この記事でわかること
・パイラックはH形鋼などの鉄骨に電線管を固定するための支持金具である
・試験では写真鑑別で頻出!「コの字型+ボルト」の特徴と用途を覚える
・実務ではフランジ厚(PH1など)や環境に合わせた材質選定が重要になる
電気工事の勉強を始めると、日常生活では聞き慣れない材料名がたくさん登場します。その中でも、ビルや工場などの鉄骨造の現場で主役級の活躍をするのが「パイラック」です。
筆記試験の写真鑑別問題では定番のアイテムであり、実務でもこれを使わない現場は少ないと言えるほど重要な材料です。
この記事では、パイラックの基礎知識から、試験で確実に点を取るための覚え方、そして現場で役立つプロレベルの知識までを肉厚に解説します。
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1. パイラックとは?(基礎知識)

パイラックの正体
パイラックとは、H形鋼(エイチがたこう)やI形鋼、山形鋼(アングル)などの「鉄骨」に、金属管(電線管)やケーブルを固定するための「支持金具」です。
正式名称は「一般形鋼用管支持金具」や「電線管支持金具」と呼ばれますが、現場ではほぼ100%「パイラック」と呼ばれています。
実はこの「パイラック」という名称は、電設資材メーカーであるネグロス電工株式会社の登録商標(商品名)です。しかし、あまりにも普及しているため、ホッチキスやセロテープのように、他社製品を含めたこの種類の金具の総称として定着しています。
なぜパイラックが必要なのか?
木造住宅であれば、柱や壁にステープルやサドルをビス(ねじ)で打って配管を固定できます。しかし、鉄骨のビルや工場ではそうはいきません。
分厚い鉄骨にドリルで穴を開けるのは大変な労力がかかりますし、建物の強度を保つために勝手な穴あけや溶接は禁止されていることが多いからです。
そこでパイラックの出番です。
パイラックは、鉄骨の端(フランジ部分)に挟み込み、ボルトを締め付けるだけで強力に固定できる仕組みになっています。「穴あけ不要・溶接不要」で、誰でもハンマーとレンチがあれば施工できる画期的なアイテムなのです。
2. 試験対策:写真鑑別で即答するためのポイント

第一種・第二種電気工事士の筆記試験では、材料の写真を見てその名称や用途を答える鑑別問題が出題されます。パイラックはここでの頻出問題です。
写真の特徴

写真を見た瞬間にパイラックだと判断するためのポイントは以下の2点です。
- 「コの字型」の金属ボディ
- 固定用の「ボルト」が1本付いている(ボルトにはギザギザがあることが多い)
試験に出る「用途」のキーワード
問題文や選択肢では、以下のような表現が正解となります。
・「金属管を鉄骨に固定するときに使用する」
・「造営材(鉄骨・形鋼)に電線管を取り付ける」
試験で「鉄骨」「H形鋼」「固定」というワードが出てきたら、まずはパイラックを疑ってください。
よく似た用途の「サドル(壁固定)」や「ダクタークリップ(レール固定)」と間違えないようにしましょう。
3. 実務で役立つ!種類と選び方を深掘り解説

試験に合格して現場に出ると、「パイラック持ってきて!」と指示されることがあります。その際、どれを選べば良いのか迷わないための深い知識を解説します。
型番「PH1」の意味とフランジ厚
パイラックにはサイズがあり、取り付ける鉄骨の厚み(フランジ厚)によって使い分けます。
・「PH1」:適合フランジ厚 3~16mm(最も一般的でよく使われるサイズ)
・「PH2」:適合フランジ厚 9~24mm(少し分厚い鉄骨用)
現場の鉄骨の厚みを確認して適切なサイズを選ばないと、「入らない」や「ガバガバで止まらない」という事態になります。初心者はまず、万能選手の「PH1(ピーエイチワン)」を覚えましょう。
材質の使い分け
設置場所の環境に合わせて、錆びにくい材質を選ぶ必要があります。
・「電気亜鉛めっき(銀色・金色)」:一般的な屋内用。
・「溶融亜鉛めっき(グレー・つや消し)」:屋外や湿気の多い場所用。いわゆるドブ漬け。
・「ステンレス製」:食品工場や化学工場など、特に腐食に強い材質が求められる場所用。
パイラックだけでは管は止まらない?
ここが重要なポイントです。パイラック本体はあくまで「鉄骨に噛み付くための土台」です。
電線管を抱え込むためには、「パイラッククリップ」(または配管支持金具)という別の部品を組み合わせて使用します。
パイラック本体の背中や底面にある穴にこのクリップを取り付け、そこにパイプを通すことで初めて配管工事が成立します。試験の写真では、このクリップが付いた状態で出題されることもあれば、パイラック単体で出題されることもあります。
4. プロの知識:強力に固定できる「くぼみ先」の秘密

パイラックについているボルトの先端をよく見ると、平らではなく、すり鉢状にへこんでいて、その縁が鋭い刃のようになっています。これを「くぼみ先」といいます。
ボルトを締め込むと、この刃が鉄骨の塗装や表面に「ガリッ」と食い込みます。これにより、地震や設備の振動があってもボルトが緩みにくくなり、強力な滑り止め効果を発揮します。
一度取り付けたパイラックを外すと、鉄骨に丸い傷跡が残りますが、これこそがしっかりと固定されていた証拠なのです。
5. まとめ
電気工事士試験において、パイラックは特徴がわかりやすく、確実に得点源にしたい材料です。
- 写真は「コの字型 + ボルト」
- 名称は「パイラック」(一般形鋼用管支持金具)
- 用途は「鉄骨(形鋼)に金属管を固定する」
この3点セットを確実に暗記しておけば、試験はバッチリです。
そして実務では、鉄骨の厚みに合わせたサイズ選び(PH1など)や、環境に合わせた材質選びが重要になることを思い出してください。鉄骨造の建物を見上げたとき、天井付近で無数のパイラックが電気設備を支えているのが見えるはずです。

