記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事士として現場に出た際、最も恐ろしい事故の一つが「感電」です。
その感電事故や漏電火災を防ぐための安全装置が「漏電遮断器(ELB)」です。
試験では「どのような場所に設置しなければならないか?」だけでなく、「どのような条件なら設置を省略してもよいか?」 という例外ルールが頻繁に問われます。
「水気がある場所だと100Vでも必要なの?」
「アース(接地)があれば省略できる?」
曖昧になりがちなこのルール、まずは実際に出題された過去問形式で、今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
低圧の機械器具に簡易接触防護措置を施していない(人が容易に触れるおそれがある)場合、それに電気を供給する電路に漏電遮断器の取り付けが省略できるものは次のうちどれか。
- 100V ルームエアコンの屋外機を水気のある場所に施設し、その金属製外箱の接地抵抗値が 100Ω であった
- 100V の電気洗濯機を水気のある場所に設置し、その金属製外箱の接地抵抗値が 80Ω であった
- 電気用品安全法の適用を受ける二重絶縁構造の機械器具を屋外に施設した
- 工場で 200V の三相誘導電動機を湿気のある場所に施設し、その鉄台の接地抵抗値が 10Ω であった
答えは決まりましたか?
「全部、水や湿気がある場所だから必要なのでは?」
「接地抵抗値が低いから省略できる?」
と迷った方もいるかもしれません。
この問題は、電気工事士試験で頻出の「ある強力な例外ルール」を知っていれば、複雑な条件を考えずに一発で正解を選べる問題です。
正解と、なぜその工事方法で良いのかを詳しく解説します。
1. ズバリ、正解(省略できるもの)は?
正解は、選択肢の 3 です。
他の選択肢(1、2、4)はすべて漏電遮断器の設置が「必須」ですが、3だけは設置を「省略」できます。
この問題を解く最大の鍵は、「二重絶縁構造」 というキーワードです。
これが出てきたら、試験対策上は「場所や電圧に関係なく漏電遮断器を省略できる最強のカード」と覚えてしまって構いません。
では、なぜそうなるのか、基本的なルールからしっかり理解していきましょう。

2. 徹底解説!漏電遮断器の「設置」と「省略」のルール
電気設備の技術基準(解釈 第36条)では、感電防止のために以下の原則が定められています。
【原則】
使用電圧が 60V を超える低圧の機械器具で、人が触れやすい金属製外箱がある場合は、漏電遮断器を施設しなければならない。
日本の家庭用コンセントは100Vですので、原則として洗濯機や冷蔵庫、エアコンなどの金属製ボディを持つ家電には漏電遮断器が必要です。
しかし、すべての回路に設置するのはコストやスペースの問題もあります。そこで、安全性が確保されている以下の4つのケースに限り、設置を省略できる例外規定があります。
試験に出る!省略できる4つの条件

ここが今回の記事の最重要ポイントです。以下の条件のいずれかに当てはまれば、漏電遮断器は不要です。
① 機械器具を「乾燥した場所」に施設する場合
湿気や水気がない、乾燥した部屋(リビングや寝室など)であれば、感電のリスクが低いため省略できます。
② 対地電圧が 150V 以下で、かつ「水気のない場所」に施設する場合
一般的な100V家電などはこれに該当しますが、重要なのは「水気のない場所」という条件です。
逆に言えば、100Vであっても「水気のある場所(屋外、キッチン、浴室、洗面所など)」では省略できません。
③ 「二重絶縁構造」の機械器具を施設する場合
今回の正解パターンです。
機械器具自体が「二重絶縁」という特別な構造で作られている場合、万が一内部で故障しても、人が触れる外箱には電気が流れないようになっています。
そのため、場所(屋内・屋外・水気のある場所)や電圧に関わらず、漏電遮断器を省略できます。
(製品には「回」という漢字のようなマークが表示されています)

④ 接地抵抗値が「3Ω以下」の場合
施された接地工事(アース)の抵抗値が 3Ω以下 という極めて低い値であれば、漏電しても電気を地面にスムーズに逃がすことができるため、遮断器なしでも安全とみなされます。
※通常のD種接地工事(100Ω以下)では省略できない点に注意してください。「3Ω」という数字がポイントです。
3. 他の選択肢はなぜダメなのか?
正解以外の選択肢が「なぜ漏電遮断器を省略できないのか」を確認することで、理解がより深まります。
1. エアコン室外機(100V、水気あり、100Ω)
- 判定:設置が必要(省略不可)
- 理由:「水気のある場所」なので、上記の条件②(150V以下かつ水気なし)は使えません。また、接地抵抗が100Ωであり、条件④(3Ω以下)も満たしていません。
2. 電気洗濯機(100V、水気あり、80Ω)
- 判定:設置が必要(省略不可)
- 理由:こちらも「水気のある場所」です。洗濯機置き場は水回りなので条件②は適用外。接地抵抗80Ωも3Ωより大きいため、条件④もクリアできません。
4. 三相誘導電動機(200V、湿気あり、10Ω)
- 判定:設置が必要(省略不可)
- 理由:まず200V(対地電圧150V超)なので、条件②は使えません。「湿気のある場所」は乾燥した場所ではないので条件①も不可。接地抵抗10Ωは優秀ですが、条件④の「3Ω以下」には届いていないため省略できません。
4. 試験でよく出る「対地電圧の制限」もチェック

漏電遮断器と合わせて覚えておきたいのが、住宅内の「対地電圧」のルールです。
最近の住宅では、大型エアコンやIHクッキングヒーターなどで200V機器を使うことが増えています。
- 原則:住宅の屋内電路の対地電圧は 150V 以下。
- 例外:以下の条件などを満たせば 300V 以下 までOK。
この「300VまでOKにするための条件」として、以下のセットが試験によく出ます。
- 定格消費電力が 2kW 以上 の機械器具であること
- 簡易接触防護措置を施すこと
- 屋内配線と 直接接続 すること(コンセント接続はNG)
- 【重要】漏電遮断器 を施設すること(省略できない!)
「200Vのエアコンを取り付けるときは、漏電遮断器が絶対に必要」と覚えておきましょう。
まとめ:この問題の攻略ポイント
漏電遮断器の問題が出たら、まずは「省略条件」に当てはまるかを確認しましょう。
- 「二重絶縁構造」 なら、無条件で省略OK(最強のカード)。
- 「乾燥した場所」 なら、省略OK。
- 「水気のある場所」 なら、基本的には設置が必要(省略不可)。
- 接地抵抗が 「3Ω以下」 なら、省略OK(ただしレアケース)。
特に「水気がある場所=危険=漏電遮断器が必要」という感覚を持ちつつ、例外規定である「二重絶縁」を見逃さないことが正解への近道です。
現場での安全を守るための大切な知識ですので、しっかりと覚えておきましょう。

