記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事の現場は、常に安全な場所とは限りません。
時にはガソリンスタンド、化学工場、あるいは小麦粉を扱う工場など、ひとたび火花(スパーク)が散れば大事故につながる【特殊な場所】での施工が求められます。
こうした場所では、一般的な住宅とは異なる厳しい配線ルールが定められています。
今回は、試験でよく問われる【危険物を貯蔵する場所】での工事方法に関する問題です。
どの工事なら安全か?ケーブルには何が必要か?を正しく判断できるかチェックしましょう。
【問題】
石油類を貯蔵する場所における低圧屋内配線の工事の種類で、不適切なものは次のうちどれか。
[ 画像:危険物が置かれている倉庫のような場所に、配線が通っているイメージ図 ]- 損傷を受ける恐れのないように施設した合成樹脂管工事(厚さ2mm未満の合成樹脂製可とう電線管およびCD管を除く)
- 薄鋼電線管を使用した金属管工事
- MIケーブルを使用したケーブル工事
- 600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルを防護装置に収めないで使用したケーブル工事
答えは決まりましたか?
「全部強そうな工事だから大丈夫そう」と思いませんでしたか?
それとも「MIケーブルって何?」と迷いましたか?
実は、この中に一つだけ、危険物がある場所では【絶対に許されない危険な状態】が含まれています。
なぜその工事がNGなのか、プロとして知っておくべき理由と正解を解説します。
1. ズバリ、正解(やってはいけない工事)は?
正解は、選択肢の 4 です。
この問題のポイントは、ケーブル工事なら何でもOKというわけではなく、ケーブルの種類と守り方に条件がある点です。

なぜ「防護装置なし」がダメなのか?
石油類がある場所(危険物貯蔵所)は、もしケーブルが何かにぶつかって傷つき、ショートして火花が出れば、引火して火災や爆発につながる恐れがあります。
選択肢4にある「600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブルなど)」は、一般的な工事でよく使われる優秀なケーブルですが、被覆がビニルやポリエチレンなどの燃えやすい素材でできています。
そのため、危険物が存在する場所では、これらを【金属管などの防護装置】に入れて物理的に保護しなければなりません。
裸のままでの施工は、安全上不適切(NG)となります。
2. 施工可能な工事方法は?(選択肢の解説)
では、なぜ他の選択肢はOKなのかを見ていきましょう。
ここを理解すると、他の「特殊な場所」の問題も解けるようになります。
1. 合成樹脂管工事(OK)
意外かもしれませんが、石油類の貯蔵場所では合成樹脂管(VE管など)も使用可能です。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
・厚さ2mm未満の薄い管や、CD管(コンクリート埋設用)は除く。
・損傷を受ける恐れがないように施設する。
つまり、ある程度強度があるプラスチック管なら、石油がある場所では使用が認められています。
2. 金属管工事(OK)
最も安全性が高い工事方法の一つです。
金属製の管の中に電線を収めるため、外部からの衝撃に強く、万が一管内でショートしても火花が外に漏れにくい構造です。
薄鋼電線管以上の強度があれば使用できます。
3. MIケーブルを使用したケーブル工事(OK)
ここが多くの受験生が迷うポイントです。MIケーブルとは何でしょうか?
MIケーブル(Mineral Insulated Cable)
・金属の外装(銅やステンレスなど)の中に、燃えない無機絶縁物(酸化マグネシウムなど)が詰まっている特殊なケーブルです。
・特徴:耐熱性・耐火性が非常に高く、外側が金属で守られているため、「防護装置なし」でそのまま使用できます。
つまり、普通のケーブルは「鎧(防護装置)」を着ないとダメですが、MIケーブルは「生まれつき金属の鎧を着ている」ため、そのままでOKなのです。
3. 「特殊な場所」の工事ルールまとめ
この分野は、場所の危険度によって「できる工事」が決まっています。
大きく分けて2つのランクで整理して覚えましょう。
ランクA:最も危険!爆発する粉やガスがある場所
【場所の例】
・爆燃性粉じん(マグネシウム、アルミニウムの粉など)
・可燃性ガス(プロパンガス、塗装工場のシンナー蒸気など)
【ここでのルール】
・金属管工事(厚鋼電線管など、強度が特に高いもの)
・ケーブル工事(必ず防護装置に入れるか、MIケーブルなどを使う)
・NG:合成樹脂管工事(プラスチックは危険すぎて使えません!)
ランクB:まあまあ危険。燃える粉や危険物がある場所
今回の問題はここに含まれます。
【場所の例】
・危険物貯蔵所(石油、セルロイド、マッチなど)
・可燃性粉じん(小麦粉、でん粉など)
【ここでのルール】
・金属管工事
・ケーブル工事(防護装置が必要 ※MIケーブルは例外)
・合成樹脂管工事(厚さ2mm以上など条件ありでOK)

まとめ:この問題の攻略ポイント
・「石油(危険物)」の場所では、金属管も合成樹脂管(厚さ2mm以上)も工事できる。
・「ケーブル工事」をするときは、原則として【防護装置(管など)】に入れること。
・ただし、「MIケーブル」など最強のケーブルは、防護装置なしでOK。
・一般的なケーブルを【裸で使う】のはNG。
試験では「小麦粉(可燃性粉じん)」や「プロパンガス(可燃性ガス)」に置き換わって出題されることもあります。
ガスと爆薬は金属管のみ!小麦粉と石油はプラ管もOK!というイメージを持って、選択肢を絞り込んでいきましょう。

