この記事では以下のことが分かります。
・使用電圧区分に応じた低圧屋内配線の絶縁抵抗値の基準
・絶縁抵抗測定が困難な場合に適用される漏えい電流1mA以下のルール
・試験で狙われやすい電気計器のJIS記号と動作原理・使用回路
本記事では、試験で確実に得点源にするために、絶縁抵抗測定の基準値、漏えい電流の規定、そして電気計器のJIS記号について詳しく解説します。
目次 非表示
低圧屋内配線の検査とは?第一種電気工事士試験での重要性
電気設備を安全に使用するためには、電線や機器の絶縁性能が保たれていることが不可欠です。低圧屋内配線の検査では、主に電路の絶縁抵抗を測定し、漏電の危険性がないかを確認します。
第一種電気工事士試験では、この絶縁抵抗の規定値や、測定方法、測定に用いる計器の記号に関する問題が頻出します。法令で定められた明確な数値基準があるため、正確に暗記しておくことが合格への近道となります。
絶縁抵抗測定の基準と覚え方
低圧屋内配線の絶縁性能は、電気設備技術基準の解釈において明確に規定されています。開閉器または過電流遮断器で区切ることができる電路ごとに、電線相互間および電路と大地との間の絶縁抵抗値を測定します。
電路の使用電圧と絶縁抵抗の規定値
絶縁抵抗の最小限度値は、電路の使用電圧区分によって以下の3段階に分けられています。
使用電圧が300V以下の場合:
対地電圧が150V以下の電路(単相100V、単相3線式100/200Vなど):0.1MΩ以上
上記以外の電路(三相3線式200Vなど):0.2MΩ以上
使用電圧が300Vを超える場合:
400V級の電路など:0.4MΩ以上
これらの数値は「100Vなら0.1、200Vなら0.2、400Vなら0.4」と電圧の数値に連動させて覚えると忘れにくくなります。

対地電圧の考え方と注意点
試験でよく狙われるのが「対地電圧」の考え方です。
例えば、単相3線式100/200Vの回路は使用電圧が200Vですが、中性線が接地されているため対地電圧は100Vとなります。したがって、絶縁抵抗の基準値は「対地電圧150V以下」に該当し、0.1MΩ以上となります。
一方、三相3線式200Vの回路は、対地電圧も200Vとなるため、「対地電圧150V以下」には該当せず、「その他」の区分となり0.2MΩ以上が要求されます。問題文を読む際は、電路の方式と電圧を正確に読み取り、対地電圧がいくらになるかを判断することが重要です。

絶縁抵抗測定が困難な場合の漏えい電流値
コンピュータや通信機器が多く接続されているオフィスビルなど、停電させることが困難な場所では、絶縁抵抗計を用いた測定ができない場合があります。法令では、このような例外的な状況における検査方法も定めています。
漏えい電流の許容上限は1mA
絶縁抵抗測定が困難な場所において、使用電圧が加わった状態で漏えい電流(クランプメーターなどで測定)を測定し、その値が「1mA以下」であれば、絶縁性能が保たれていると判定することができます。
この「1mA」という数値は、電路の電圧に関わらず一律の基準となります。100Vの回路でも、200Vの回路でも、漏えい電流が1mA以下であれば適合となります。

なぜ1mAなのか?オームの法則で理解する
漏えい電流の許容値がなぜ1mAになるのかは、オームの法則(電流=電圧÷抵抗)を用いると簡単に理解できます。
100Vの回路で絶縁抵抗が下限値の0.1MΩ(100,000Ω)だった場合:
100V ÷ 100,000Ω = 0.001A = 1mA
200Vの回路で絶縁抵抗が下限値の0.2MΩ(200,000Ω)だった場合:
200V ÷ 200,000Ω = 0.001A = 1mA
400Vの回路で絶縁抵抗が下限値の0.4MΩ(400,000Ω)だった場合:
400V ÷ 400,000Ω = 0.001A = 1mA
このように、各電圧区分の絶縁抵抗の下限値ギリギリの状態であった場合、そこに流れる漏えい電流は計算上すべて1mAになります。そのため、漏えい電流が1mA以下であれば、法定の絶縁抵抗値をクリアしていることの証明となるのです。

第一種電気工事士試験の過去問傾向と対策
ここまで学習した内容が、実際の試験でどのように問われるかを確認しておきましょう。
絶縁抵抗値・漏えい電流の判定問題
試験では、具体的な回路の条件(電圧、用途、測定値など)が4つの選択肢として提示され、「電気設備技術基準に適合しているものはどれか」を選ぶ問題が定番です。
解答のステップは以下の通りです。
1. 電圧から要求される絶縁抵抗値(0.1、0.2、0.4MΩ)を思い出す。
2. 停電できない等の理由で漏えい電流が記載されている場合は「1mA以下」であるかを確認する。
3. 対地電圧に注意する。(特に200V三相3線式は0.2MΩ、100/200V単相3線式は0.1MΩ)
例えば、「対地電圧100Vの電灯回路で、漏えい電流を測定した結果0.5mAであった」という選択肢があれば、1mA以下を満たしているため「適合している」と判断できます。
JIS記号の識別問題
「可動鉄片形の計器であることを示すJIS記号はどれか」といったストレートな知識問題が出題されます。紛らわしい記号(可動コイル形と可動鉄片形など)をしっかり区別できるように、記号の形状とその名称をセットで図を描きながら覚えるのが効果的です。
まとめ
低圧屋内配線の検査に関する知識は、電気工事の現場で直接役立つだけでなく、第一種電気工事士試験においても重要な得点源となります。
・絶縁抵抗値は電圧に応じて0.1MΩ、0.2MΩ、0.4MΩの3段階を覚える。
・測定困難な場合は漏えい電流1mA以下であれば適合となる。
・計器のJIS記号は、形状と動作原理、直流・交流の別をセットで暗記する。
これらのポイントをしっかりと押さえ、試験本番で迷わず解答できるように準備を進めていきましょう。

