汽力発電を徹底解説!再熱サイクル・自然循環ボイラ・タービン発電機の特徴

汽力発電を徹底解説!再熱サイクル・自然循環ボイラ・タービン発電機の特徴

この記事では、第一種電気工事士試験に向けた汽力発電の知識について以下のことが分かります。

火力発電の熱効率を高める再熱サイクルの仕組みと、各構成機器の役割。

自然循環ボイラの構造と、蒸発管や過熱器、節炭器などの働き。

タービン発電機の回転速度や、円筒回転界磁形、横軸形といった構造的特徴。

第一種電気工事士試験の「発電・送電・変電施設」の分野では、発電所の仕組みについて問われます。中でも火力発電所における「汽力発電」は、出題頻度が高い重要なテーマです。

汽力発電とは、燃料を燃やして水を沸騰させ、発生した高温・高圧の蒸気の力でタービンを回して発電する方式です。本記事では、試験で特によく出題される「再熱サイクル」「自然循環ボイラ」「タービン発電機」の3つのキーワードに絞り、その特徴や仕組みを読者の皆様の目線に立って徹底的に解説します。

火力発電の熱効率を高める「再熱サイクル」

火力発電所では、熱エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換するために、様々な工夫が凝らされた「熱サイクル」が用いられています。その中で第一種電気工事士試験で最もよく出題されるのが「再熱サイクル」です。

再熱サイクルとは

再熱サイクルとは、タービンの中で仕事をして温度と圧力が下がった蒸気を、一度タービンから取り出し、ボイラの中にある「再熱器」で再び加熱(再熱)してから、次のタービンへ送って再び仕事をさせる仕組みです。

通常、蒸気は高圧タービンから低圧タービンへと流れます。高圧タービンを出た蒸気をそのまま低圧タービンに送ると、蒸気の温度が下がりすぎて水滴が発生し、タービンの羽根(翼)を傷つける原因になります。これを防ぐとともに、発電所全体の熱効率を向上させるために再熱サイクルが採用されています。

再熱サイクルの構成機器と役割

試験では、再熱サイクルの系統図が示され、各部位の名称や働きを問われる問題が頻出します。以下の構成機器の配置と役割をしっかりと結びつけて覚えましょう。

・ボイラ

燃料を燃焼させ、給水ポンプから送られてきた水を高温・高圧の蒸気に変える装置です。

・過熱器

ボイラで発生した蒸気をさらに加熱し、水分を含まない高温の「過熱蒸気」にする装置です。この過熱蒸気が最初の高圧タービンへ送られます。

・再熱器

高圧タービンで仕事をして温度と圧力が下がった蒸気を、再びボイラ内に引き込んで再加熱する装置です。ここで再加熱された蒸気は、低圧タービンへと送られます。再熱サイクルの心臓部とも言える重要な機器です。

・復水器

低圧タービンで仕事を終えた蒸気を冷やして、元の水に戻す装置です。戻った水は給水ポンプによって再びボイラへ送られ、循環します。

試験対策としては、タービンとタービンの間にある加熱装置が「再熱器」であること、ボイラから最初のタービンに向かう前にあるのが「過熱器」であることを図面から見分けられるようにすることが重要です。

ボイラの仕組みを理解する「自然循環ボイラ」

汽力発電の要であるボイラにはいくつかの種類がありますが、第一種電気工事士試験で構成が問われるのは主に「自然循環ボイラ」です。

ボイラの仕組みを理解する「自然循環ボイラ」

自然循環ボイラの特徴

自然循環ボイラは、水が加熱されて蒸気になる際の「密度の差(比重の差)」を利用して、ポンプなどの動力を極力使わずにボイラ水を自然に循環させる方式のボイラです。温められた水や蒸気は軽くなって上に上がり、冷たい水は重くなって下に下がるという自然現象を利用しています。

自然循環ボイラの構成図と各部の名称

試験では、ボイラの断面図が示され、構成する各部位の名称を選択する問題が出題されます。蒸気と水がどのように流れていくかをイメージしながら各部の役割を覚えましょう。

・ドラム(気水分離器)

ボイラの上部に設置されている円筒形の容器です。加熱されて上がってきた蒸気と水の混合物を受け入れ、蒸気と水に分離する役割を持っています。分離された蒸気は過熱器へ向かい、水は再び下に送られて循環します。

・蒸発管

ボイラの燃焼室を取り囲むように配置された管です。燃焼ガスの熱を直接受けて、中を通る水を蒸発させます。ここで水と蒸気の混合物が作られ、ドラムへと上昇していきます。

・過熱器

ドラムで分離された蒸気を取り出し、燃焼ガスの熱を利用してさらに高温の過熱蒸気にする装置です。この過熱蒸気がタービンを回すための強い駆動力となります。

・節炭器(エコノマイザ)

ボイラから煙突へ排出される燃焼ガスの「余熱」を利用して、ボイラに供給される水をあらかじめ温めておく装置です。捨てるはずだった熱を再利用することで、燃料の消費量(石炭など)を節約し、ボイラの効率を高める役割があります。

図を見たときに、燃焼ガスが排出される煙突側にあるのが「節炭器」、燃焼室の壁面にあるのが「蒸発管」、発生した蒸気をタービンへ送る直前に加熱するのが「過熱器」と判別できるようにしておきましょう。

タービン発電機の特徴と構造

汽力発電所で蒸気の力を受けて実際に電気を発電するのが「タービン発電機」です。タービン発電機には、水力発電で使われる水車発電機とは異なるいくつかの明確な特徴があります。

高速回転で駆動する

タービン発電機は、高温・高圧の蒸気(またはガス)を駆動力として高速でタービンを回転させます。そのため、水車発電機と比較して「回転速度が非常に高い(大きい)」という特徴があります。

回転子は「円筒回転界磁形」

発電機の中心で回転する電磁石の部分を回転子(界磁)と呼びます。タービン発電機は回転速度が極めて高いため、回転子には非常に大きな遠心力がかかります。

この強大な遠心力に耐えられるように、タービン発電機の回転子には、凹凸のない滑らかな円柱状をした「非突極回転界磁形」または「円筒回転界磁形」と呼ばれる構造が用いられます。対して、回転速度が比較的遅い水力発電の水車発電機では、磁極が飛び出した形の「突極形」が用いられます。この違いは試験でよく狙われます。

設置方式は「横軸形」

発電機の回転軸をどのような向きで設置するかについて、タービン発電機では一般的に軸を水平に寝かせて設置する「横軸形」が採用されます。

試験の誤り選択肢として、「タービン発電機の回転子は、一般に縦軸形が採用される」といった引っかけが出題されることがあります。タービン発電機は横軸形、水車発電機は大型になると縦軸形が多くなる、という対比で覚えておくと確実です。

まとめ:試験合格のための学習ポイント

第一種電気工事士試験の汽力発電分野を攻略するためには、以下のポイントを確実に押さえておく必要があります。

1.再熱サイクルの構成

高圧タービンと低圧タービンの間で蒸気を再加熱するのが「再熱器」であること。系統図のどこに配置されているかを視覚的に覚える。

2.自然循環ボイラの各部名称

「蒸発管」「過熱器」「節炭器」の役割を理解し、ボイラ構成図の中から正しい位置を指摘できるようにする。特に排ガスの熱を再利用する節炭器は重要です。

3.タービン発電機の特徴3点セット

・水車発電機に比べて回転速度が「高い」。

・回転子は遠心力に強い「円筒回転界磁形(非突極形)」。

・軸の設置方式は「横軸形」。

これらの特徴や名称は、過去の試験でも繰り返し出題されています。単に言葉を暗記するだけでなく、熱エネルギーがどのように電気に変わっていくのか、その流れや仕組みを理解することで、確かな知識として定着させることができます。