記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事の現場では、使用する電圧に合わせて正しい機器を選定する能力が求められます。間違ったブレーカーを取り付けると、過電流が流れた際に正しく動作せず、火災事故につながる恐れがあるためです。
今回は、一般住宅で主流となっている「単相3線式」の分電盤に関する問題です。図面の数値や記号を正しく読み取れるか、実力をチェックしてみましょう。
【問題】
図のような単相3線式回路において、矢印で示す部分で施設する配線用遮断器はどれか。

- 2極1素子
- 2極2素子
- 3極2素子
- 3極3素子
答えは決まりましたか?
「2Pって書いてあるから2極だな」
「あれ、素子数はどこを見ればいいんだ?」
と迷った方もいるかもしれません。
実は、図面の中に答えを導き出す決定的なヒントが隠されています。
それは電圧(V)です。
それでは、正解と解説を見ていきましょう。
1. ズバリ、正解は?
正解は、選択肢の 2(2極2素子) です。
この問題を解くための最大の鍵は、図記号の横に書かれている「200V」という文字です。
電気工事士の試験(および実務)には、以下の鉄則があります。
200Vの分岐回路には、必ず「2極2素子(2P2E)」の配線用遮断器を使用しなければならない。

2. 「極数(P)」と「素子数(E)」とは?
そもそも「2P1E」や「2P2E」という記号は何を意味しているのでしょうか。
ここを理解すると、丸暗記しなくても答えが導き出せるようになります。
P = Pole(極数)
これは「スイッチの数(電線の数)」のことです。
2Pなら2本の電線をつなぎ、スイッチを切れば2本とも遮断されます。
一般住宅の単相3線式では、プラスとマイナス(実際は電圧線と中性線など)の2本を一対として扱うため、基本は「2極(2P)」を使用します。
E = Element(素子数)
これは「過電流を検知するセンサーの数」のことです。
ブレーカーの中に、異常な電流を感知する装置がいくつ入っているかを表します。
- 1素子(1E): 2本ある電線のうち、片方だけ監視している。
- 2素子(2E): 2本ある電線の両方を監視している。
3. なぜ200Vには「2素子」が必要なのか?
ここが一番の重要ポイントです。
なぜ100Vは1素子でも良くて、200Vは2素子じゃないとダメなのでしょうか。
それは、電気が流れているラインの仕組みが違うからです。
100V回路の場合(2極1素子でOK)
一般住宅の100Vコンセントなどは、片方が電圧側(L)、もう片方が接地側(N:中性線)です。
接地側(N)は地面につながっており、電圧はほぼ0Vです。
過電流が流れる事故が起きるのは主に電圧側(L)なので、ここさえ監視しておけば安全が守れます。そのため、センサーが1つの「1素子(1E)」が使えます(もちろん安全性の高い2素子を使ってもOKです)。
200V回路の場合(2極2素子が必須)
エアコンやIHクッキングヒーターなどで使う200Vは、単相3線式の上下の線(電圧線L1と電圧線L2)を使用します。
この場合、2本の電線両方に電圧がかかっています。
もし1素子のブレーカーを使ってしまうと、センサーが付いていない方の電線でショートや過電流が起きても、ブレーカーが落ちないという危険な状態になります。
だからこそ、両方の電線をしっかり監視できる「2素子(2E)」が絶対にちなのです。
4. 試験で勝つための覚え方
この手の問題が出たら、理屈抜きで以下のルールを思い出してください。
① 図面の「電圧」を見る
矢印で指されているブレーカーの電圧表記を確認します。
② この法則を当てはめる
- 100V と書いてある場合→ 2極1素子(2P1E) が基本(選択肢に2P2Eしかない場合はそれでも可)
- 200V と書いてある場合→ 2極2素子(2P2E) 一択!
今回の問題では「200V」という表記がハッキリありました。
また、「2P」という表記もあったので「2極」です。
よって、「200Vだから2素子」+「2Pだから2極」= 2極2素子 となります。
まとめ
- 問題図の「電圧」を必ずチェックする。
- 200V回路=2極2素子(2P2E) は絶対ルール。
- 100V回路は2極1素子(2P1E)が一般的。
このルールは、筆記試験だけでなく、技能試験で材料を選ぶ際や、実際の現場で分電盤を組む際にも必須の知識です。
「200Vはパワーが強いから、両方の線(2素子)で見張らないと危ない」とイメージしておくと忘れませんよ。

