変電施設を徹底解説!変電設備・配電用変電所の仕組み・がいしの塩害対策・調相設備

変電施設を徹底解説!変電設備・配電用変電所の仕組み・がいしの塩害対策・調相設備

この記事で分かること

・変電設備(断路器、遮断器、GIS、保護継電器など)の役割と違いを明確に理解できます。

・配電用変電所の構成から、高圧配電線路における非接地方式の特徴までを網羅しています。

・試験でひっかけ問題になりやすい、がいしの塩害対策と調相設備の基本知識をマスターできます。

はじめに

第一種、第二種電気工事士の試験において、送配電や変電施設に関する問題は頻出分野の一つです。この分野は日常的に目にする機会が少ない機器が多いため、用語と役割をしっかりと結びつけて覚えることが重要です。

本記事では、試験で問われやすい変電設備の種類、配電用変電所の仕組み、がいしの塩害対策、そして調相設備について、読者の皆様が最短で理解できるよう徹底的に解説します。

1. 変電設備の種類と機能

変電所には、電圧の変換や系統の保護、開閉を行うために様々な機器が設置されています。それぞれの機器がどのような目的で動いているのかを正確に把握することが得点源に繋がります。

■ 断路器(だんろき)

断路器は、電路の開閉を行うための機器ですが、最も重要な特徴は「アーク(火花)を消す能力(消弧能力)を持っていない」という点です。

そのため、必ず電流が流れていない『無負荷状態』で、基本的には手動で開閉する必要があります。試験では、「故障時に電路を自動遮断する」といった誤った記述の選択肢としてよく登場するため、十分に注意しましょう。

■ 空気遮断器

遮断器は、通常時の電路の開閉だけでなく、事故時に発生する大電流を安全に遮断する役割を持ちます。電流を遮断する際には接点間に高温のアークが発生します。空気遮断器は、この発生したアークに対して圧縮空気を勢いよく吹き付けることで消弧する仕組みを持った遮断器です。

■ 負荷時タップ切換変圧器(負荷時タップ切り換え装置)

変電所から送り出される電力は、需要家(電気を使う場所)までの距離が長くなるほど電圧降下を起こします。そのため、適切な電圧を保つために電力系統の電圧調整を行う必要があります。

負荷時タップ切換変圧器は、変圧器に組み込まれた装置であり、電気を送っている状態(負荷時)のままタップを切り換えて電圧調整を行うことができる非常に重要な設備です。

■ GIS式変電所(ガス絶縁開閉装置)

都市部など、変電所を建設する敷地面積に制限がある場所で活躍するのがGIS式変電所です。

これは、遮断器や断路器などの開閉設備類を、絶縁性能が極めて高いSF6(六フッ化硫黄)ガスで充たした密閉容器に収めたものです。空気を絶縁体とするよりも機器同士の距離を大幅に近づけることができるため、変電所用地を大きく縮小できるというメリットがあります。

■ 比率差動継電器(ひりつさどうけいでんき)

大形変圧器の内部で短絡などの故障が発生した際、それを電気的に素早く検出するための保護継電器です。

変圧器の一次側と二次側に流れる電流の『比率』を常に監視しており、内部故障によってその電流バランスが崩れたことを検知して、関連する遮断器に動作信号を送ります。

2. 配電用変電所の仕組み

私たちが家庭や工場で日常的に使う電気は、発電所で作られた後、いくつかの変電所を経由して電圧を下げながら届けられます。

■ 配電用変電所の役割と系統

発電所で作られた数十万ボルトという超高圧の電気は、一次変電所、二次変電所と経由して徐々に電圧が下げられ、最終的に『配電用変電所』へと送られてきます。

配電用変電所は、送電線路によって送られてきた電気(例えば22kVから66kV)をさらに降圧し、町中の電柱などに張られている配電線路(通常6.6kV)に送り出す役割を担っています。

■ 高圧配電線路の接地方式

配電用変電所から送り出される6.6kVの高圧配電線路は、一般に『非接地方式』が採用されています。

非接地方式とは、変圧器の中性点を大地に直接繋がない(接地しない)方式のことです。この方式を採用する最大の理由は、万が一電線の一本が木や地面に触れる一線地絡事故が起きても、大地に流れる地絡電流を非常に小さく抑えることができるためです。

試験では、「高圧配電線路は中性点接地方式である」といった引っかけ問題が出題されるため、必ず「非接地方式」であると覚えておきましょう。

■ 保護装置の設置

配電線路の引出口(変電所から電線が出ていく部分)には、万が一の事故に備えて、線路保護用の遮断器と継電器がセットで設置されています。これにより、配電線路で異常が発生した際に瞬時にその区間を切り離し、事故の波及を防ぎます。

発電所から需要家までの配電系統の図解画像

3. がいしの塩害対策

海岸沿いなどの地域では、強い風によって運ばれた海水の塩分が電線路の絶縁体である「がいし」に付着することがあります。これを塩害と呼びます。

がいしに塩分が付着した状態で雨や霧などで湿ると、がいし表面の電気抵抗が極端に下がり、漏れ電流が発生して最悪の場合は地絡事故に繋がります。

■ 塩害を防ぐための具体的な対策

送電・配電および変電設備に使用するがいしの塩害対策としては、以下の3つが代表的です。試験でもこの3つが正解の選択肢としてよく出題されます。

1. 沿面距離の大きいがいしを使用する

がいしの表面を伝わって電気が漏れる距離(沿面距離)を物理的に長くすることで、絶縁低下を防ぎます。具体的には、ひだの数が多い形状をした耐塩がいしなどが用いられます。

2. はっ水性絶縁物質を塗布する

がいしの表面に、シリコンコンパウンドなどの水をはじく性質(はっ水性)を持った絶縁物質を塗布します。これにより、水分が付着しても連続した水膜になるのを防ぎ、漏れ電流の発生を抑えます。

3. 定期的ながいしの洗浄を行う

付着した塩分を直接洗い流す、シンプルかつ確実な対策です。活線洗浄装置などを用いて、定期的にがいしを洗浄し絶縁性能を維持します。

■ 注意:アークホーンは塩害対策ではない!

試験で非常に高い頻度で出題される引っかけポイントです。「がいしにアークホーンを取り付ける」という記述は、塩害対策ではなく『雷害対策』です。

アークホーンは、雷の直撃などによる異常電圧が発生した際、がいし本体が破壊される前にホーン間で放電させるための保護器具です。塩分とは関係がないため、明確に区別しておきましょう。

4. 調相設備と無効電力

交流の電力には、モーターを回すなど実際に仕事をする「有効電力」と、エネルギーのやり取りをするだけで実際の仕事には結びつかない「無効電力」の2種類が存在します。

■ 調相設備とは

電気設備の技術基準において、調相設備とは『無効電力を調整する電気機械器具』であると明確に定義されています。

工場やビルなどでモーター(誘導電動機)を多く使用すると、遅れ無効電力が増加し、力率が悪化してしまいます。力率が悪いと、同じ有効電力を送るのにより多くの電流を流さなければならず、送電線の電力損失が増えてしまいます。

これを改善するために設置されるのが調相設備(進相コンデンサや分路リアクトルなど)です。これらを設置して適切な無効電力を供給・吸収することで、電力系統の力率を改善し、電圧を安定させることができます。

試験問題では「調相設備とは【無効電力】を調整する電気機械器具である」という穴埋め問題が出ることがあるため、このキーワードの組み合わせを確実に暗記してください。

まとめ

変電施設の分野は、実物を見る機会が少ないため難しく感じがちですが、試験で問われるポイントはある程度パターン化されています。

「断路器は無負荷で手動開閉」「GISはSF6ガスで縮小化」「高圧配電線路は非接地方式」「アークホーンは雷害対策」「調相設備は無効電力の調整」といったように、キーワードと特徴を1対1で結びつけて覚えることが合格への最短ルートです。過去問を解きながら、これらの知識を定着させていきましょう。