記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事士の試験では、一般的なコンセントや照明の配線(100Vや200V)だけでなく、私たちの生活に身近な「チャイム」や「インターホン」などの通信・呼び出し用の回路についても出題されます。
これらは電圧が低く、人体への危険性が比較的低いため、通常の配線とは異なる特別なルール(緩和規定)が設けられています。これを「小勢力回路(しょうせいりょくかいろ)」と呼びます。
今回は、配線図問題でよく問われる「小勢力回路の電線の太さ」に関する問題です。
通常の屋内配線の常識で答えると間違えてしまう、ひっかけポイントが含まれています。
まずは今の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
下図の矢印で示す小勢力回路で使用できる軟銅線(ケーブルを除く)の最小太さの直径 [mm] はどれか。

1. 0.5
2. 0.8
3. 1.2
4. 1.6
答えは決まりましたか?
「屋内配線といえば1.6mmじゃないの?」と思った方は要注意です。
この回路が「何回路」であるかを見極めるのが、正解への近道です。
なぜその太さで良いのか、電圧のルールとセットで解説します。
1. ズバリ、正解は?
正解は、選択肢の 【2(0.8)】 です。
この問題の最大のポイントは、ここが100Vの強電流回路ではなく、変圧器を通した後の「小勢力回路」であるという点です。
電気設備の技術基準(解釈)において、以下のルールが決まっています。
小勢力回路(60V以下)において、ケーブル以外のとき(絶縁電線など)は、直径0.8mm以上の軟銅線を使用すること。

通常の配線との違いに注意
通常の屋内配線(100Vの照明やコンセント)では、最小太さは【1.6mm以上】と決められています。
しかし、今回の問題のような「小勢力回路」は、例外的に細い【0.8mm】の電線を使うことが許されています。
試験では「いつもの1.6mm」を選ばせようとする【4】のような選択肢が必ず混ざっていますので、引っかからないようにしましょう。
2. そもそも「小勢力回路」とは?
小勢力回路とは、文字通り「勢力(電圧・電流)が小さい回路」のことです。
代表的なものは、玄関のピンポン(チャイム)やインターホン、家庭用ブザーなどです。
この回路には、試験に出る重要な【3つの数字】があります。これだけ覚えれば、このジャンルの問題は怖くありません。
① 最大使用電圧は「60V以下」
小勢力回路の定義です。
100Vの電気を、絶縁変圧器(トランス)を通して【60V以下】に下げて使用します。
問題の図にある【丸にT】の記号が、この変圧器(チャイムトランスなど)を表しています。
② 対地電圧は「300V以下」
変圧器につなぐ前の元の回路(一次側)の対地電圧は300V以下でなければなりません。一般家庭は100Vなので、これは条件を満たしています。
③ 電線の太さは「0.8mm以上」
これが今回の問題の答えです。
電圧が低く、流れる電流もわずかなため、通常より細い電線でも発熱や火災のリスクが低いと判断されます。そのため、直径0.8mm(断面積だと0.75平方mm相当)まで細くすることが認められています。
3. 図記号で「小勢力回路」を見抜く方法
配線図問題では、問題文に「小勢力回路」と書いてあるとは限りません。
図記号を見て「あ、これは小勢力回路だ」と判断する必要があります。
以下の記号に注目です。
- 【 T 】:丸の中にT(小型変圧器/トランス)
- 【 ♪ 】:四角の中に音符(チャイム)
- 【 / 】:丸の中に斜線(押しボタン)
このセットを見たら、「電圧は60V以下」「電線は0.8mm以上」というキーワードをすぐに思い出せるようにしておきましょう。
まとめ:この問題の攻略ポイント
- チャイムやインターホンの回路は 「小勢力回路」 と呼ぶ。
- 使用電圧は 【60V以下】 に制限されている。
- そのため、電線は通常(1.6mm)より細い 【0.8mm以上】 が使用可能。
- 図記号の トランス(T) と チャイム(♪) が目印。
「小勢力=小さい=細い線(0.8mm)でOK」とイメージで結びつけておくと、試験本番でも迷わず正解を選べるようになります。
現場でも、インターホンの配線は非常に細い線が使われているのを目にするはずです。この機会にしっかり覚えておきましょう。

