らないための選び方と注意点

これから電気工事士の技能試験に向けて工具を揃える場合、最も注意すべきは工具の「全長(サイズ)」です。

ホームセンターの配管工事コーナーに売られている一般的なウォーターポンププライヤは、全長が250ミリ以上の大型サイズが主流です。しかし、電気工事士の技能試験にこのサイズを持ち込むと、10センチ四方ほどの小さなアウトレットボックスの中で工具が長すぎてつかえてしまい、ロックナットを回すスペースが確保できなくなります。

技能試験や一般的な盤内作業で推奨されるのは、全長200ミリ前後の小型から中型タイプのウォーターポンププライヤです。

小型であれば狭いボックス内でもスムーズに取り回すことができ、ねじ切り作業も楽に行えます。電気工事士試験用の指定工具セットに含まれているものを選べば間違いありません。

絶縁ブッシングの扱いに注意

金属管の端に取り付け、電線の被覆を傷つけないように保護する「絶縁ブッシング」は樹脂製(プラスチック)です。ロックナットと同じ感覚でウォーターポンププライヤを使って強く締めすぎると、プラスチックが割れてしまい重大欠陥となります。樹脂部品は基本的に手締めでしっかりと固定するか、工具を使う場合も割れない程度の軽い力に留めるというプロの感覚も意識しておきましょう。

まとめ

ウォーターポンププライヤは、第一種および第二種電気工事士の技能試験において、金属管工事の施工品質を左右する非常に重要な工具です。

とくに「ロックナットの確実な締め付け」と「止めねじのねじ切り」は、欠陥判定に直結するため、日頃の練習から適切な口幅の調整と正しい回す向きを意識することが合格への近道となります。

「柄を全開にしてからスライドさせる」という基本動作を手に覚えさせ、狭いアウトレットボックス内での短いストロークでの締め付け感覚を養うことで、本番で焦らず確実な作業ができるように準備しておきましょう。