記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ
電気工事士の試験、特に高圧受電設備(キュービクル)の分野では、見た目が似ている「開閉器」や「遮断器」の違いを問う問題が頻出です。
その中でも今回解説する機器は、現場での操作を一歩間違えると、命に関わる重大な事故につながるため、試験でもその「正しい用途」と「禁止事項」が繰り返し出題されます。
まずは、実際に試験に出題される形式の問題で、現在の実力をチェックしてみましょう。
【問題】
写真に示す品物の用途はどれか。

- 容量300kVA未満の変圧器の一次側保護装置として用いる。
- 保護継電器と組み合わせて、遮断器として用いる。
- 電力ヒューズと組み合わせて、高圧交流負荷開閉器として用いる。
- 停電作業などの際に、電路を開路しておく装置として用いる。
答えは決まりましたか?
「全部スイッチに見えるけれど、何が違うの?」と迷った方は要注意です。
この機器には、他のスイッチにはない「ある決定的な弱点」と、それを補う「重要な役割」があります。
正解と、なぜその選択肢になるのか、現場での安全ルールと合わせて解説します。
1. ズバリ、正解と解説
正解は、選択肢の 4 です。
写真の機器は、名称を 断路器(だんろき) といい、図面では DS (Disconnecting Switch) と表記されます。
選択肢4にある「停電作業などの際に、電路を開路しておく」というのが、断路器の正しい用途です。
なぜ他の選択肢は間違いなのか?

試験対策として、他の選択肢がどの機器を指しているかも整理しておきましょう。
- 1を選んだ場合これは「高圧カットアウト(PC)」などの説明です。変圧器のすぐ手前に設置され、過負荷保護などを行います。
- 2を選んだ場合これは「真空遮断器(VCB)」などの 遮断器(CB) の説明です。事故電流を自動で検知して遮断する機能は、断路器にはありません。
- 3を選んだ場合これは「高圧交流負荷開閉器(LBS)」の説明です。電力ヒューズ(PF)と組み合わせて使われることが一般的です。
2. 断路器(DS)とは?最大の役割は「安全の見える化」
断路器は、英語で Disconnecting Switch と呼ばれ、現場では「ディスコン」という略称で呼ばれることもあります。
役割:回路の切り離しを目視確認する
高圧設備の点検や工事を行う際、電気を止める(停電する)必要があります。
しかし、高性能な遮断器(VCBなど)は、接点が真空容器の中に入っているため、外から見て「本当に線が切れているか」が分かりにくい構造をしています。
そこで断路器の出番です。
断路器は、写真のように刃(ブレード)がむき出しになっており、回路が開いているかどうかが一目で分かります。
「物理的に線が繋がっていない」ことを作業員が目で見て確認し、安心して作業できるようにするのが、断路器の最大の役割です。
3. 【最重要】絶対にやってはいけない操作ルール
断路器に関して、試験でも実務でも最も重要なルールがあります。それは、
【 負荷電流が流れている状態で開閉してはならない 】
ということです。
なぜ禁止なのか?(アークの危険性)
断路器には、電気を切る際に出る火花(アーク)を消す機能(消弧装置)がありません。
もし、電気が流れている状態(負荷電流がある状態)で無理やり断路器を開こうとすると、接点が離れた瞬間に凄まじい「アーク放電」が発生します。
このアークは、周囲の機器を破壊したり、操作している人が火傷や感電をしたりする重大な事故を引き起こします。
そのため、断路器は「電気をオン・オフするスイッチ」ではなく、「電気がない状態で回路を切り離すための装置」と覚えてください。
4. 遮断器との違いと操作手順(インターロック)
断路器(DS)と遮断器(CB)は、必ずセットで考えます。
「いつ操作するのか」という手順は試験の頻出ポイントです。
操作の鉄則
常に「アークを消せる遮断器(CB)」を先に操作して安全を確保します。
【電気を切る(停電)とき】
- まず、遮断器(CB)を切る。(電流をゼロにする)
- その後に、断路器(DS)を開く。
【電気を入れる(送電)とき】
- まず、断路器(DS)を入れる。(まだ電流は流れない)
- その後に、遮断器(CB)を入れる。(電流が流れ出す)
インターロックとは?
人間はミスをする生き物です。うっかり手順を間違えて断路器を操作してしまうのを防ぐため、多くの設備には インターロック という安全装置がついています。
これは、「遮断器が切れていないと、断路器の操作レバーが動かない(鍵が開かない)」ようにする仕組みのことです。
まとめ:断路器(DS)の攻略ポイント

最後に、今回の解説の要点をまとめます。
- 写真の機器は 断路器(DS) 。
- 役割は、点検時などに電路を確実に切り離し、安全を確認すること。
- 弱点は、消弧能力がないこと。
- 禁止事項は、負荷電流が流れている状態で操作すること(アーク事故防止)。
- 操作手順は、必ず「遮断器を切った後」に操作する。
断路器は、地味な見た目に反して、電気工事士の安全を守る「最後の砦」とも言える重要な機器です。
「負荷電流は切れない」「目視確認用」というキーワードをしっかり押さえて、試験本番に臨んでください。

