この記事でわかること
・電気工事士試験で頻出の「エントランスキャップ」の役割と特徴
・よく似た「ターミナルキャップ」との決定的な違い(角度と使用場所)
・試験の鑑別問題での見分け方と、雨水の浸入を防ぐ施工のポイント
1. エントランスキャップとは?(役割と特徴)

電気工事士の勉強を始めると、金属管工事や合成樹脂管工事の章で必ず登場するのが「エントランスキャップ」です。
一見すると地味な部品ですが、建物を雨漏りや漏電火災から守るための非常に重要な役割を持っています。

雨水の浸入をシャットアウトする「傘」
エントランスキャップの最大の役割は、電線管(パイプ)の中に雨水が入らないようにすることです。
屋外で電気の配管を立ち上げたとき、パイプの切り口が空を向いたままだと、雨が降った際にパイプが雨どいのように水で満たされてしまいます。これを防ぐために、パイプの頂部(管端)に被せる「帽子」や「傘」のような役割をするのがエントランスキャップです。
電線の被覆を守る
もう一つの役割は、電線の保護です。
金属管などの切り口は鋭利になっていることがあり、そのまま電線を引き出すと風での揺れや地震などで電線の被覆(絶縁体)が傷つく恐れがあります。
エントランスキャップの電線出口は丸みを帯びた形状や絶縁ブッシング構造になっており、中の電線を傷つけずに安全に外部へ引き出すことができます。
[ 画像:エントランスキャップの外観写真。電線管の頂部に取り付けられ、3つの穴が見えるもの ]2. 絶対に間違えてはいけない「ターミナルキャップ」との違い

試験対策として最も重要なのが、よく似た部材である「ターミナルキャップ」との識別です。
どちらも「電線管の端っこに付ける」という点では同じですが、使える場所と形が明確に異なります。
ここを理解しているかどうかが、合否を分けるポイントになります。
形状の違い:首の角度を見る
実物の写真や図記号を見たとき、以下のポイントに注目してください。
【エントランスキャップ】
電線が出る穴が「斜め(約45度)」を向いています。
雨水が入らないように、あえてなで肩のような角度がついています。
【ターミナルキャップ】
電線が出る穴が「直角(90度)」を向いています。
機械的に接続しやすい形状になっています。
用途の違い:垂直か?水平か?
この違いは筆記試験の文章問題でもよく問われます。
【エントランスキャップ】
垂直配管(縦に伸びる管)の頂部に使用できます。
もちろん水平配管でも使えますが、主戦場は「垂直」です。雨線外(雨のかかる屋外)で垂直に立ち上げた管には、必ずこれを使います。
【ターミナルキャップ】
水平配管(横に伸びる管)の末端にしか使えません。
もしこれを屋外の垂直配管に使ってしまうと、出口が真横を向いているため、横殴りの雨などが管内部に浸入してしまいます。そのため、垂直配管の頂部に使うのはNG(不適切)となります。
覚え方のコツ
「エントランス」は建物の入り口(玄関)という意味です。
電気の入り口である引込口は高いところにあるため、管を縦に立ち上げます。
「立ち上げた管(垂直)に使うのがエントランスキャップ」と覚えておきましょう。
3. 電気工事士試験での出題パターン

実際の試験ではどのような形式で問われるのか、具体的なパターンを見ていきましょう。
パターンA:写真鑑別(材料の名称当て)
問題用紙にエントランスキャップの写真が掲載され、「この名称はどれか?」という4択問題が出ます。
選択肢には以下のような紛らわしい名前が並ぶことがあります。
・ターミナルキャップ(形が似ているが90度)
・ウェザーキャップ(換気扇用のフードなどを指すことが多い)
・サービスキャップ(引込口金物のこと)
写真を見て「穴が斜めになっている」「雨よけのカバーのような構造がある」などを確認し、迷わず「エントランスキャップ」を選んでください。
パターンB:施工方法の正誤判定
「木造住宅の屋側配線工事として、不適切なものはどれか?」といった問題の中で登場します。
(正しい施工例)
屋外の垂直な金属管の管端に、エントランスキャップを取り付けた。
→ これは適切です。
(誤っている施工例)
屋外の垂直な金属管の管端に、ターミナルキャップを取り付けた。
→ これが間違い(不適切)です。先ほど解説した通り、水が入るためNGです。
4. 種類と実務での施工ポイント

ひとくちにエントランスキャップと言っても、使うパイプの種類によっていくつかのタイプがあります。
金属管用と合成樹脂管用
・金属管(ねじなし電線管など)用
鋳鉄製(金属製)で重厚感があります。固定用のネジがついており、ガッチリと管に固定します。
・合成樹脂管(VE管)用
プラスチック製で軽量です。色はグレーやベージュなどが一般的です。
穴の数とサイズ
電線を通す穴の数は、製品によって異なります。
単相2線式なら2本、単相3線式や三相3線式なら3本の電線を通す必要があるため、それぞれの電線の太さや本数に合った穴のサイズ・数のものを選定します。
施工のワンポイント:水切りの工夫(ドリップループ)

エントランスキャップを取り付ける際、現場では電線をただ出すだけでなく「ドリップループ(たるみ)」を作ることが重要です。
電線を一度エントランスキャップより下に少し垂らしてから、電力会社の引込線と接続します。
こうすることで、電線を伝ってきた雨水がたるみの底から地面に落ち、エントランスキャップの方へ逆流するのを防げます。材料の選定だけでなく、こうした施工の工夫もあわせて雨水の浸入を防いでいるのです。
5. まとめ
今回は「エントランスキャップ」について詳しく解説しました。
最後に試験合格のための要点を整理します。
- 名称と形:穴が「斜め(45度)」になっているのがエントランスキャップ。
- 用途:配管内への「雨水の浸入」を防ぐために使う。
- 鉄則:屋外の「垂直」配管の頂部には、必ずエントランスキャップを使う。(ターミナルキャップはNG)
この3点を押さえておけば、写真鑑別問題でも施工ルールの問題でも自信を持って解答できるはずです。
似ている材料との違いを整理して、確実に1点をゲットしましょう。

