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電気工事士の筆記試験で、計算問題に苦手意識を持つ人は少なくありません。特に「電力」「電力量」「熱量」の単元は、似たような用語と単位(W、Wh、J)が混在するため、正確な理解が求められます。
しかし、この単元は公式と単位の関係さえ整理できていれば、確実に得点できる重要なポイントです。まずは試験によく出る形式の問題で、現在の理解度を確認してみましょう。
【問題】
抵抗 20Ω の電熱器に 100V の電圧を加え、1時間使用したときの「消費電力」と「発熱量」の組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
- 消費電力:0.5 kW / 発熱量:1800 kJ
- 消費電力:500 kW / 発熱量:1800 kJ
- 消費電力:0.5 kW / 発熱量:3600 kJ
- 消費電力:500 kW / 発熱量:3600 kJ
答えは決まりましたか?
この問題は、単に公式を覚えているかだけでなく、単位の変換(WからkW、JからkJ)や、時間の扱い(時間から秒)が正しくできるかを問う良問です。
それでは、正解と詳細な解説を見ていきましょう。
1. ズバリ、正解は?
正解は、選択肢の 1 です。
・消費電力:0.5 kW
・発熱量:1800 kJ
なぜこの数値になるのか、計算のプロセスを分解して解説します。

2. 解説:電力と熱量を導き出す3つのステップ
この問題を解くには、以下の順序で計算を進めます。
- オームの法則で「電流」を知る(または直接電力を出す)
- 「電力」を計算し、単位をkWに合わせる
- 「熱量」を計算し、単位をkJに合わせる
ステップ1:消費電力(P)を求める
まず、この電熱器がどれくらいの電力(パワー)で動いているかを計算します。
電力 P [W] を求める公式はいくつかありますが、電圧 V [V] と抵抗 R [Ω] がわかっている場合は以下の式が便利です。

数値を当てはめます。
P = (100 × 100) ÷ 20
P = 10000 ÷ 20
P = 500 [W]
ここで、選択肢の単位を確認すると「kW(キロワット)」になっています。
1kW = 1000W なので、単位を変換します。
500 [W] = 0.5 [kW]
これで、消費電力は「0.5 kW」であることがわかりました。
ステップ2:時間の単位を「秒」に変換する
次に発熱量を求めますが、ここで最も重要なルールがあります。
熱量(ジュール)を計算する際、時間は必ず「秒(second)」でなければなりません。
問題文では「1時間」使用したとあります。
・1時間 = 60分
・1分 = 60秒
・よって、1時間 = 60 × 60 = 3600秒
この「3600」という数字は、電気の計算問題で頻出するマジックナンバーです。
ステップ3:発熱量(H)を求める
発熱量 H [J] は、電力 P [W] に時間 t [秒] を掛けることで求められます(ジュールの法則)。
H = P × t
ステップ1で求めた 500W と、ステップ2で求めた 3600秒 を掛け算します。
※ここで 0.5kW を使わないように注意してください。公式の基本単位は「ワット」です。
H = 500 × 3600 = 1,800,000 [J]
計算結果は180万ジュールとなりました。
選択肢の単位は「kJ(キロジュール)」なので、1000で割って単位を直します。
1,800,000 [J] = 1800 [kJ]
以上より、「0.5 kW」と「1800 kJ」の組み合わせである 1番 が正解となります。
3. 重要ポイント:電力・電力量・熱量の関係

試験対策として、用語と単位の関係を整理しておきましょう。これらは別々のものを指しているのではなく、視点が違うだけです。
① 電力 P(単位:W ワット)
電気の「瞬発力」や「仕事の速さ」を表します。
計算式:電圧 × 電流
② 電力量 W(単位:Wh ワットアワー)
電力を「ある時間」使い続けたときの総量です。電気料金の計算などに使われます。
計算式:電力[W] × 時間[h]
③ 熱量 H(単位:J ジュール)
電気が熱に変わったときのエネルギー量です。
計算式:電力[W] × 時間[s] [ 画像:電力(W)を中心に、時間(h)を掛けると電力量(Wh)、秒(s)を掛けると熱量(J)になる関係図 ]
覚えておくと便利な換算式
「電力量」と「熱量」は、実は同じエネルギーを表しています。
以下の換算式を覚えておくと、計算の手間を大幅に減らせる場合があります。
【 1 kWh = 3600 kJ 】
1kW(1000W)を1時間(3600秒)使うと、
1000 × 3600 = 3,600,000 J = 3600 kJ
となるためです。
今回の問題でも、「0.5kW」を「1時間」使ったので、電力量は「0.5kWh」です。
この換算式を使えば、
0.5 × 3600 = 1800 kJ
と、一発で答えを導き出すことも可能です。
まとめ
この問題の攻略ポイントは以下の3点です。
- 電力は「電圧の2乗 ÷ 抵抗」で計算できる。
- 熱量(ジュール)を出すときは、時間を「秒」に直す(1時間=3600秒)。
- 答えの単位(kが付いているか)を必ず確認する。
「ワットに秒を掛けたらジュール」「ワットに時間を掛けたらワットアワー」。この基本ルールを徹底することで、計算ミスは劇的に減ります。基礎理論の得点源として、確実にマスターしておきましょう。

