記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
今回は、私たちの家に電気が届く最初の入り口、「電信柱から引込口(および屋側電線路)」に関する問題です。
建物の「材質」によって工事方法が変わるという、プロとして絶対知っておかなければならないルールがあります。
まずは今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
木造1階建住宅の配線図の一部分である。下図矢印で示す部分の工事の方法で、施工ができない工事の方法は次のうちどれか。

1. 金属管工事
2. 合成樹脂管工事
3. がいし引き工事
4. ケーブル工事
答えは決まりましたか?
「全部できそうじゃない?」と思いましたか?
それとも「木造」というキーワードにピンときましたか?
正解がどれか、そしてなぜその工事がダメなのか。
現場での安全管理と直結する理由を、記憶に残るように解説します。
1. ズバリ、正解(やってはいけない工事)は?
正解は、選択肢の イ(金属管工事) です。
この問題の最大のポイントは、問題文にある「木造」という言葉です。
電気設備の技術基準(解釈)において、以下のような鉄則があります。
引込口から先の屋側電線路において、木造建物には金属管工事を行ってはならない。

なぜ「木造」に「金属管」はダメなのか?
理由はシンプルで、火災を防ぐためです。
- もし、金属管の中で電線がショートしたり、被覆が破れて金属管自体に電気が漏れた(漏電した)とします。
- 金属管は電気を通します。
- その金属管が、乾燥して燃えやすい「木材」の壁に直接触れていたらどうなるでしょうか?
- 漏電による熱やスパークで、木造住宅が火事になる恐れがあります。
そのため、木造住宅の引き込み部分(屋側電線路)では、電気が漏れても安全な「絶縁性の高い材料」を使う必要があります。
2. 施工可能な工事方法は?(選択肢の解説)
では、他の選択肢はなぜOKなのか、現場のイメージと合わせて見ていきましょう。
ロ. 合成樹脂管工事(OK)
プラスチック製の管(VE管など)の中に電線を通す工事です。
樹脂(プラスチック)は電気を通さない「絶縁体」です。万が一管の中で漏電しても、外壁の木材に電気が流れることはないため、木造住宅でも採用可能です。
ハ. がいし引き工事(OK)
白い陶器製などの「がいし」を使って、電線を壁から浮かせて配線する方法です。
昔の古民家や、あえてレトロな雰囲気を出したい店舗改装などで見かけます。
「展開した場所(見える場所)」に限られますが、壁と電線の間に距離が取れるため、木造でも施工可能です。
ニ. ケーブル工事(OK)
現在の住宅で最も一般的な方法です(VVRケーブルやCVケーブルなど)。
ケーブル自体が丈夫な被覆で守られており、外装が金属でないものであれば、木造住宅の壁面にステップル等で固定して施工できます。
3. 現場で役立つ!「高さ」のルールもセットで覚えよう
この「引込線」の分野では、工事方法と並んでよく出題されるのが**「高さ」の制限**です。
実際に現場でハシゴをかける際、どのくらいの高さに引込点(取付点)を設置すればよいのでしょうか。
[ 画像:家屋の壁面に引込線を取り付けている図。地面からの高さが示されている ]
原則は「4m以上」
道路を走る車や、歩行者の邪魔にならないよう、原則として地面から 4m以上 の高さに設置する必要があります。
例外は「2.5m以上」
ただし、以下のような条件が揃えば、もっと低い位置でも許されます。
- 技術的にやむを得ない場合(平屋で軒が低いなど)
- 交通に支障がない場合
この場合、最低 2.5m以上 あればOKです。
試験問題では「4m」よりも、この特例の「2.5m」という数字が引っかけ問題や正誤判定で頻出します。「ニ・ゴ(2.5)」のリズムで覚えてしまいましょう。
まとめ:この問題の攻略ポイント
- 問題文に 「木造」 とあったら警戒する。
- 木造の壁に 「金属管」 は火事の元なので NG。
- 金属管以外の「合成樹脂管」「ケーブル」「がいし」はOK。
- 引込点の高さは、原則4m以上、最低でも 2.5m以上。
この「木造×金属管=NG」のルールは、引込線だけでなく、ラス網モルタル壁(金属の網が入った壁)への貫通工事などでも同様の考え方をします。
「電気と相性の悪い素材(燃えやすい木、電気を通す金属)」の組み合わせを避けるという安全意識は、プロの電気工事士として最も大切な感覚の一つです。
安全を守るためのルールをしっかり理解して、自信を持って回答を選べるようになりましょう。

