今回は、実務でも試験でも非常に重要な「電気工事士の義務」と「資格ごとの作業可能な範囲」についての過去問解説です。
特に「第二種電気工事士」と「第一種電気工事士」、そしてその間にある「特別な作業」の境界線を正しく理解しているかが問われます。
まずは、実際の問題で現在の知識レベルをチェックしてみましょう。
【問題】実力チェック
電気工事士の義務または制限に関する記述として、誤っているものは次のうちどれか。
- 電気工事士は電気工事士法で定められた電気工事の作業に従事するときは、電気工事士免状を携帯していなければならない。
- 第2種電気工事士のみの免状で、需要設備の最大電力が500kW(キロワット)未満の自家用電気工作物の低圧部分の電気工事のすべての作業に従事することができる。
- 電気工事士は、氏名を変更したときは、免状を交付した都道府県知事に申請して免状の書き換えをしてもらわなければならない。
- 電気工事士は電気工事士法で定められた電気工事の作業を行うときは、電気設備に関する技術基準を定める省令に適合するよう作業を行わなければならない。
答えは決まりましたか?
「全部正しいことを言っている気がする…」と迷いませんでしたか?
特に選択肢の「2」について、「500kW未満なら第二種でもいけたような…?」とあやふやな記憶になっている方が多いポイントです。
正解(誤っている記述)と、なぜそれがダメなのかを詳しく解説します。
1. 正解(誤っている記述)はこれだ!
誤っている記述(この問題の正解)は、2 です。
誤:第2種電気工事士のみの免状で、需要設備の最大電力が500kW未満の自家用電気工作物の低圧部分の電気工事のすべての作業に従事することができる。
ここが、多くの受験者が引っかかる「自家用電気工作物」の罠です。

なぜ「第2種のみ」ではダメなのか?
法律上のルールを整理しましょう。
- 一般用電気工作物(一般住宅や小規模店舗など):
- 第2種電気工事士の免許だけで工事可能。
- 自家用電気工作物(500kW未満の工場やビルなど):
- 原則、第1種電気工事士の範囲です。
- ただし、この中の「低圧部分(600V以下)」の工事に限っては、「簡易電気工事」と呼ばれます。
この「簡易電気工事」を行うためには、以下のいずれかが必要です。
- 第一種電気工事士の免許を持っている。
- 第二種電気工事士の免許を持ち、さらに講習を受けて「認定電気工事従事者」の認定証を持っている。
つまり、選択肢にあるように「第2種電気工事士のみ(認定証なし)」の状態では、自家用電気工作物の工事(簡易電気工事)はできません。
(※一般用は電力会社から低圧で受電、自家用は高圧で受電してキュービクルで変圧するイメージ)
2. 実務でも重要!「認定電気工事従事者」とは?
この問題を解く鍵となる「認定電気工事従事者」について補足します。
実務において、第二種電気工事士の資格だけで中小規模の工場やビルのテナント工事(コンセント増設など)を行ってしまうと、電気工事士法違反になります。
- 第二種合格後どうすればいい?
- 実務経験を積むか、「認定電気工事従事者認定講習」を受けることで、申請により「認定電気工事従事者認定証」が交付されます。
- これがあれば、第二種免許でも「500kW未満の自家用電気工作物の低圧側(簡易電気工事)」が可能になります。
試験では「第2種 = 一般用だけ」「自家用(簡易電気工事)には+αが必要」と覚えておきましょう。
3. その他の選択肢の解説(正しい記述)
選択肢1, 3, 4はすべて「正しい記述」です。これらも電気工事士法で定められた重要な義務ですので、合わせて覚えておきましょう。
1. 免状の携帯義務(正しい)
電気工事士は…作業に従事するときは、電気工事士免状を携帯していなければならない。
運転免許証と同じです。作業中は常に持っていなければなりません。家に忘れた状態で工事をすると法律違反になります。
3. 免状の書き換え(正しい)
電気工事士は、氏名を変更したときは…免状の書き換えをしてもらわなければならない。
結婚などで氏名が変わった場合は、免状を交付した都道府県知事に書き換え申請が必要です。
ちなみに、「住所が変わっただけ」の場合は書き換えの必要はありません(ここも試験に出ます!)。
4. 技術基準への適合(正しい)
…電気設備に関する技術基準を定める省令に適合するよう作業を行わなければならない。
電気工事士は、ただ電気がつけば良いわけではありません。国が定めた安全基準(技術基準)を守って施工する義務があります。
まとめ:この問題の攻略ポイント
この問題で押さえておくべきポイントは以下の3点です。
- 第2種電気工事士の基本範囲は「一般用電気工作物(住宅など)」のみ。
- 自家用電気工作物(500kW未満)の低圧工事をするには、第2種免許に加えて「認定電気工事従事者」の資格が必要。
- 免状の携帯、氏名変更時の書き換え、技術基準の遵守は、電気工事士の三大義務。
「第2種免許さえあれば、低圧ならどこでも工事できる」という誤解は、試験で最も狙われやすいポイントです。
「自家用(工場・ビル)」というキーワードが出たら、「第2種単独ではNG!」と反応できるようにしておきましょう。

