今回は、電気工事の世界で、少しレトロですが未だに根強い存在感を持つスイッチについて解説します。
過去問でも「プルスイッチ」と混同しやすいこの器具。しっかりと区別して、試験での取りこぼしを防ぎましょう。
まずは実力試し!配線図記号クイズ
第二種電気工事士の筆記試験(配線図問題)を想定した4択問題です。
規格はJIS C 0617に基づきます。
【問題】
照明器具などに付属しており、引きひもで操作する「キャノピスイッチ」を示す図記号として、適切なものは次のうちどれでしょう?
- [ 画像:黒丸(●)の横に添字「P」 ]
- [ 画像:黒丸(●)の横に添字「L」 ]
- [ 画像:黒丸(●)の横に添字「CP」 ]
- [ 画像:黒丸(●)の横に添字「A」 ]
正解と解説
答えは決まりましたか?
似たようなアルファベットが並んでいますが、意味を理解していれば迷うことはありません。
正解は、3 です。
図記号の読み解き方
図記号の横に書かれているアルファベット(添字)は、そのスイッチの種類の頭文字をとっています。
- CP = Canopy Pull Switch(キャノピスイッチ)
このように、「Canopy(キャノピ)」の C が付いているのが特徴です。
他の選択肢も試験によく出るので、あわせて覚えておきましょう。
- 1:●P … プルスイッチ(Pull Switch)。引きひもスイッチのこと。
- 2:●L … 確認表示灯内蔵スイッチ(Light)。「ホタルスイッチ」など、OFFの時にスイッチ自体が光るもの。
- 4:●A … 自動点滅器(Automatic)。暗くなると自動で点くセンサー。
「キャノピスイッチ」と「プルスイッチ」は何が違う?
今回の記事の元となった参考書の画像にも、このように書かれています。
「先述のプルスイッチ(p.45)も引きひもで点滅するスイッチですが、蛍光灯などの照明器具に取り付けるものをキャノピスイッチとして区別しています。」
ここが最大のポイントです。どちらも「ヒモを引いてカチカチする」動作は同じですが、取り付け場所が違います。
1. プルスイッチ (●P)
- 場所:壁や天井に単独で取り付けられます。
- イメージ:学校の天井扇(扇風機)の横についているスイッチや、古い工場の照明を一斉に操作するような、独立したスイッチです。
2. キャノピスイッチ (●CP)
- 場所:照明器具の**内部(フランジや本体)**に組み込まれています。
- イメージ:和室にあるペンダントライト(吊り下げ照明)や、古い台所の流し元灯。器具から直接ヒモがぶら下がっているタイプです。
「キャノピ」とは、本来「天蓋(てんがい)」や「覆い」を意味する言葉です。照明器具のカバー(フランジ)部分に取り付けることから、この名前が付いています。
現場目線でのアドバイス:リフォーム現場での遭遇率高し
これから電気工事士として現場に出る方へ、実務でのポイントをお伝えします。
新築の住宅では、壁のスイッチやリモコンで操作することが主流になり、キャノピスイッチ付きの照明器具を新しく取り付ける機会は減ってきました。
しかし、「リフォーム」や「改修工事」の現場では、まだまだ頻繁に遭遇します。
「ヒモが根元から切れた!」という依頼
一般のお客様からよくあるトラブルの一つが、キャノピスイッチの紐が切れてしまい、照明が点かなくなった(あるいは消せなくなった)というものです。
この場合、スイッチユニット(キャノピスイッチ本体)だけを交換修理することもあれば、これを機に「壁スイッチ」への切り替え工事を提案することもあります。
構造の理解が修理に役立つ
試験では図記号の暗記で終わってしまいがちですが、「照明器具の中に小さなスイッチ部品が入っている」という構造を理解しておくと、将来現場で「あ、これがキャノピスイッチか」と点と線が繋がるはずです。
まとめ
第二種電気工事士試験において、キャノピスイッチは「プルスイッチ(●P)」との引っかけ問題として意識しておくべき項目です。
- ●CP = キャノピスイッチ(器具に内蔵)
- ●P = プルスイッチ(壁や天井に単独設置)
C(キャノピ)が付くかどうかで、そのスイッチが「器具の一部」なのか「独立した部品」なのかが変わります。
一つ一つの記号には、現場での施工方法や設置場所の意味が込められています。単なる暗記ではなく「現場の風景」を想像しながら勉強を進めると、記憶の定着率がグッと上がりますよ。
