【第二種電気工事士】単相3線式の計算攻略!中性線に電流が流れない条件とは?

【第二種電気工事士】単相3線式の計算攻略!中性線に電流が流れない条件とは?

記事を読む前に!実践・過去問チャレンジ

現代の一般家庭で最も普及している電気方式が「単相3線式」です。

IHクッキングヒーターやエアコンなどの200V機器と、照明やコンセントなどの100V機器を同時に使える便利な仕組みですが、試験ではその「電圧」や「電流の計算」がよく問われます。

まずは、実際に試験に出題されるレベルの計算問題で、現在の理解度をチェックしてみましょう。

【問題】

図のような単相3線式回路において、電線1線当たりの抵抗が0.1Ω、抵抗負荷に流れる電流がともに10Aのとき、a-b間の電圧[V]はいくらか。

単相3線式の回路図。電源電圧が上下それぞれ105V(計210V)。電線抵抗は各線0.1Ω。負荷側の抵抗負荷へ上下それぞれ10Aの電流が流れている図
  1. 102
  2. 103
  3. 104
  4. 105

答えは出せましたか?

「真ん中の線(中性線)の抵抗はどう計算するんだっけ?」と迷いませんでしたか?

この問題は、単相3線式の最大の特徴である「ある条件」を知っていれば、非常に単純な引き算だけで解くことができます。

今回は、配電の基本となる単相3線式の仕組みと、計算問題を解くための重要ルールを徹底解説します。

↓家庭用コンセントでおなじみの「単相2線式」の解説は以下の記事で行っています。基礎から確認したい方はこちらも併せてご覧ください。

1. 単相3線式(1φ3W)とは?

単相3線式は、3本の電線を使って電気を送る方式です。現在の一般的な住宅のほとんどがこの方式を採用しています。

100Vと200Vを使い分ける

3本線のうち、真ん中の線を【中性線】、上下の線を【非接地側電線(電圧線)】と呼びます。つなぎ方によって2種類の電圧を取り出せるのが特徴です。

  • 100Vを取り出す: 真ん中の「中性線(白)」と、上下どちらかの「電圧線(黒または赤)」をつなぐ(照明、コンセントなど)
  • 200Vを取り出す: 上下の「電圧線(黒)」と「電圧線(赤)」をつなぐ(エアコン、IHなど)

【超重要】対地電圧は100V

試験対策として必ず覚えておきたいのが「対地電圧(地面との間の電圧)」です。

単相3線式では、中性線がアース(接地)されています。そのため、200Vを使用する回路であっても、対地電圧は100Vになります。

これにより、万が一感電した場合でも、対地電圧が150V以下に抑えられているため、安全性が比較的高くなっています。

2. 計算の要!「平衡負荷」と中性線

ここからが計算問題を解くための核心です。

単相3線式の回路図問題では、多くの場合「上下の負荷が等しい(同じ電流が流れている)」状態で出題されます。これを【負荷が平衡している】といいます。

平衡時は中性線に電流が流れない

ここが最大のポイントです。

上下の負荷に同じ大きさの電流が流れているとき、真ん中の中性線には電流が流れません(0アンペア)。

  • 上側の線から行った電流が、そのまま負荷を通って中性線に戻ろうとする力
  • 下側の線から来る電流のバランス

これらが打ち消し合うため、計算上、真ん中の線はないもの(抵抗ゼロ・電圧降下ゼロ)として扱うことができます。

3. 問題の解説・解き方

それでは、冒頭の問題をこのルールを使って解いてみましょう。

手順1:回路のバランスを確認する

問題図を見ると、上側の負荷に10A、下側の負荷にも10A流れています。

電流が同じなので「平衡している」状態です。

つまり、真ん中の中性線には電流が流れません。

手順2:電圧降下を計算する

中性線の電流が0Aなので、電圧降下(電圧の目減り)を考えるのは「行き(上側)」の電線だけです。

  • オームの法則:電圧降下 V = 電流 I × 抵抗 R
  • 計算:10A × 0.1Ω = 1V

上側の電線を通ることで、電圧が「1V」下がることがわかります。

手順3:a-b間の電圧を出す

電源からの電圧は105Vでした。そこから電線でのロス(電圧降下)である1Vを引きます。

  • 105V – 1V = 104V

よって、正解は 3. 104 となります。

※もし負荷が平衡していない(上下の電流が違う)場合は、中性線にも差分の電流が流れるため計算が複雑になりますが、第二種電気工事士の筆記試験では、まずこの「平衡=中性線電流ゼロ」のパターンを完璧に抑えることが合格への近道です。

【第二種電気工事士】単相3線式の計算攻略!中性線に電流が流れない条件とは?の問題の正誤と各選択肢の図解説の黒板解説

4. もう一つの頻出パターン:電力損失

同じような回路図で「電力損失(W)」を問われることもあります。これもセットで覚えましょう。

【例題】

同じ回路条件(線抵抗0.1Ω、電流10Aが上下に流れる)での、電線路全体の電力損失は何ワットか?

【解き方】

平衡しているので、中性線には電流が流れません。つまり中性線での電力損失は0です。

損失が発生するのは「上側の線」と「下側の線」の2本分です。

  1. 1線あたりの損失: P = I²R (電流の2乗 × 抵抗)
    • 10A × 10A × 0.1Ω = 10W
  2. 2線分(上下)の合計:
    • 10W × 2本 = 20W

このように、中性線の存在を「電流が流れないから無視する」と判断できるかどうかが、計算のスピードと正確さを分けます。

同じ回路条件(線抵抗0.1Ω、電流10Aが上下に流れる)での、電線路全体の電力損失は何ワットか?の黒板解説

まとめ:単相3線式の攻略ポイント

  • 電圧の使い分け: 100Vと200Vが使える。
  • 安全のルール: 対地電圧は100Vである。
  • 計算の鉄則: 上下の電流が同じ(平衡負荷)なら、中性線に電流は流れない。
  • 電圧降下の計算: 平衡時は「片側の線」の電圧降下だけを引き算すればOK。

この「中性線電流ゼロ」の法則は、計算問題だけでなく、回路図のスイッチ切り替え問題(電流計の指示値が最小になる組み合わせを選ぶ問題など)でも頻繁に使われる知識です。

「バランスが取れていれば真ん中はゼロ」と覚えて、自信を持って解答できるようにしましょう。